第123話 ネプネプキュ~ン
オラン率いるダモン軍二千の兵団が到着した。
キャルラン達が拉致されてから四日目の朝だ。
さすがに速いねぇ~
でも今回は救出が先だからタルパ村で足止め~
『まぁ!まぁ!まぁ!まぁ!まぁ!
カイちゃん!カイちゃん!カイちゃん!
大丈夫かしら?怪我はありませんこと?
災難でしたわね~
安心なさいな、お姉様が来ましたからね!』
サーシアも来たぁ~~~!
終わったぁ~~~!
ジェバー教オワタぁ~~~!
カイちゃんの話しに乗れば良かったのに~
死なずに済むのに~
あぁ~あ~もう遅いよ~
殺戮マシーンがやって来たぁ~♪
って事は?
「もう子供ではありませんよ?カイは」
『あら!可愛い弟に変わりはありませんわ!』
ルルナも来たぁ~
「姉上!申し訳ありません!」
『あら?何も謝る事などありませんわよ?』
「わ、私の失態でキャルラン殿が・・・」
『だから~心配しなくても良くてよ?』
「ちゃんと手は打っていますよ。
今頃は救出を開始しているでしょう」
「別動隊ですか?」
『えぇ、そうよ!海からね!』
海から?
ちゅ~事はティモーヤスの軍を動員したのね!
ティモやんはね、ホテイドン族とカリトン族を
一つにまとめてネプキューン王国を作ったんだ。
仲良く仲良く仲良くなぁ~れ!
ネプネプキュ~~~ン!
って感じ?
リリカもロザリンの肉体改造で水中生活が
出来るようになった。
だいぶ時間が掛かったちゃったよ。
一番の障害は水圧でね。
魚人並みの適応は無理だった。
長時間の滞在が出来るのは水深10メートル
くらいまでかな?
海中と陸上を行ったり来たりの忙しい日々を、
夫婦で仲良く送っているよん。
***
「まだ口を割らぬのか?」
「はい、なかなかしぶとい女で御座います」
「大司教の地位にも靡かぬか・・・」
「脅しも甘言も効きませぬ」
「目の前で村人を殺せ。一人ずつ手足を切断し
なぶり殺す所を見せ付ければ心が折れようて」
怖いやっちゃなぁ~
異教徒には容赦しないねぇ。
彼らが捕らえられて居るのは断崖絶壁に建つ
灯台の地下牢獄。
そこに12人の村人とキャルランが監禁されて
いるんだ。
「司祭様、お体の具合は・・・」
「えぇ、大丈夫ですよ。心配には及びません」
「私らの事など見捨てれば良かったのに」
「そーですよ!」
「そんな事を言ってはなりませんよ」
「でも司祭様に何かあったら・・・」
「ダモンの皆様が助けて下さいます。
みんなで村へ帰りましょうね」
「司祭様~」
二十四の瞳がキャルランを見つめる。
仰~ぉ~げ~ばぁ~♪尊ぉ~と~し~♪
スカ~ト~のぉ~♪中ぁ~かぁ~♪
フ~リ~ル~が~♪カ~ワ~イ~ぃ~♪
赤ぁ~かぁ~い~♪パ~ン~ツ~~~♪
先~生ぇ~~~い!
***
ヒタッ・・・ヒタッ・・・
僅かな湿り気の混じった音が微かに聞こえる。
もし星明りしか無かったら、うっすらと動めく影に
気付けたのかも知れない。
東大出てグワシっ!
いやぁ間違えたぁ~!
灯台下暗しねっ!
ヘタに明るい光が上に在るから、その足元は
却って見えづらいんだよねぇ。
カリトン率いる魚人部隊が状況を開始した。
速やかに見張りの兵を沈黙させる。
超音波振動で脳内に気泡を発生させたの。
実にスマート!
拡声の魔法を応用して高出力の超音波を
投射させてるのよ。
ほら、前に魔子がやったでしょう?
あそこまで強力じゃ無いけどね。
カリトンはネプキューン軍の司令官になった。
すっかり逞しくなってぇ。
ピピとも仲良くやってるよん!
10人ほど居た敵兵をあっと言う間に屠って
地下へと向かう。
「司祭殿はこちらにおいでか?」
「はい、私でございます」
「お助けに参りました。
筏を用意しておりますので、そちらへ」
「かたじけのう御座います。さぁ皆さん!
帰りましょう!」
こうしてキャルラン救出作戦は無事完了した。




