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第54話 聖戦士

ハイラムの王都だった遺跡集落が

ジェバー教の本拠地だ。

大司教が集落の長を兼ねている。

その上には教皇も居る。


この世界には珍しく、宗教としての

組織体制が整っているんだ。

教義もちゃんと有ってね。

創世神話も備えている。


そして一番びっくりしたのはね。

前時代の知識が、ほんの少しだけど

残されているんだよ。

学問としてね。


とは言っても魔法科学だから再現は出来ない。

一部の学者達が代々受け継いでいるだけ。


どうやら精霊教会ハイラム教区が、

まるまる宗旨替しゅうしがえしたみたいだね。


大災厄の後、精霊契約が消滅して、

世界中の精霊教会は壊滅したと思ったけど

太陽信仰に切り替える事で存続したんだね。


いやぁ、なかなか大したもんだよ~

直後の二百年は生き延びるのに精一杯で、

信仰どころじゃ無かったろうにね。


精霊の加護を失った人類が、どんな辛酸を

舐めて生き延びて来たのか?

言葉では尽くせないよ。


沢山死んだもんね。

絶滅するかと思ったくらいだよ。

そりゃ、逆恨みもするよね~

教義に怨念がこもってるもん。


「何故我らを見捨てたっ!」

って叫びが聞こえてくるよ。


でも勝てないよ、君達では。

ただの人間だもの。

心も体も貧弱な、ただの普通の

人間だもの。


***


「い、今の話しは本当なのか?」

「そうだよ、もうすぐ復活するよ。」

「魔法が・・・使えるように・・・」


「博士や司教達は、みんな知ってるよ。

隠してるんだ。」

「・・・さもありなん、それが知れたら

教団は崩壊する・・・」


「君はどうする?私達に付くかい?

それとも教団と共に滅びるかい?」


「私は・・・私は見たい・・・

新しい世界を!魔法の復活した世界を!」


「決まりだね!じゃぁ、話を進めようか。」

「承知した。」


***


「とゆーわけで~、準備は整ったよぉ。」

『仕事が早いですわね!良い子ね、ミコ。』

「えへへへ~~~」


CIAの調査で、この地域の事情をおおむ

把握する事が出来たよ。

教団の指導者達は真実を知っている。

でも自分達の地位を守る為に隠してるんだ。


最高評議会のメンバーは代々世襲でね。

権力を身内で独占しているんだ。

宗教貴族だね。


不満は沢山あるけど、信仰心が有るから

逆らえない。

惨忍ざんにんな命令でも神の意思だと言われたら

従うしか無いんだ。


戦士長バイアスは、これまで何人も殺した。

その殆どは無実の罪を着せられた政治犯だ。

教団の改革を訴える者は粛清しゅくせいされたんだ。


こんな事が神の意思なのか?


バイアスは苦しんでいたんだ。

でもそれを口には出来ない。

言えば今度は自分が殺される。


自分だけでは無いよ。

家族も神に背いた悪魔の眷属として処刑され

葬儀も許されない。


押さえようとしても湧き続ける疑念に

懊悩おうのうする日々に耐えていたんだ。


そこに現れたのがサーシア達なんだ。

幹部連中の狼狽うろたえ振りは滑稽こっけいなくらいだよ。

ほとほと愛想が尽きちゃったんだよね。


同じ思いを持つ者は、他にも結構居てね。

CIAがリストを作ったんだ。

その者達にミコが接触したってわけ。


秘密裏に何度も集会が開かれて、聖戦の為に

集められた戦士の殆どがミコの話を聞いた。

つまり~集団でハッキングされたって事ね!


教団幹部をハッキングすれば、もっと簡単に

済んじゃうんだけどね。

でもそれだと信仰しんこうは残っちゃうでしょう?

また次の指導者が出て来るだけなんだよね。


ジェバー教そのものを衰退させるには、

信者自身に否定させる必要が有るわけね。

「この信仰は間違っていた!」ってね。


クーデターが最適!


実力が高くて、人望も有って正義感が強い!

でも現状に不満が有って、

でもどうしようも無くて、

くすぶっている奴。


それが戦士長バイアス!


白羽の矢がズドォ~ン!ってね。

穴に差し込まれたの!


男途愛オトメ穴に!




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