第81話 精霊賃貸契約
アナタハ~セイレイヲ~シンジマスカァ~?
先ずは信者を増やさないとねぇ。
この世界に最初に転生した四始祖達は
地道に布教活動をしてたけど、
サーシアにそんな事を期待しちゃだめよ。
力ずくで押し付けるしか出来ないから。
とりあえずは、ノーベルンとダモンと
ハイラムに教区を設立して司教座を置くかね。
人材も育成しないとねぇ~
祭壇の数は全部で40ヶ所あるんだ。
ムーランティス大陸に12ヶ所。
ジンムーラには7ヶ所。
キキルで8ヶ所。
タエタトにも5ヶ所。
離島にも在るよ。
御存じインスタン島でしょう?
カーリン島、アマナー島、その他の島々に
それぞれ1ヶ所ずつ。
まだ使えないよ。
稼働の手続きをしないとね。
人型精霊か聖女かのどちらかが行って、
祭壇に触れるだけなんだけどね。
まぁそれは、おいおい進めるとしてだね。
今はイワンとオランの精霊契約を
済ませてしまおうね。
祭壇に立って、サーシア考案の呪文を唱える。
まったく酷い呪文だよ。
これから何万年、何十万年も使うんだよ?
ちち変化なんてサーシアの巨乳願望じゃん!
もう諦めなさいよ。
厳密には必要無いんだけどね。
初心者のサポート的な役割をするんだ。
子供用自転車の補助輪みたいなやつね。
明確なイメージを描けない者は、
呪文を唱える事で不備を補うのよ。
イワンにはフクロウの、オランにはムササビの
精霊が召喚されたよ。
どちらも上位の精霊だね。
そして精霊と契約が成立した事で、
イワンはサーシアとパスが繋がってね。
声が聞こえるようになったんだ。
便利なのは距離に関係なく聞こえる事。
ただし一方通行ね。
ルルナみたいに双方向では無いの。
『小指を出しなさいなイワン。』
それが初めて聞いたサーシアの言葉。
朝露が水面に落ちるような涼やかで
可愛らしい声だ。
白い薔薇の花が耳元で囁いたのかと思う。
なんだぁ?サーシア~
指きりでもするのか~?
ずっと傍に居てねっ!ってか?
「え?小指?」
『えぇ、精霊賃貸契約をしますのよ。』
あぁ~!あれかぁ~!
イワン~~~!
頑張れ~~~!
耐えろ~~~!
死にはしないよぉ~!
契約文が書かれた魔法紙に血液を一滴たらして
呪文を唱える。
それで成立だ。
『ちくっとするわよ。』
「うん、わかったよぉぉぉぉ~~~
いだだだだぁ~~~
おぉぉぉぉぉ~~~
ぎゃぁ~~~~~~~」
大出血~~~!
『これくらいで大げさですわよ。』
大怪我だっ!馬鹿野郎!
加減の出来ないやつだな!
「オランも人型と契約しますか?」
「い、いや!ボクはこのままでいいよ!」
「そう?」
ルルナはマトモだから大丈夫だよ?
ちゃんと先っちょだけでチクっと出来るよ?
サーシアだけだよ?
針が突き抜けるのなんて。
モモとルルベロとミサ。
三柱との契約が成立したイワン。
ホント贅沢なやつだ。
前衛二柱と後衛一柱。
攻守兼ね備えた万全の態勢だね。
これでサーシアも一安心だよ。
さて、一旦はノーベルンに戻ろうか。
ゲートを開いて瞬間移動だ。
楽ちん~
『ドコヘデモゲート~~~!』




