第87話 トモエとサナ
(ん?・・・なんや?意識が戻ったぞ?)
『サナ殿~久しぶり~』
(おぉ、トモエかいな。久し振りなんか?
ウチ死んでから意識ないさかいな。)
『ざっと一万年ですわえなぁ』
(い!一万!えらい時間たっとるがな!)
『ぜひサナ殿にと、システムの御指名じゃ』
(ほう!システムの!悪い気はせんのぅ~
ほいで?ウチに何して欲しいんや?)
『ルルナ様のお子として生まれてたもれ~』
(ル!ルルナ様の子やてぇ~!
どーゆーこっちゃっ!
精霊王が子供産むんかいなっ!)
『今は人間ぞえ、ルルナ様は。』
(ほう!ホンマ~かいなソーかいな!)
『サーシア殿の双子の姉よのぅ』
(そらまた、えらい事なっとるんやな。)
『四つ子も既に揃うておるげに。』
(四つ子?なんの話しや?)
『サーシア殿のお子じゃ。
まとめて御産みなされたのじゃよ。』
(一人多いやんけ?増えたんか?)
『かくかくしかじか・・・』
(そやったんか~知らなんだわ~)
『ルルナ様は初めてのお子じゃよってに、
手練れ者が良かろうと言う話ぞな。』
(そらそやろ~ぽっと出の甘ちゃんでは
ドンならんやろ。
よっしゃ!ウチに任しときぃ!
バチコ~ンと生まれたるさかいっ!)
『良しなに~』
***
さてさて。
トモエとサナについて説明しとこうかな?
前世の物語を知らない人には「誰?」って
感じだよねぇ~
先ずはサナからね。
サナは転生者なんだ。
本名は千葉さな子。
幕末の時代に生きた女流剣士だよ。
北辰一刀流免許皆伝。
凄いでしょう?
坂本龍馬の婚約者だったけど
捨てられちゃったの。
それでも憎めなかったんだね。
生涯思い続けていたんだ。
サーシアの一番弟子、シモーヌの娘として
転生したんだよ。
レイサン家の直臣として活躍したんだ。
トモエは契約精霊。
モデルは平安時代の女武者、巴御前。
木曽義仲に仕える武人なんだけど、
愛人でもあったんだよね。
モデリングする際に記憶の一部がコピー
されちゃうの。
これは他の人型精霊もそうなんだ。
個性を持たせた方が契約者との親密度が
高まるからね。
でも少し混乱した状態でコピーされちゃった。
平清盛に殺されたと思ってるの。
実際には違うんだけどね。
武術の達人同士って事で、サナとの相性も
バツグンだよ!
***
『まぁ!サナが?』
「えぇ、システムから通知が来ました。」
精霊遺伝子が極限まで活性化し、
元々が精霊だったルルナは、
システムからのメッセージを直接
感知する事が出来るんだよ。
『一門の勢ぞろいですわね。』
「転生者の直弟子で言うなら、
一人足りませんけどね。」
『ん?誰ですの?』
「ジャニスですよ~忘れちゃったんですか?」
『あ~あの子ね~、影が薄いのよあの子。』
ついでに説明しとくね。
ジャニスはモルガンお雪の転生体。
京都の芸妓さんでね。
大富豪JP・モルガンの甥、
ジョージ・D・モルガンの妻になった人。
波乱万丈の人生だったよ。
『ルルナが産んであげなさいな。』
「私がですか?まぁ、構いませんけど。」
サナとジャニスは親友だったからね~
姉妹になったら喜ぶよ。
***
大きなお腹を抱えながらもルルナは
精霊塾を開校させたよ。
本当に働き者だねぇ。
精霊には等級と順位があるんだ。
魔法もそれに応じて初級から特級まである。
明確な区別は無いけれど上位の魔法を
使おうとしても、まず発動しないし
ぎりぎり発動しても意識を失う。
ちゃんとした知識と技術を身に付けないと
けっこう危険なんだ。
前世の場合だと司祭クラスで5年、
司教あたりだと20年の修行期間が
必要だったけど、今はそんな事を言っては
いられないね。
1年で司祭、3年で司教。
即席みたいなもんだけど当面は仕方がない。
とりあえずは魔法を普及させてから
徐々に質の向上を考えるかね。
頑張れルルナ~
もうすぐママだよぉ~




