第46話 だって人間だもの
聖女一行の随行者は四人。
経験豊富なリーダー的役割のバンドーと
その妻アベラ。
アベラは産婆(今で言う所の助産師)だ。
まだ先の話しだけどサーシアが出産する時に
備えてダモンのスタッフを連れて行くのね。
他所の者には任せられないよ。
トールも居るよん!
若すぎるって反対意見も出たけどね。
まだ13歳だからねぇ。
思春期まっ盛りだし~
「一緒に行くってユーリと約束したんだ!」
「そうなの?ユーリ。」
「あ~したかも?」
あれ約束した事になるのかなぁ?
名乗りを上げろとは言ったけど、
一緒に来いとは言ってなかったよ?
ルルナも空覚えだよ~
『約束したのなら連れて行きなさいな。』
「サーシアがそう言うなら、そうします。」
ダモンの女に二言は無いのだっ!
そしてハニーの忠実な僕となったリリカ。
すっかりM体質になったよ!
八本の細い革ひもが束になった調教用のムチ
快楽鞭秘。
打つと同時に大量のセロトニンを脳内に
分泌させるんだ。
そして言葉攻めで徹底的に人格を破壊する。
記憶領域の情報にアクセスして、
秘密を当の本人自身に暴露するんだ。
内容は解らないよ、本人にしか。
再生スイッチを押す感じだね。
脳内で隠していた筈の記憶が次々と蘇る。
表情が歪んで行くから、それに合わせて
言葉を叩きつけるんだ。
「なんて下らないんだ!お前なんかに
存在する価値は無い!」
「ち、違う!私は!私は!」
まだまだ~
「誰もお前を必要としていない!
誰もお前を愛してなどいない!
全部嘘だ!総て錯覚だ!みんな幻だ!」
「いや~!やめてぇ~!」
もう一押し!
「死んでも何も残らない!
お前の人生など無駄だ!
始めからお前の命は無意味なのだ!」
「あぁ~あぁ~あぁ~・・・」
これは効くよぉ~
自尊心が砕け散り、抜け殻になった心に囁く。
「私がお前を助けてやろう。
なんの価値も無いお前に道を教えてやろう。
お前は今、生まれ変わったのだ。
さぁ、新しい一歩を踏み出せ。
私と共に来るが良い。」
この時のハニーはキラキラと発光していて
とっても神々しいんだ。
子守歌のように優しく囁くんだ。
視覚と聴覚にガッツリ食い込む。
肉体的苦痛と精神的苦悩。
でもセロトニンがドバドバ出てるから
快楽を感じている。
分裂状態に陥った脳は、ハニーに縋る事で
統一性を保とうとするんだ。
ハニーの命令に忠実である事を中心軸にして
人格が再構築されるんだよ。
これを解除するのは人格を破壊するのと同じ。
完璧な洗脳!
キョーレツゥ~~~!
あの洞窟でルルナは言った。
その命でも償えない罪を犯した・・・
と・・・
だから殺さない。
殺してあげない。
ルルナ怖ぁ~~~い
***
ジンムーラ大陸の丁度真ん中、旧キーレント。
広大な砂漠が延々と続く。
この旅に於ける最初の難関だ。
イリュパーはハリマオちゃんに乗って
強行突破したんだ。
今回はそーゆーわけにも行かないなぁ~
ガンモちゃんの情報では、
数ヶ所のオアシスが在るのだけれど、
互いに距離が離れているし、
方角もバラバラだそうだ。
台車で砂丘を越えるなんて出来ないから
最短距離を行くのは不可能だね。
岩場の荒れ地を縫う様に南下して、
デンデス山脈を越えてから西へ進むルート
しか無いね。
「今日はこの辺で野営にしましょう。」
バンドーが早めの休息を提案する。
砂漠地帯に入ってから五日目になるからね。
疲れが溜まって来る頃だ。
「そうですね、お願いします。」
ルルナも同意した。
幸いな事に、水と食料には苦労しない。
精霊達が調達してくれるよ!
さすがに素材のままだから調理は必要だけど。
「ユーリ!手伝うよ!」
テントの設営が終わったトールが駆けて来る。
「ではそのトカゲを解体して下さい。」
「おぅ!任せとけ!」
張り切ってるね!トール!
ガシャン!
「ユーリ?どうした?」
「いぇ・・・ちょっと・・・」
顔色が悪いよ?ルルナ。
「あっ!危ない!」
ドサッ!
「ユーリ!」
大変だっ!ルルナが倒れたっ!




