第33話 新生ダモン
雨季の終り頃、モルゴン移民団が到着した。
若い夫婦を中心に複数の班に分かれている。
それぞれの班から狩人兼兵士を供出して、
三百人ほどの護衛隊が居る。
指導役の年配者が長老会を組織する。
なかなかのもんだ。
早速に開拓が始まり、集落としての体裁が
整って行った。
第二次、第三次と後続の移民も計画されて
いずれは大集落になるだろう。
「ダモンですか?」
「うん、ダモンの地に住む者をダモンって
呼ぶんだよ~」
霊峰チョチョリーナを始め天山連なる
ラーアギル大山脈。
此処を守護する一族がダモンなんだよ。
天然の要塞と険しい地形がダモンを育てる。
いつか遠い未来に、あの勇壮で誇り高き
ダモンが蘇ると良いね。
「これからはイリュパー・チャーフ・ダモン
そう名乗るんだよ~」
「長いですねぇ。」
「そーゆーもんなんだよ~」
初代の族長にはカイザが就任した。
正直な所はちょっと頼りないけど
見てくれは良いからね~
悔しいけど大事なんだよ。
御神輿は立派じゃないと駄目なんだ。
勿論、更に重要なのは担ぎ手がしっかり
している事。
それだけじゃないよ。
先導役やお囃子、安全を管理する者も要る。
英雄の築き上げた国が一代で滅ぶなんて
珍しくは無いんだ。
それはね、国起こしとそれ以降の治世とでは
必要な体制が異なるからなんだよ。
会社でもそうでしょう?
創業時に求められるのはカリスマ的な
経営者と忠誠心の高い部下。
でも二代目三代目に、それは無い。
バランスの取れた権力の分散。
システマチックな役割分担。
臨機応変な体制転換。
言うは易く行うは難し。
「あ・・・」
「ん?どうしたの~?」
「おしっこ漏れちゃった・・・」
「それ破水じゃないの~?」
「え?」
「産婆さん呼んで来るね~」
長老の中には出産子育てに詳しい
ベテランの産婆さんも居る。
その辺は抜かりは無いよ!
テレテンサは有能だね!
通常なら明日あたりに陣痛が始まり
順調に行けば半日から一日で出産だ。
まだ慌てなくても良いよ。
いつ始まっても良い様に準備は出来てる。
あぁ!いよいよ産まれるんだね!
一万年振りの復活だよ!
世界は随分と変わってしまったけれど。
君たちなら大丈夫だよ。
どんな困難も障害も乗り越えて、
きっと使命を果たして呉れるだろう。
また君たちの物語を綴る事が出来ると思うと
私は嬉しいよ。
さぁ!おいでルルナ!
さぁ!おいでサーシア!
エルサーシア!ルルナ!




