第115話 ドーモン武闘会
この日の為に用意された会場は闘技場の
他にも出場者や関係者の宿泊施設や、
練習場、運営本部、救護施設などなど。
思いのほか大規模なものになったね。
そーだなぁ~
守口市民球場5個分の広さって言ったら
わかり易いかな?
元々は何んにも無かった草原地帯にドォ~ンと
こしらえたんだ。
周辺には観光客相手の宿泊所が林立してね。
組み立て式の簡易なやつだけど結構人気だよ。
頑丈なテントみたいな感じ。
屋台も沢山並んで賑わっている。
何所に居ても香ばしい匂いが漂って来てさぁ。
ついつい食べ過ぎてしまうんだ。
いよいよだねぇ~
ドーモンの未来が決まる大会だって事でね、
もう熱気が凄いの!
特に上位四部族の連中は興奮状態でさ。
酒も入ってるからすぐ喧嘩になるんだ。
警備員が見回りをしてるから大事になる前に
治まってるんだけどね。
泣いても笑っても三日後には勝負が付く。
***
「これよりドーモンの統領を決める武闘大会を
開催します。
どのような結果であれ、それを定めとして
受け入れるように。
一度下された決定が覆る事は、決して
ありません。」
大会委員長のアリーゼが開会を宣言する。
勝敗の判定はモモが審判を務める。
戦闘不能か降参したら負けだよ。
ルールは単純明快。
先鋒から順番に一対一の決闘だ。
反則技なんか無いよ、何をしても良い。
但し、外からの手出しは御法度だよ。
声で指示を出すのはOK。
武器や防具はそれぞれ自由に選んで良い。
刃は潰してあるけど本気の打ち合いだから
大怪我は覚悟しないとね。
場合によっては死ぬ可能性も充分あるよね。
それは仕方が無い。
カラマティの初戦の相手はニバホに決まった。
いきなりの強敵だな!
ニバホは規模こそ小さいけど勇猛な戦士集団
として名を馳せているんだ。
少人数同士の戦闘ならゴパッチと互角に戦う。
キャシデの傭兵が予備で控えているから、
怪我で戦闘不能になっても補充が出来る。
初戦から全力モードで戦えるよ。
一方カラマティは当初の5人で最後まで。
交代要員は居ない。
いや、他にも戦士は居るんだけどね。
出場できるレベルじゃ無いのよね。
キビシぃ~
他の対戦カードは次の通りになったよ。
キャシデ 対 ルー
ゴパッチ 対 チョロキ
キノッピ 対 テケノコ
え?
三組目がどうしたって?
山?里?
なに言ってんの?
こーゆー部族名なのよ。
ここで闘技者の紹介をしとこうかね。
|カラマティ|ニバホ
――|―――――|――――
先鋒|キッド |アポポ
次鋒|ドグ |ニポポ
中堅|カーク |トポポ
副将|ネイブル |カポポ
大将|ジェーン |オポポ
え?
ニバホが何だって?
名前?
別に変じゃないよ?
そーゆー名前なんだから。
***
「くそっ!このっ!ふんっ!おりゃあっ!」
槍と斧で戦うんだから元々が不利だよね。
でも戦斧の扱いには自信が有るよ!
ニバホと言えば斧だもんね!
突きを躱して懐に飛び込んで薙ぎ払う。
スカッ
スカッ
スカッ
当たらないねぇ~
さっきからずっと空振りだね。
ヒラヒラと避けられてしまう。
「はぁ~はぁ~はぁ~」
かなり息が荒くなってるね。
空振りって体力と気力を削るんだよ。
胸の内に不安が広がって行く。
一方のキッドは、ぜんぜん余裕~
相手の動きがバッチリ読める!
こんなのダモンの訓練に比べたらお遊びだよ。
相手の力量を計る為に様子見してたけど、
もう良いかな?
「せいっ!」
一瞬で間合いを詰めて喉を突き通す。
穂先は丸めてあるから貫通はしないけど、
ぐしゃっと潰れちゃうよね。
「コホォッ!」
ずでぇ~ん!
っとひっくり返って白目を剥いてるよん。
ピクピクと痙攣してたけど、すぐに止まった。
死んだかな?
「そこまでっ!勝負ありっ!」
モモが試合の終了を告げる。
負傷者が医務室に運ばれて行く。
これから役員達によって協議がされる。
不服申し立ては、ここでしなければならない。
判定に異議が無ければ勝利者が認定される。
「先鋒戦勝者、カラマティのキッド!」
「よっしゃぁっ!」
「良くやったねぇ!キッド!」
「はいっ!ありがとうございます!」
「次は俺の番だな。で?どんな感じだった?」
見てるのと対峙するのでは違うからね。
「いやぁ~あんまり鈍いから、最初は
わざとか?って用心してたんですけどね。
どうやらあれで全力だったみたいですね。」
「そうか・・・」
「油断するんじゃぁないよ。」
「わかってますよ姉御。その辺はダモンで
さんざん叩きこまれましたから。」
どんな手を使っても勝て!
それがダモンの戦闘だからね。
油断は死に直結するんだよ。
出足は好調だね。
さぁ、あと2勝で初戦突破だっ!




