*第12話 孤島の遺跡
ギャメラが精霊によって調伏され、
祈祷師が成敗された事でダイエ族は統制を失ってしまった。
祈祷師が族長も兼ねて、すべての実権を握っていたからだ。
以前は別々だったのだけれど、ギャメラを手懐けた祈祷師が
族長の座を力ずくで奪い取ったのだ。
精霊の力に恐れをなしたダイエ族は戦意を喪失し
占領地域から撤退して行った。
「お、おい。ど、ど、ど、どうするよ?」
「な、な、な、何が?」
「きまっ!きまっ!決まってるだろうが!
な、な、なんとかして許して貰わないと、
こ、このままじゃ皆殺しにされるぞっ!」
いやぁ~そこまではしないよ~
サーシアじゃあるまいし~
良心の欠片くらいは持っているよ~
いるよね?
・・・
いるかな・・・
「み、貢物を差し出して許して貰おう!」
「だ、誰が持って行くんだよ?」
「だ、誰がって、そりゃ~族長が~
・・・・・・
あぁ~~~!いねぇ~~~よ~~~!」
敗戦処理の族長なんて誰も引き受けない。
へたをすれば殺されるからね。
「お前がやれ!」
「いやお前こそ!」
ぜんぜん決まらない。
毎日朝から晩まで話し合いが続いたが、
平行線のまま三日が過ぎた。
今日もまた同じ事を繰り返すのだろうなと
うんざりしながら集会場に向かう。
「へぇ~ここにも遺跡があるんですね。」
「街と言うよりも、何かの施設だね~」
「シセツ?」
「作業場の大きなやつだね~」
「へぇ~何を作ってたんでしょうねぇ。」
え?
「うわぁ~~~!出たぁ~~~!」
「何だ!何だ!」
「どうした~?」
「あぁ~~~もう終わりだぁ~~~」
大混乱~~~
***
「で、では許して下さると?」
「はい、その代わり筏作りを手伝って下さいね。」
「喜んで!」
良かったね!イリュパー。
戦いによって生じた遺恨が消えるのはそう簡単な事では無いが、
他ならぬ精霊様の御意向とあっては和解せざるを得ない。
和解の条件として今後ダイエ族は祈祷師を出さず、
トホ族の祈祷師を正式なモロとする事が決められた。
トホ族とダイエ族の共同作業で巨大筏の制作プロジェクトが開始された。
なにせ海を渡るなんて前代未聞だ!
どれくらいの大きさが必要なのかも解らない。
とにかく島で一番大きな木を中心にして、
それを基準に組み上げる事にした。
縦横交互に三段組。
およそ50メートル四方の巨大な筏だ!
その上にがっしりと丸太小屋を建てる。
島の男が総出で作業をしても30日は掛かるだろう。
ハニーや十二支たちが能力を使えばたぶん1日で作れると思うが、
手伝う気はさらさら無いようだ。
イリュパーが頼めばやって呉れるかも知れないけれど、
そのイリュパーも島民に任せている。
東と西の部族が互いに協力して作業をする事で
少しでも打ち解け合えたらとイリュパーは考えたのだ。
自分達が島を去った後で、また敵対しないようにと。
いやぁ~若いのに良く出来た娘だよ~
分別も弁えているし良識も備えている。
さすが聖母となる者だけの事はあるな!
いずれ産む事になる娘が、ぶっ壊れたとんでも人間だなんて、
とても言えない。
気の毒すぎるよぉ~
ルルナにしたって一見はまともだけれど
サーシアに甘々で全肯定するからなぁ~
結局は誰も止める者がいないんだよな~
ごめんねイリュパー
***
「え?それ本当ですか?」
「あぁ、開かずの扉じゃ。」
ダイエ族の集落は遺跡を再利用したものだ。
当然ながら発掘もする。
しかしながら大した物は出て来ない。
発掘品を見ると、なるほど本当に施設だった。
それもどうやら研究所のようだ。
かつてこの星で発達した魔法と科学の混合された技術。
ただ今となっては何を研究していたのかはまったくもって不明だ。
その地下部分の最奥に扉が在り、
どうやっても開けられないと言うのだ。
壁も扉も恐ろしく硬くて壊せないらしい。
「わぁ!おもしろそう!ねぇハニー様!行ってみましょうよ!」
「うん、いいよ~」
どうせ他にする事も無いし、ちょうど良い暇つぶしになるね!
数千年の時に削られて大部分は崩れている。
発掘者は手作業で穴を掘り、坑道を作る。
他の遺跡の多くは街であったり城であったり、
暮らしの場であった所なので、宝飾品や武器類が豊富に出土するが、
研究施設なので発掘品の殆どは道具類だ。
だがここは絶海の孤島。
よその部族と交易をするわけでも無いので
その方が、かえって好都合だったりする。
「うわぁ!本当だ!頑丈そうな扉だねぇ。」
まるで金庫室のような鉄の扉が在った。
お宝の予感~~~
ハニーが自慢のムチで扉を打つと、ガチャっと鍵が外れてスゥ~っと開いた。
「鍵が掛かっている」の状態から「鍵が外れている」に上書きされたのだ!
そんな事も出来るのか!すげぇ~な!
さぁさぁ!何がでるかなぁ~?




