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第141話 体裁

バサリが言うには、もう一年も父王の顔を

見ていないと。

何度も謁見えっけんを申し込んでいるんだけど、

ことごとく却下されちゃうんだってさ。


「息子のお前でもアカンのんけ?」

「はい、最初は公務多忙との事でしたが

最近は体調が優れぬからと」

「で、宰相が全部を仕切っとるわけやな」

「さようでございます」


いくらなんでも不自然過ぎるよねぇ。

そんなに具合が悪いなら、なおさらだよ。

万が一の時は王位を継承しないといけないの

だから。


「めっちゃ匂うやんけっ!」

「そうでございましょう?」


「そうでございましょう?

やないわボケェ!

お前!屁ぇこいたやろがっ!

スカしたらバレへんとでも思たんか!

おえっ!

ま、窓開けんかいっ!換気やっ!換気せぇ!

おえっ!

臭っさぁ~~~!えげつなぁ~~~!

腹ん中でバケモンでもうとるんかっ!

アカ~ン目にむ~涙とまらぁ~ん!」


「も!申し訳ございません!つい・・・」

「しばくぞ、ワレェ!せっかく美味いもん

食うたのんがワヤやないかいっ!おぇっ!」


Oh!モーレツゥ~


とにもかくにも王の安否を確認するのが

第一だね。

馬鹿正直に問い合わせても無駄だよ。

ここはジロキチちゃんの出番だね~

とゆーわけでぇ~

ジロキチちゃんを呼び出したんだけどね。


「へ?お母はんが?」

チュ~(うん)チュチュチュ~(話があるってさ~)

「なんやろ?取り込み中やねんけどな」

チュ~チュ~(すぐ来いって)

「しゃぁ~ないな、話の続きは、また今度や」

「承知致しました」


***


ルルナに呼び出されて~

やって来ました、オバルト王宮~


「バァバ~、あやとりちてぇ~」

『えぇ、い~でちゅよぉ~』

「トーチョータワーちてぇ~」

『ベルちゃんはトーチョータワーがちゅき

でちゅねぇ~』

「うん!だいちゅき~!」


メロメロのサーシア~

カイザルとジャニスの長女レミアーベル。

古代ダモン語で微笑む太陽と言う意味だよん。

もちろん聖女だよん!

聖女の系譜は母系遺伝なんだ。

この子は転生者じゃぁ無いよ。

この世界で生まれた命なんだ。


「精霊王様、サナ様がお見えになられました。

スミレの間にてお待ちでございます」

「そう、分かりました。

サーシア、ちょっと行ってきますね」

『え?なんですって?』

「サナが来たので席を外します」

『えぇ、行ってらっしゃいな』


「サナねぇたん、ちたの?」

「大事な話があるから後でね」

「はぁ~い!」

『まぁ!ベルちゃんは良い子でちゅねぇ~』


幸せそうだな、サーシア。

一方ルルナはちょっと表情に陰りがある。

どうしたの?ルルナ。


「お母はん、話てなんですのん?」

「ハイラムの件から手を引きなさい」

「知ってましたんかいな」

「えぇ」

「ジロキチでっかいな?」

「えぇ」


CIAの報告で、ハイラムの異変はすでに

ルルナの耳に届いていたんだ。

まぁ当然だよね。


「サーシア様も知ってますのん?」

「いいえ、サーシアには伝えてません」

「お母はんがサーシア様に隠し事するなんて

珍しいやおませんか」

「サーシアは今とても忙しいのですよ」

「そーでっしゃろな」


孫との幸せな時間を邪魔されたら、サーシア

が何をするか分かったもんじゃない。


「一旦引き受けた事でっさかいな。

いくらお母はんの言葉でも、訳も分からんと

うなずけまへんで」


「我らは、それぞれの国の内政には不干渉で

あるのが原則です。

精霊教の尊重と信徒の保護を各国との約定で

取り決めています。

それが破られない限り、国内の権力争いに

関与する事はなりません」


当初の国造りの段階が終わって、国家の

熟成をうながす時期に入った。

何時までも教会が政治に関わっていたら、

権力と権威の分離原則に反する。

そうルルナは言うんだ。

体裁ていさいが大事だってね。


「そやかてエミール様が困ってはりますねん」

「あの子もハイラムの王族に連なる者です。

自らの力で解決しなければなりません」

「あの気弱なエミール様には無理でんがな。

エイガノッコスの権利を寄越せ言われて

まんねんで?えぇのんでっか?」


「国の財政が危ないのでしょう?

王族の一員として王命に従うのは、

何も筋違いではありませんよ」

「そやかて、あれは主力商品でっせ!

それを取られたら商売が傾きまんがな!」

「それが嫌なら自ら王に立てば良いのです。

そこから逃げたのですよ?バビルは」


「そ!・・・そーですけんど・・・」


グーの音も出ないね、サナちゃん。

サーシア以外には、めっちゃキビシイなぁ。

ルルナは。


「解りましたか?早々に手を引きなさい」

「嫌でおます!」

「何故?」

「なんでやなんて分かりまへん!でも!

ウチは!ウチは!」

「バサリですか?」

「なっ!」


バレバレ~

タイプだもんねぇ~バサやん。

思い出すよねぇ~ネっさんの事。

プヨプヨのお腹モミモミしながら寝てたね~

かかあ天下の良い夫婦だったよ。


***


そして再びカエル亭~

今度はサナがバサリを呼び出したんだ。


「お前はどないしたいんや?」

「災害復興の為に諸侯から集めた資金の

流れに不審な点が多いのです。

難民の救済も進んでおりません。

陛下にその事をたださねばなりません。

場合によっては・・・」


「覚悟は出来とるんやな?」

「はい」


宰相の陰謀ならば、それを打ち破り、

王を救出しなければならない。

しかし王の怠慢であるのなら、これをいさ

尚、改めぬなら、父王を退けて玉座に着く。

そこまでを見据えているとバサリは言った。


「ウチに力を貸して欲しいんやな?」

「はい、今の私には何の力もありません。

サナ様にお縋りする他に手立てが無いので

御座います」

「民の為やな?」

「偽りは御座いません!」


ほぉ~

なかなかのもんじゃないの。

性根しょうねわってるねぇ。


「その言葉がホンマかどうか確かめやんと

アカンわいな」

「どうすれば宜しいでしょうか?」

「ウチも手を貸すからには、ウチにも責任が

あると思わんけ?」

「いや、でもそれは私が----」

「いや!あるんや!ごっつ事あるんや!」

「そ、そうでございますか?」

「そーや!」

「はぁ・・・」


「そやからウチと結婚せぇ~や!」

「はい・・・えっ?・・・・・・

・・・・・・・・・・今なんと?」


スミレの間でルルナは言ったんだ。


「聖女として関わるのは許しません。

ですが、妻として家族の為に動くのなら、

それを止める理由はありません」


要するに体裁を整えろと。


「ちゅーわけや、まぁ宜しゅう頼むわ」

「し、しかしそれは・・・」

「なんや!嫌なんかいっ!」

滅相めっそうも無い!その・・・私の様な・・・」

いなか!おうか!はっきりせんかい!」

「お!応で御座います!」


「よっしゃぁ~!やったるでぇ~!」


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