第62話 本気!と書いてホンキと読む!
いや、当時は「うわぁ~カッコ良い~~~!」
って思ったよ?
本気!と書いてマジと読むなんてオシャレぇ~
ってね。
本気君も素敵だったしね!
それが定着して、未だに「本気かっ!」って
使ってるもんねぇ。
でも、ふと思ったんだ。
本来「マジ」とは「真面目」の略だよねって。
確かにさぁ意味は近いよ?
真面目と本気は。
例えるなら友達?なんなら親友?
それってさぁ。
ちゃんとした彼氏がいるのに、
その親友とやっちゃった!みたいな?
そんで出来ちゃった!的な?
NTRだよねぇ~
真面目の立場になってごらんよ!
自分の読み仮名の三分の二を取られたのよ?
切ないだろうなぁ~
悲しいだろうなぁ~
悔しいだろうなぁ~
だから私は「本気はホンキ」だと主張するよ!
***
『本気ですの?ルルナ?』
「えぇ本気ですよ、サーシア。」
すまん!真面目!止めれなかったよ・・・
そりゃ~びっくりだわな。
だってオランだよ?
野人オランだよ?
デンデスの怪物ヒマティだよ?
軽~く2m超えてるよ~?
体重だって200㎏は下らないよ~?
顔は怖いしさぁ~
なんかいつもグルグル唸ってるしさぁ~
まぁ心根は優しいけどね。
浮気もしないだろうし。
でもなぁ~
サーシアもそうだけど、ルルナも小柄な
体形じゃん?
将来を心配しちゃうのよね。
子作り出来るのかなぁ~?
セントバーナードとチワワだよ。
入る?
裂けちゃうんじゃないの?
死んじゃうよ?
まぁ~子供の居ない夫婦水入らずってのも
アリっちゃアリだけどね。
『ルルナが選んだなら祝福しますわ。』
「ありがとう!サーシア。」
『オランの何所に惚れましたの?』
「サーシアのお気に入りなところ?」
『・・・それは惚れたとは言いませんわよ。』
「イワンでも良かったのですけどね。」
『それは許しませんわ!おめでとうルルナ!
オランと末永くお幸せにね!』
「?えぇ、もちろんです。」
***
「本気かっ!」
「本気なの?」
「うん、本気~」
すまん真面目・・・もう諦めてくれ・・・
「良かったな!オラン!」
「おめでと~!」
「あ、ありがとう!トール、シャリィ。」
今じゃすっかり仲良しな三人。
正直ちょっと気を使ってたんだよね~
トールもシャリィも。
オランの前ではイチャイチャしない様にね。
特にトールには苦い経験が有るからねぇ。
嫉妬に焼かれる辛さは身に染みている。
オランにそんな思いをさせてはいけない。
ちゃんと他人の事を思いやれる男になったよ!
もうしっかりズル剥けたよっ!
やったね!トールちゃん!
でもまだ子作りはお預けだからね。
モスピの再起動が済んでからだよ!
それにトールちゃんはダモンの里で修行を
しないと駄目なんだからね。
虎の穴でみっちりと!
ボージャンガルの姓を持つのだから、
ダモン御庭衆の一族を作って行くんだよ。
棟梁としてね。
***
シアラムの本流に辿り着いた。
さすがにデカイなぁ~
これでもまだ上流域なんだよね。
こんなもんじゃ無いよぉ~
無数の川が合流して、どんどん大きく成る。
向こう岸が見えなくなる程にね。
次の目的地は中流域に在る精霊殿遺跡。
ほら、ゲルダのお墓が在る所だよ。
必ず立ち寄ってお参りする様にって
イリュパーから言われている。
サーシアも叔母のお墓に手を合わせたいと
思って居るしね。
「あぁ~橋は在るけどな~それがな~」
向こう岸に行きたいのだけれど橋は無いかと
小さな集落で尋ねたんだよ。
そしたらね。
もう少し下った所のムーストンって集落に
橋は在るっちゃ在るんだけど、
通行料がすんげぇ~高いんだとさ。
「ボンクラン兄弟ってのが牛耳っててな。
親父が生きてた頃は良心的だったけどよ。
あいつらが継いでからは、ひでぇもんだ。」
橋の両側に町が在って、北側を兄のアイクが。
南側を弟のビリーが仕切っているそうだ。
その両方で金銭を取るんだとよ。
「まともな連中はみんな逃げ出したよ。
今じゃゴロツキの巣窟だ。
行かない方がいいぜ。
もっと上流の浅瀬で渡りなよ。」
いやぁ~それは遠回り過ぎるだろ~
更に下流に行けば、渡し舟があるそうだけど
人や荷物はともかく、車は無理だからね。
まぁ~奥の手が有るんだけどね、サーシアが
『橋が在るのなら、それを渡りましょう。』
って言うのよね。
「以前の通行料はいくらだったのですか?」
「人は古銭銅貨1枚、大きい車は10枚だな。」
「では59枚ですね。今は?」
「人は10枚、車は積荷で変わるな。」
「場合によってはボッタクられると?」
「そーゆーこったな。」
「どうしますか?サーシア。」
『通行料は払いますわ。古銭銅貨59枚。』
「ではそうしましょう。」
お~い!ボンクラ兄弟~!聞こえるかぁ~!
59枚で手を打って置け~!
そうすれば、大人しく通り過ぎて呉れるから!
って言っても無駄なんだろうな・・・




