第63話 こーもん様
これだけの川幅に橋を架ける技術はまだ無い。
じゃぁどうやって?
問題は橋脚なのね。
それさえ在ればなんとかなるのよ。
ここの橋はね、大災厄の直前に完成した、
最新の土木技術で作られたやつでね。
洪水対策がバッチリだったのよ。
さすがに道路部分は壊れちゃったけどね、
橋脚と主桁は残ったのよね。
洪水の時は接合部が外れてクルっと回転
するのね。
そんで水の圧力を受け流す様に出来てるの。
それをなんとか直して橋を復活させたのが、
ボンクラン兄弟の御先祖様ってわけなのよ。
代々橋を守って来たエラ~イ一族だったのよ。
それがさぁ~
アイクとビリーの兄弟は子供の頃から
出来損ないでねぇ~
金遣いは荒いし、乱暴だし、女好きだしで
ロクなもんじゃないのよ。
すっかり悪い評判が立っているもんだからね、
最近では誰も橋を渡ろうとしないのね。
すると今度は街道を封鎖して、
そこでも通行料を取る様になったの。
でも迂回するのも大変なんだよね。
峠越えの細い細い荒れた道しか無いのよ。
ものすごい遠回りになっちゃうし、
デカイ蟲やトカゲも出るしね。
交易が滞ってしまって大迷惑!
なんとかしたいんだけど、怖ぁ~い用心棒が
わんさか居てね。
どうしようも無くて困ってるの。
「ビリーさん!客が来ましたぜ!」
「ん?銭は持ってそうか?」
「大型車5台ですよ!若い女も居ますぜ!」
「そうか!じゃぁ歓迎してやらねぇとなぁ!」
サーシアの指示で精霊達はステルスモード、
オランは荷車の方に隠れている。
なんでわざわざ、そんな事するの?
「舐められちゃいますよ?」
『それで良いのよ!』
「え~?どうしてですか?」
『あれ、一度やってみたかったの。』
「あれって?」
『控え居ろう~!ってやつですわ!
見て肛門!ですわ!』
「水戸黄門ですね。」
うわぁ~完全にお遊びモードになってるよ~
面倒くさがり屋のくせに退屈が嫌いだから~
無理やりイベントにしようとするんだよね。
質の悪い奴だよ、まったく。
『イワン?ちゃんとセリフ覚えたかしら?』
「えぇ~い、しずまれ~しずまれ~こ~の~
お~か~た~を~ど~な~た~と~」
『いちいち伸ばさないの!』
「え~~~っと?なんだっけ?」
「全部覚えるのは無理じゃないですか?」
『そ-ですわねぇ、仕方がありませんわね。』
板にセリフを書いてそれを読ませる事にした。
要するにカンペね!
『ハニー、合図をしたらオランを出して頂戴』
「はぁ~い。」
始めは渋っていたオランだったけどね。
ほら、暴力を振るうなって育てられたから。
でもサーシアから恋人や家族を守れないなら
ルルナと別れろって言われてね。
「わ、わかった!ぼく頑張るよ!」
って覚悟を決めたみたい。
お前なぁ~
イワンには『セリフを言い終わったら車に
戻りなさいね、危ないから。』
って言ってたじゃん!
えこ贔屓がすげぇ~よ!
可哀そうなオラン・・・優しい子なのに~
サーシアの暇つぶしの為に・・・
でもサーシア達と一緒に居ると、嫌でも
トラブルに巻き込まれるからなぁ~
そーゆー運命だからね。
遅かれ早かれ戦いに身を投じる事になるよね。
良い練習になるかな?
「そろそろですよ、ほら来ました。」
『うふっ!ワクワクしますわね!』
***
橋の手前までは、すんなりと来れた。
でも周りを囲まれているね。
いやぁ~人相の悪い連中が揃ってるなぁ~
オランほどじゃ無いけど。
「おい!止まれ!」
「なんでしょうか?」
「この橋は有料だ、通行料を払って貰おう!」
「そうですか、いくらですか?」
「そーだなぁ~、古銭銀貨10枚だな~」
「随分と高いですね。」
「払えねぇなら車も荷物も没収だ。」
「それでは渡る意味が無いですよ。」
「町に入った時点で契約は成立してんだよ。
キャンセルは出来ねぇよ。」
「そんな話は聞いてませんよ?」
「そりゃそうだろ~よ、してねぇからなぁ!」
わっはっはっは!
ぎゃははははは!
諦めなぁ~お嬢ぉ~ちゃん!
「なんなら体で払っても良いぜ?そーしなよ。
二人とも可愛がってやるからよぉ!」
い~ぞ!い~ぞぉ!
俺は右の娘が良いなぁ!
じゃぁ俺は左だぁ!
俺は両方だぜっ!
ぎゃははははは~~~~~~!
「許せませんね。」
「あぁ?」
「私のサーシアを邪な目で見るなんて。」
「ほぉ、そっちのはサーシアってのか?
お前ぇはなんて名だぁ?」
「はぁ~私とした事が・・・つい癖で・・・
反省ですね・・・」
「なぁ~教えてくれよぉ~お嬢ちゃぁ~ん。」
「この身の程知らずが・・・」
やばいよやばいよ~
ルルナがキレそうだよ~
『頃合いですわね!イワン!出番ですわよっ!』
「え?あ、あぁ、えぇっと、うわっ!」
あらら~カンペ落としちゃった~
早く拾え~
「あ~え~
この~もんどころ~が~
こ~こ~ろ~え~る~
ええぃ~しずまれ~しずまれ~
だいせいじょ~さまぁ~なるぞぉ~
めに~はいらぬかぁ~
このかたを~ど~な~た~と~
せいれいの~~~」
番号付けるの忘れてた・・・
『ハニー!オランを出しなさい!』
「はぁ~い!」
Forth Gate Open!
Forth Gate Open!
Quickly!Quickly!
Forth Gate Open!
Pull the throttle!
All right Let's Go!
「オラン~発進~!」
「うがぁ~~~!なんだこのやろ~!」
オーラーン!ボンバイエッ!
オーラーン!ボンバイエッ!
オーラーン!ボンバイエッ!
萌える闘魂!




