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第146話 ふらい・とぅ・ざ・れいんぼー

アリーゼとサナの結婚から6年。

二人ともたくましき母となった。

アリーゼは二人の女の子を育て、サナは

三人目を産んだばかりだ。

サラーラにも5歳の娘が二人居る。


え?

タエタトは百合の花園だろって?

何をおっしゃるウサウサぴょんっ!

あそこには伝家の宝刀、遺伝子工学が

有るじゃぁ、あ~りませんかっ!


クローン技術の進化系でね。

体細胞をリセットして万能細胞を作るの。

そこから卵子と精子に変化させて、受精を

させるのよん!

受精卵を子宮に移植して着床すれば~

おめでとう!ご懐妊でぇ~す!


サラーラとパートナー二人で仲良く出産した。


アーミアのとこは一人っ子だね。

エミールは二人。

ジャニスは五人も産んだ~

もちろん全員女の子で聖女様!


半年に一度、モスクピルナスで全員集合!

恒例の行事だね~

6人の娘と15人の孫に囲まれて幸せだね。


サーシアとルルナは今年43歳。

さすがにちょっと老けたかな?

地球の年齢に換算すると還暦かんれきくらいだもんね。

それでも二人並ぶと圧巻の美しさだよ!

美魔女ってやつね。

聖女だけどね~


さて。

この数年、異常気象は更に激しさを増してね。

災害の規模も大きくなっている。


悪い知らせがあるんだ。

この状況は、これからも続くよ。

それどころか、もっと酷くなる。

大災厄の再来?


いや・・・実はね・・・


***


コケッ!(大変だよ!)コケッ!(大変だよ!)コケコッコ~!(ニュースだよ!)


各国の政治情勢を監視する、ジロキチ率いる

CIA。

それと同様に世界中の気象情報を収集するのが

ガンモちゃんが長官を務める”ひまわり”。


『どうしましたの?ガンモちゃん』

コケコケコッコ~!(でっかい嵐が)コケコッコ~!(三つも来るよ)


これまでに無い超大型の嵐が発生した!

しかも三つ同時にだ!

もし上陸したら世界中で壊滅的な被害が出る!

どうする?


「あぁ・・・とうとう、この日が来てしまい

ましたね・・・サーシア」

『そーですわねぇ~、ルルナ~』

「随分あっさりしてますね」

『最初から分かっていたではないの』

「そうですけど・・・いざそうなると・・・

やっぱり複雑ですよ」


そうか・・・いよいよか・・・


『やり残した事でもあるのかしら?』

「いえ、ただ、あまりにも楽しかったから

もう少しって思ってしまうのですよ」

『ふふっ、そのくらいが丁度良いのよルルナ』

「腹八分目ですか?サーシア」

『えぇ』


「では、みんなに集まって貰いましょう」


緊急会議~!

みんなモスピに集まれぇ~

災害対策本部を立ち上げた!


