第55話 ロンドガリア
「何のつもりだ!バイアス!離せ!
えぇい!離さぬか!無礼者!」
神殿の奥、大司教専用の礼拝室から
引きずり出された素っ裸の男と若い娘。
なんとまぁ、お泊りしちゃったのね~
「ふん、穢らわしい。連れて行け!」
首都ジェバラード。
夜明け前に蜂起した戦士二千五百名が
一気呵成に教団本部を制圧した。
クーデターは成された。
「戦士長!教皇が何所にも居ません!」
「逃げたかっ!探せっ!」
教皇ピヨラール三世、教皇庁にその姿は
無かった。
気付かれてしまったようだね。
まぁ、その内に捕まるさ。
ここにジェバー教団は壊滅した。
しばらくは混乱するだろうけど、時間と共に
精霊信仰が普及して行くだろうね。
と言うのも権力で押さえつけてたけど、
民心は離れつつあったからね。
ちょうど良かったのかも知れない。
***
「サーシア~、向こうは片付いたってさ~
ジェバラードから迎えの使者が来たよ。」
『そう?では参りましょう。』
「けっこう時間が掛かりましたね。」
『それは仕方がありませんわね。
成功したのだから良しとしましょう。』
「そうですね。」
いや、何を言ってんの?
40日でクーデター政権樹立だよ?
たまたま条件が重なったけど、
有り得ないよ?普通は。
まぁ、普通じゃ無いけどね君達は。
ジェバラードに着くと門の前まで出迎えに
来ていたよ。
戦士達が跪いて忠誠を示しているね。
「精霊様!聖女様!ようこそおいで下さい
ました!
我らの忠誠をお受け取り下されませ!」
『良いでしょう、そなた達の忠誠を
受けましょう。』
「大聖女エルサーシアの許しを得ました。
バイアス、前に出なさい。」
「はっ!有難き幸せに御座います!」
ルルナはブレないねぇ~
絶対サーシアが一番なんだよね。
バイアスから剣を受け取りサーシアに渡す。
あぁ、これは騎士の叙任だね!
跪くバイアスの両肩に剣をそっと当てる。
『戦士バイアス、そなたを我が騎士に任ずる。
今日より騎士ロンドガリアを名乗るが良い。』
ほぉ~!
オバルト騎士団の名門ロンドガリア家を
復活させるってか!
まぁ、前世では王家の血筋だったからな。
任命するのも筋違いでは無いわな。
ついでに首都の名前も変えたいって言うから
それも許可した。
ルルナとエルサーシアにちなんで
「ルルサーシア」だってさ~
精霊教会が再建されたら国教として定めて
宗教国家として成立させたいって言うんだ。
『でしたらハイラム聖教国になさいな。』
「それは良い名ですね!サーシア!」
『国旗もデザインして差し上げますわ!』
「それは良いアイデアですね!サーシア!」
なんか・・・嫌な予感がする・・・
国名はともかく国旗は断った方が良いよ?
デザインのセンスなんかゼロだよ?
ロクなもんじゃ無いよ?
「おぉ!光栄の至りに御座います!」
あぁ~~~
駄目だこりゃぁ~~~
***
『曾祖母様《大おばあさま》、お久しゅう御座います。
サーシアに御座います。』
「クリステル様、ルルナです。
今世では人間になりました。」
念願のお墓参りに来た。
案の定、跡形もなく崩れ去り密林に呑まれて
しまっていたんだよ。
それを大規模工事で再建したんだ。
90日も掛かったよ。
もう骨も何も残って無いから、霊廟と
言うよりも記念碑なんだろうけどね。
形式は昔のままの姿を再現したんだ。
ハイラム王国の代紋もビシッと入ってるよ!
しっかりと維持管理をするようにと、
専属の管理人も居るよ。
実はね、この為にクーデターを扇動したんだ。
クリステルのお墓を奇麗にするのが目的なの。
身内をこよなく愛するサーシア。
国の一つくらい潰すよ!




