*第28話 今日の日はさようなら
昨日の私は昨日までしか知らなかった
今日の私は今日までしか知らない
明日の朝に私は目覚めたら
初めての一日に出会う
昨日と今日の私は違う
今日と明日の私は違う
今の私は今だけの私だ
ただ他の人よりもずっと
ずっとずっとずっとずっと
私に似ているだけだ
鏡に映る私のように
***
あれから30日が過ぎた。
カイザもようやく歩けるようになった。
でもまだまだリハビリだね。
精霊殿はすっかり奇麗に片づけたよ。
集落のみんなにも手伝って貰ったんだ。
精霊様のお手伝いだ!って事で張り切ってたなぁ~
盗賊も居なくなったしね。
ゲルダの遺体は少し離れた所に在る
ゴミ捨て場に放り投げられていたんだ。
傷みが激しくてね・・・
カイザにはとても見せられないよ。
汚れだけは洗い流して、奇麗な布で包み
棺に納めて精霊殿の裏手に埋葬したんだ。
墓石も立てたよ。
墓標も刻んだ。
ちゃんとしたんだ。
「ゲルダ・・・」
”ゲルダ”と名を刻んだ墓石に手を当ててカイザが泣いている。
「ごめんなさい・・・」
「君が謝る事なんて無いよ!むしろお礼を言わせてくれ。
ゲルダの敵を討って呉れてありがとう。」
「でも・・・間に合わなかった・・・」
「それは・・・仕方が無いさ・・・」
助け出した子供達の話しでは、
連れ戻されたその日に死んだらしい。
イリュパーがカイザを見つけた時にはもうすでに遅かったのだ。
「近隣の集落の者たちと協力してこの遺跡を管理する事になりました。
また破落戸の巣になったら困りますから。」
「いずれ此の地を聖女が訪れるでしょう。
その者、青きパンツを履きて金色の野に降り立つべし。
失われた~なんちゃら~かんちゃら~」
「おぉ~!精霊様のお告げじゃ~!」
好きだねぇ~ハニーはそれ。
行く先々でやってるよね。
サーシアは基本的に白派だよ?
せいぜい淡い色合いの宝石染めかなぁ。
濃い青色のパンツなんか履くかなぁ?
怒られても知らないよん!
***
なんじゃかんじゃと言~とる内に、
また数十日が過ぎてしも~たわいな~
カイザもかなり回復して、今は集落の雑用を引き受けている。
「もう良いんじゃないかな~」
「いやぁ、まだまだ心配ですよぉ~」
「そうかな~?あれだけ動けたら充分なんじゃないの~?」
「体の怪我は塞がっても、心の傷はそー簡単には治らないんですよ!」
「そんな事を言い出したらきりが無いよ~」
「助けたからには最後まで責任を持つのが聖母たる者の務めです!」
いやまだ産んで無いから~
どうやらイリュパーはカイザが気に入ったみたいだね。
解らないでも無いけれど~
忘れてないか?
君の目的を。
「わかってますよ!それは!
わかってますけど・・・」
早いもので旅立ちの日から、もうすぐ2年。
夕暮れに人恋しい14歳のお年頃。
仕方がないのかな?
ハニーも無理強いはしたくない。
だってサーシアの母、前の母パトラシアは夫とラブラブ状態で産んだからね。
愛の申し子である事も重要な条件の一つだ。
さぁ~てど~するかなぁ~?
「俺も連れて行ってくれないか?」
ハニーから話を聞いたカイザが同行を申し出た。
「イリュパーには世話になりっぱなしだ。
恩返しをしないとゲルダに怒られる。
雑用でも何でもするから。」
「せ!せっかくだからそーして貰おうかな?
ちょうど人手が欲しいな~って思ってたし!
ねぇ良いでしょう?ハニー様~!」
「ん~~~まぁ~良いかなぁ~」
明日からは昨日までとは、ちょっと違う旅になりそうだ。