「地下シェルターには、どのくらい収容が

出来るの?サラーラ」


ある程度は予想してたから、各都市の地下に

避難施設の建設を進めていたんだ。


「まだぜんぜん足りないよ、せいぜい一千万」

「そう・・・」

「みんなで力を合わせたら止められないかな」

「多少勢力を弱くするのがやっとでしょうね」

「お母様でも?」


『どうせ次が出来るだけですわよ』


そーなんだよね~

気圧配置の副産物なんだよ、嵐は。

その配置を変えたところで、別の場所にまた

新たな嵐が発生するだけだもんね。

イタチごっこだよ。


もちろんサーシアに、そんな知識が有る

わけじゃ無いよ。

でも知っているんだ。

どーすれば良いかをね。


5千年前の大災厄。

超新星爆発によるガンマ線バーストが、

太陽を直撃した事が原因で起こった。

その影響は今でも続いているんだ。


太陽の寿命が縮んじゃったの・・・


太陽の中心部では水素が核融合を起こして

エネルギーを生み出しているの。

水素原子が核融合でヘリウム原子になるのね。

それがどんどん溜まって行ってね、やがては

ヘリウム同士の核融合が始まるのよ。

水素とヘリウムのダブルで核反応が起きるの。

前よりも大きなエネルギーが出るの。


そしてどんどん膨れて大きくなって、

近くの惑星は飲み込まれちゃうのよ。

まぁ、その前に生物は焼き尽くされて

しまうのだけれどね。

それが始まりを迎えたのよね。

仮に全ての人類が地下に潜ったとしても、

数千年も経てば蒸し焼きにされちゃうのよ。


分かってたの・・・

最初から・・・

そうなる事がね。


サーシアとルルナの使命は魔法を復活させて、

人類を最終進化の道筋に導く事。

そしてもう一つ。

むしろこっちが本当の目的。


太陽と同化して内部情報を書き換える事。


システムは物質世界に対して直接的な干渉が

出来ないの。

物質に干渉出来るのは、やっぱり物質なの。

その為に精霊を作り出したのね。

でも精霊だけでは駄目なの、だから人と

契約させて魔法を発動する事で干渉するのよ。

その最強の存在が、サーシアとルルナなのね。


さすがに太陽に干渉するだけの法力を持って

いるのは、この二人以外には居ないんだよ。

そして、サーシアが最大限に力を発揮するのは

家族を守る時。

娘が生まれ、孫が出来た今が法力の最高潮に

達した時ってわけね。

この星の自然環境も限界に来ているし、当に

機が熟したとゆー事なんだよ。


つまりね。

サーシアとルルナが太陽に突っ込んで、

その命と引き換えに人類の未来を守るって

事なの。


「そんな!嫌です、お母様!そんなの嫌!」

「そうですわ!私達がなんとかしますわ!」

「えぇ!嵐を止めて見せますわっ!」

「何度でも!何度でも!何度でも!」

「お母はん!せっしょうでっせ!」

「やめとくれやす!お母はん!」


『駄目ですわよ、分かっているでしょう?』

「聞き分けなさい」


「あぁ~~~そんなぁ~~~」

「お母様ぁ~~~お母様ぁ~~~」


本当はみんな分かっているんだ。

そうするしか無いってね。

でも、はいそーですかなんて言えるもんか。

だってだって、愛しているんだもん。

とてもとても、愛しているんだもん。


何も言えなくなっちゃった・・・


「ぼくも行くよ、サーシア」

『イワン、あなたは・・・』

「今度は一緒だよ」

『今度?』

「うん、なんとなくそう思うんだ。

今度は一緒に行かないと駄目だって」


おやまぁ、本当に不思議な男だよ、イワンは。

カルアンの記憶なんて無い筈なのにねぇ。

子孫で生き写しだけど、全くの別人だよ?

何がそうさせるんだろう?

理解の外側に答えがあるんだろうね。


『分かりましたわ、ではそうしましょうね』

「イワンが行くならアタイも行くよ!」

「私も~」

「拙者も行くでござる!」


モモも、ルルベロも、ミサも行くってさ。

大好きだもんね、イワンが。


「ぼ、ぼくも行くよ」

「オランは、あの子達を支えてあげて」

「そんな・・・おいて行かないでよ、ルルナ」

『連れて行ってあげなさいな』

「でも・・・」

『もう歳なのだから、どうせすぐに死ぬわよ』


ぶっ飛ばすぞ!お前!

思った事をそのまま口から出すな!

何回か噛んでからにしろよ!

牛を見習え!馬鹿!


「お願いだよ」

「はぁ~仕方が無いですねぇ」


とかなんとか言いながら、嬉しそうじゃん。

手を繋いであげなよ。

右手はサーシアと、左手はオランと。


『あなた達にお願いがあるの』

「なんでしょう?お母様!何でも言って!」

『この歌を受け継いでほしいの』

「精霊歌ですわね!聞かせて下さいまし!」


『では歌いますわよ!

精霊歌 ぴの3番 腰ふるパコパコ』


ジャン♪ジャジャン♪カ♪

  ジャカジャカ♪ジャララカ♪

ジャン♪ジャジャン♪カ♪

  ジャラララ~ン♪


ウォンチュー!


ジャン♪ジャジャン♪カ♪

  ジャカジャカ♪ジャララカ♪

ジャンジャカ♪ジャジャン♪

  ジャ~~~ン♪


腰をふ~る~夜~はぁ~♪

 あなたと~ふ~た~りでぇ~♪

さぁ~♪さささ♪

 盛っかっろぉ~よぉ~♪


チュルル♪チュルル♪パヤッパ~♪


あそこが♪ボッサボサァ~♪

 きれいに♪ツ~ルツ~ルゥ~♪


はぁ~~~♪

 濃い~の出る~~~(出る出る出る出る)    (ピュっと出る~)


ヒゲヅラ~に胸毛ぇ~♪

  ムキムキ~の背中ぁ~♪

      ふ~とも~も~~~♪


チュルル♪チュルル♪パヤッパ~♪


薔薇の花園でぇ~♪

  ふたり見~つめ~合う~♪


あっそ~~~れっ♪

  パ~コパ~コ~~~♪(パコパコパコパコ)     ( パッコパコ~)


    フォーーーッ!


ジャン♪ジャジャン♪カ♪

  ジャカジャカ♪ジャララカ♪

ジャン♪ジャジャン♪カ♪

  ジャラララ~ン♪


ウォンチュー!


ジャン♪ジャジャン♪カ♪

  ジャカジャカ♪ジャララカ♪

ジャンジャカ♪ジャジャン♪

  ジャ~~~ン♪


ジャァ~~~~~~ン♪


「あぁ~~~お母~~~様~~~」

「最後に、エッグイのん来たでぇ~」


『じゃぁ後は宜しくね、みんな愛してるわ』

「お母様!お母様!お母様!」

『そんなに泣かないで、また産んであげるわ』

「約束ですわよ!」

「絶対!絶対ですわよ!」

「お母様ぁ~~~」


「では行ってきますね」

「ウ、ウチも!また産んでな!」

「あてもどすえ!」

「ちゃんと産んであげますよ」

「お母はん!」

「うぅぅぅぅ~~~」


***


人々は見た

太陽に向かって飛び立つ七つの光を


諸人もろびとは指差した

虹色に輝く天空を


娘達は呼んだ

西の空に昇る穏やかに微笑む朝日を


      お母様と


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