第61話 ヘコ・ヘコ・アザラシ
山岳地帯もそろそろ抜けるかな?
って所まで来たよ。
支流に沿って走る、谷あいの狭い街道を
下っているの。
あんまり整備されてる道じゃないから、
車が揺れて酔ってしまうんだ。
だからサーシアはエドちゃん、
ルルナはシモフリちゃん、
イワンはマリョーシカ、
他の者達もイクアナに乗ってる。
オランは歩きだよん!
「ウキキウキ~」
『あらそぉ?遅かったですわね。』
「もう来ないのかと思いましたよ。」
『イワン、危ないから車に戻りなさいな。』
「サーシアは入らないの?」
『私は平気ですわ。』
「精霊達がガードしてるから大丈夫ですよ。」
「そう?じゃぁ気を付けてね。」
『えぇ、窓から顔を出しては駄目ですわよ。』
ズキュ~~~ン!
いきなり撃って来た!
曳光警告弾だな。
派手な光と音で飛んで来る。
とゆー事は憲兵隊用かな?
それでも生身の人間が相手なら十分な
殺傷力があるね。
一見すると火薬の様に思えるけどね。
似たような効果を発する魔法なんだよね。
とゆーのも精霊は人間が火薬を扱う事を
許さなかったんだ。
歯止めが利かなくなるからね。
もっと強力な!もっともっとってね。
わかるでしょう?
自分でちゃんとブレーキを踏めないんだから
自動制動装置を付けないとね!
自由にさせれば良いってもんでも無いのよ。
だから魔法で代用させて制限を掛けたのよ。
これで我慢しなさい!ってね。
開発の試みは全て潰した。
さて狙いはルルナ。
先ずは邪魔な姉を始末して、混乱と動揺を
発生させてから突入し、妹を捕獲して制圧。
人質の命を盾に精霊を恫喝して従わせる。
うん!
作戦としては悪くないね。
襲撃班の員数も充分だし、場所も良い感じ。
でもねぇ~
一瞬で弾道に立ち塞がったミサ!
懐かしい公立校のセーラー服!
のスカートを無理やり巻き込んでミニ!
ウエストで相撲取りのマワシみたい~
却ってブサイクだからやめなさいって
言ってるんだけどね。
「じゃぁ~ミニスカート支給して下さいよ~」
って文句を言うんだよね。
「ちぇすとぉ!」
ミサの怨念が具象化したプラズマブレードが
弾丸を切り裂き蒸発させた!
「また、つまらぬものを斬ってしまったわ。」
ギョエモンかっ!
でも良くやったね!エラいぞっ!
ミニスカートの申請を出しといてあげるね!
「な!なんだとぉ!」
「ジェ、ジェバーの光が・・・」
「う、撃て!撃て!」
ズキュ~~~ン!
ズキュ~~~ン!
ズキュ~~~ン!
「せいっ!ろぅっ!がんっ!」
ズキュ~~~ン!
ズキュ~~~ン!
ズキュ~~~ン!
「りゅうっ!かくっ!さんっ!」
ズキュ~~~ン!
ズキュ~~~ン!
ズキュ~~~ン!
「うめっ!じんっ!たんっ!」
「も!もう玉切れですぅ~~~」
「なんと・・・」
「今宵の斬鉄剣は一味違うわよ!」
斬鉄剣じゃねぇ~しぃ~
真昼間だしぃ~
『ルルナを狙うなんて!許せませんわね!』
あぁ~サーシアを怒らせた~
『ミサ!やっておしまいなさい!』
「いぇす!まむ!」
ざっと百人くらいかな?
ミサ一柱で充分だね~
「ヘコ・ヘコ・アザラシ
ヘコ・ヘコ・ノザラシ
スコ・スコ・スルノデス
ヒコ・ヒコ・アライヤダ
エロヒム・エイサイム
我は求め訴えたり
我に仇なす者を滅し給え!」
長い呪文だなぁ~
別に必要ないじゃん~
「ほいっ」って発動できるでしょう?
エエカッコしいなんだからぁ~
「うわっ!ぎゃ---」
超高温のプラズマ球に包まれて、
襲撃者達は消滅した。
一瞬だね~
サーシアとルルナを害する事など出来ないよ。
少なくとも人の意思ではね。
システムに守られているからね。
それこそ最優先でね。
もちろん不老不死なんかじゃ無いよ。
病気にもなるし、老化だってする。
生き物としての摂理には従うよ。
これで分かったでしょう?ピヨッち。
もう居ないけどね~
あははは
「もう終わったの?」
窓からヒョコッとイワンが顔を出す。
出すなって言われてたろーが~。
あっ!そうか!サーシアの声は聞こえて
無かったんだよね。
いつも絶妙に噛み合ってるもんだから、
すっかり忘れてたよ~
『えぇ、終わりましたわ。』
「怖かったねぇ~」
『ふふっ、イワンは怖がり屋さんですわね。』
「怪我はして無い?」
『まぁ!心配して下さるの?嬉しいですわ!』
「そろそろお昼だね、お腹空いちゃったよ。」
『では、河原に降りて準備しましょうね。』
「魚でも釣るかなぁ。」
『それが良いですわ!』
ねっ!もう特技だよね!イワン。
「イワンとサーシアって、
すっごい仲良しだなぁ~」
「えぇ、運命の二人ですからね。」
そうそう!いずれ三人の娘を誕生させて
貰わないとね!
アリーゼとアーミアとサラーラ!
もう少し先の話しだけどね~
「いいなぁ~」
「羨ましいですか?オラン。」
「うん、僕も恋人が欲しいなぁ~」
「なってあげましょうか?恋人。」
え?今なんて言ったの?
「え?今なんて言ったの?」
なんかこのパタ~ン多いな・・・
私が先に言ったんだからねっ!




