第80話 天の柱
垂直に切り立った絶壁が雲を抜け、
空に突き刺さり天界を支えている。
ってか?
んなわきゃないよぉ~
案外に低い位置にあるんだよ雲ってさぁ。
低層雲なんて、それこそ地表すれすれから
出るよ。
地面に接してたら霧、離れてたら雲なんだ。
モスピに懸かっている雲は層積雲なんだ。
だいたい二千から三千米くらいだね。
その上に頂上があるから五千米かな?
本来なら万年雪と氷に覆われている筈だけど、
モスピは常春の楽園!
色とりどりの花が咲き、木の実、果実が
揺れている。
気圧も酸素濃度も調整済みだよん!
此の地に足を踏み入れる事が許されるのは
精霊と聖女と、その同伴者だけ。
広大な敷地の中央に澄み渡る泉が在る。
余りにも高い透明度に境目が分からない。
指先が触れ、波紋が広がってようやく
水面だと認識する。
泉の中ほどに祭壇が在り、石造りの道が
伸びている。
静謐で神聖な空間に光が満ちる。
バッシャァ~~~ン!
『ぷはぁ~!気持ちが良いですわぁ~』
「準備体操もしないで飛び込んじゃぁ
駄目ですよ~サーシア~」
台無し~~~
『イワンもおいでなさいな!』
「奇麗な水だねぇ~」
『飲めますわよ!』
「魚は居ないのかな?」
『魚は居ませんわねぇ。』
「釣りは出来ないねぇ~」
『出来ませんわねぇ~』
「何をしてるのですか?オラン」
「い、いや、その、服が・・・
その・・・は、はだか・・・」
両手で顔を隠して見ない様にしているね。
純情だねぇ~
イワンなんか、ぜんぜん平気だよ?
フルチンだよ?
「水に入るのだから服は脱ぎますよ。」
「そ、そうだけど・・・」
「この後、精霊契約ですからね。
禊をするのが儀式の初めですよ。」
「う、うん・・・わかった・・・」
観念してさっさと脱げ!オラン!
さぁ~って!どんなんかなぁ~?
・
・・
・・・
おろ?
あんがいぷりてぃ~
良かったねぇ~ルルナ~
普通サイズだよぉ~~~
***
なにはともあれ、最初はサーシアだよね!
スキャニングして~
過去のパターンとの互換性を構築して~
はいっ!準備完了!
いよいよだねっ!
サーシアとルルナは、この段階で魔法が
解禁されたよ。
精霊契約無しでも構わない。
でもほら、イワンと精霊賃貸契約を結んで
モモとルルベロとミサを貸し出すには、
一旦、サーシアと契約しないとね。
「呪文はどうしますか?」
『あら?前のやつでは駄目ですの?』
「リセットされちゃいましたからね。
無くても構いませんけど、せっかくですし。」
『そーですわねぇ!
どうせならカッコ良いのにしませんとね!』
だよね~
前のはオタク丸出しで羞恥プレイだったよね。
新しい時代の幕開けに相応しい、
荘厳な呪文を頼むぞ!
『うん、あれが良いですわ!』
「決まりましたか?」
『えぇ!』
この日の為にと秘密基地から持って来た
純白のドレスに身を包み、祭壇の中央に立つ。
モモとルルベロとミサも祭壇に登る。
『風よ~~~ \(-o-)/
光よ~~~ /(-o-)\
にんぱおっ!
ちち変化!』
馬鹿野郎~~~~~~~~~~~~~~~!




