第117話 決勝戦!
一回戦を通過した部族は、まずカラマティ、
そしてキャシデ、ゴパッチ、テケノコだよ。
んでまたクジ引きで対戦相手を決める。
結果はカラマティvsテケノコ、
キャシデvsゴパッチとなった。
ゴパッチは一回戦でかなり苦戦してね。
大将戦までもつれ込んだんだ。
チョロキも反ゴパッチ同盟のメンバーだから
強力な傭兵を投入して互角に渡り合った。
ゴパッチにとっては完全に予想外の痛手だな。
次鋒と副将の二人が戦闘不能で負けちゃった。
ゲロニモは肋骨が折れてるし、残りの二人も
打撲やら肉離れやら靭帯損傷やらで交代だね。
控えの戦士を補充して人数は揃えたんだけど、
大将だけは交代不可なんだ。
大将は族長が務めるの。
強かろうが弱かろうが関係無し。
最後の決着は族長が自ら付けろって事ね。
さて、結果を先に言っちゃうね。
ゴパッチが勝ったよ。
でもボロボロになった。
キャシデ側の最強傭兵タムキン兄弟。
いやぁ~強い強い!
兄のタムシンは大剣、弟のイムキンは棒術。
もし勝ち抜き戦の形式だったら負けてたね。
大将戦でコルテスが棄権したんだよ。
武術の心得なんて無いからねぇ。
ゲロニモと戦ったりなんかしたら一撃で
殺されちゃうよぉ~
カラマティも勝った!
こちらは順当に無傷の3連勝で決まり。
下位部族との対戦だから当然だよね。
クジ運に恵まれたねぇ~
いやいやいやぁ~
そんなわけ無いじゃ~ん
娘の為ならどんな汚い事でも平気でする
サーシアが黙って見てると思う?
一回戦で結構危なかったでしょう?
このままじゃヤバイって考えたサーシアがね。
対戦カードの入った箱に細工するようにって、
ルルベロに指示したの。
もちろん内緒でね!
アリーゼって頭の堅い所があってさぁ、
意外と融通が利かないのよね。
インチキしたのがバレたら怒られちゃうよ。
あぁ、でもルルナは知ってるよ。
どこが勝とうが興味ないから止めなかったの。
そーゆーとこあるのよねルルナは。
サーシアが笑顔で居られる事が善で
サーシアを悲しませるものはすべて悪だ!
って価値観なのよ。
ちゅ~ことで明日は決勝戦だぁ!
***
「もはやこれまでか・・・」
「控えの戦士は居るが奴らには勝てまい。」
「準優勝で公爵か・・・」
ゴパッチの宿舎では誰もが諦めの表情で、
出て来る言葉も湿りがちになる。
「じゃがのう、これでは民が納得すまいて。」
「せめて大将戦まで持ち込めればのぅ。」
大将同士の決闘で負けたなら文句は無い。
でも今の状況じゃねぇ。
ヘタすりゃ3連敗のストレート負けだよ。
ゴパッチの民は気性が荒いからなぁ。
マジで反乱が起きかねないんだ。
「明日はワシ一人で出る。」
みんなの弱音を黙って聞いていたゲロニモが
場を制してそう言った。
「そんな!どういうつもりですか親方?」
「親方ひとりが勝っても意味が無いですよ!」
「俺たちだって戦います!」
「ワシに考えがある。」
「考え?そんなもんがあるんですかぃ?」
「あぁ、それはな---------------」
***
「なんだ?ゴパッチは一人しか居ないぞ。」
「大将以外は逃げちまったんじゃねぇ~か?」
「昨日さんざんやられてたからな~」
「終わったな・・・カラマティの優勝か。」
「くそっ!賭けときゃ良かったぜっ!」
「倍率は90倍だとよ。」
「一時は200倍まで上がったのにな。」
「それでも充分じゃねぇか~」
観客が随分とザワついているなぁ。
まぁ無理もないか。
たった独りで闘技場に現れたゲロニモ。
例え勝っても、たったの一勝だもんね。
後は不戦敗で終わり。
考えがあるって言ってたけどさぁ、
この状況で考えもクソも無いと思うなぁ。
いったいどーゆー・・・って、おい!
スタスタと真ん中に出て行ったけど、
まだ始まってないよ?
「ジェーン!ワシと勝負しろっ!族長同士で
カタをつけようじゃねぇ~かっ!」
こらこら、都合の良い事を言うじゃないの。
そりゃー集中砲火くらったのは気の毒だな~
って思うよ?
でもさぁ、勝負は勝負だからね。
運の良さも王の大事な資質なんだよね。
あきらめなさぁ~い。
「あぁ!良いともさっ!受けて立つよ!」
何言ってんだ!馬鹿じゃないの?
そのまま無視しとけば自動的に優勝なのに!
もう遅いけどっ!
「勝手な事すんじゃねぇ~ぞ、こらっ!」
そりゃ怒るよねぇモモちゃん。
誰が仕切ってると思ってるんだぁ~!
なめんじゃねぇ~ぞぉっ!
『やらせてあげなさいな』
え?
良いの?
あれこれ細工してカラマティが勝つように
贔屓したのは、アンタだよ?
「モモ、サーシアの言う通りになさい。」
「しょ~がね~なぁ~、ほら、さっさと
位置に付け。」
ルルナから指示されたら否とは言えないね。
精霊王の称号はシステムが承認しているんだ。
全ての精霊はルルナに従う。
勝手に自称してるんじゃないよ?
大将同士の一騎打ちなら一発勝負だ。
ゲロっちの考えってこれかぁ~
でもそれじゃぁカラマティに賭けた連中から
不満が出るんじゃないかなぁ~?
「うおぉ~!いいぞぉ~!やれやれぇ~!」
「こりゃ見ものだ!」
良かったねっ!馬鹿ばっかりでっ!




