*第19話 天と地に真の理を
「も・・・もうやめて・・・」
「あ~ん?何だって?」
「ゆ、許して下さい・・・」
如意竹刀炸裂~~~!
いや~まだ何もしていないのに~
声を掛けただけなのに~
ただねぇ、いきなりモモに向かって
「おい!お前!」は駄目だよぉ~
見るからにヤバそうじゃん。
蟲でも爬虫類でも毒の有るのは派手な色しているでしょう?
あれと同じだよぉ。
今は無契約だから誰も止めないよ?
野放しの猛獣だよ?
ピンクと白のキラキラのアイドル衣装にヒラヒラのミニスカート。
まぁそこまでは良いよ。
それに紫の特攻レディースガウンを合わせる所がマトモじゃぁ無いよね?
背中に愛羅武勇の刺繍だし、真っ赤なゴム長靴を履いているしね。
言っても分からないだろうけれど、
モモってゆーのは略称なんだよ。
「魔法のサドンデス ヤンキーモモ」
それが正式の精霊名なんだ。
同じ精霊でもルルベロは大人しいし、
イワンなんか顔に馬鹿って書いて有るし、
なんでまたよりよってモモに話しかけたりするのかなぁ?
「い、命だけは・・・お助け・・・」
「もう許してあげたら?モモ。」
「そうか?じゃぁ許してやる。」
「あ、ありがとう御座います!」
「ねぇ、あなた達は何所から来たの?」
本来それは彼らのセリフなんだけど・・・
自己中なのは一緒だね~
「わ、私達はモルゴンの者です。」
「この辺りを支配している国の兵士です。」
ほう!国の概念が有るのか~
と言う事は身分や階級とかの制度も構築されているのかな?
彼らの話しに依ると、幾つかの集落に分かれ
互いに争っていたモロティン族をまとめて統一国家としたのが
大首領アゴネスチャーンだと言う。
彼は自らを精霊の子孫であると称しているらしい。
なんでも蒼き狼の精霊だとか。
「んなわけねぇ~だろぉ!精霊が人間と子作りなんかするかっ!」
「ひ、ひぃぃぃ~わ、私じゃありません!
首領様がそー言っているんですよ~!」
居るよねぇ~
そーゆー奴~~~
権力を握るとさぁ~欲しくなるんだよぉ。
権威ってもんがさぁ。
あぁ~痛い痛い~
でもさ。
結構に通用するんだな!これが!
信じちゃうんだよぉ~
むしろ信じたいのかな?
どうせ従うのなら只の人間よりも神聖な何かの方が納得できる!
みたいな?
人の心理だねぇ~
そうなるとだね、
脳とゆーやつは辻褄を合わせる為に色々とやらかすんだよねぇ。
見える筈の無いものが見えたり、何所からか声が聞こえたり。
記憶が書き換わったり。
集団でそうなる事もある。
本人には区別がつかないから厄介だよねぇ。
「本当に見たんだ!」
うん、その通り!
眼球で見たのも、脳内で観たのもどちらも同じ現象だからね。
情報処理の問題なんだよ。
決して嘘では無いし、勘違いでも無い。
ただ実存しないだけ。
でも影響力はバツグンにある。
そうだなぁ~
例えば通貨!
金本位制だったら通貨に具体的な裏付けがあるけれど、
現代社会の管理通貨制度では国や金融機関の”信用”で通貨が成り立っているでしょう?
そして経済活動の原動力となっている。
実存はしないけれど実体は在る。
あ、そうそう!
金貨とか銀貨って、厳密に言うと物々交換に近いからね。
硬貨そのものに貴金属の価値があるから。
ちなみに”貨幣”つまり”現金”は、GDPの20%くらいしか流通していないよ。
殆どは金融機関の帳簿上のやり取りだけ。
つまり数字の書き換え。
要するに何が言いたいのかとゆーと~
権力者が権威を手にする事を精霊は許さない。
人類が暴走し自滅してしまわない様にと、
その為に精霊が居るのだから。
権力と権威が一つになると、いとも簡単に暴走を始める。
幾つもの惑星で繰り返された現象だ。
”混ぜるな危険!”
それがシステムの学んだ答えだ。
権力と権威の分離。
その具体的な方法が精霊の実体化なのだ。
「おい、案内しろ。」
目が怖いよ~モモ~
「今の内に潰しておきましょうねぇ。」
笑顔で言う事じゃ無いよぉ~ルルベロ~
「ツノトカゲ焼けましたよぉ~」
イワン~お前は~
とりあえず馬鹿~~~
「せっかくだから食べてからにしない?」
「そーだな、さっきのは冷めちまったしな。」
良かったなぁイワン。
なんだかんだでお前には優しいからな。
仲間として認めているんだなぁ。
ひ~とりじゃ無いって~♪
素敵な事~ね~♪
さぁ!食べたら行こうか!
アゴネスチャ~ンとやらに、この世界の天地を貫く真理を
教えてやろうじゃ~ないか!




