第109話 ふぉ~えば~やぁ~ん
『無理をしてはいけませんわよ?
何かあったらすぐに言うのですよ?
お母様がなんとでもしてあげますからね?
あぁ・・・エミール・・・
あなたが行ってしまうなんて・・・
私は・・・私は・・・』
「そ、そんなに心配しなくても・・・
大丈夫ですわ・・・お母様・・・」
年が明けてエミールは12歳になったよ。
バビルは15歳。
晴れて夫婦になったんだ。
バビルは臣籍降下して公爵となった。
平民でも構わないと本人は言ったんだけどね、
サーシアがそれを許さなかったんだよ。
ハイラム北部一帯の領主に成れってね。
商会を作るなら高位貴族の後ろ盾が無いと、
相手から信用されないからね。
もう昔とは違う。
時代は替わったんだ。
世界も変わった。
教会が認定する形で通貨も出来た。
大部分は古銭を採用したんだけど、
その価値を規格化して統一したんだ。
経済が活性化して商業はグローバルになった。
大小さまざまな商会がしのぎを削っているよ。
魔法のおかげで一気に文明が復活したよね~
王国の数も増えて国境線も明確になって来た。
たまに勝手に王国を名乗る馬鹿もいるけど、
そーゆー時はダモンが動く。
オラン率いる殲滅部隊ナーミャハーゲンだ。
「ワルイゴハイネガァ~!ガオォ~~~!
クッチマウゾォ~!」
あっと言う間に壊滅させるよ!
さてバビルとエミールだけどね。
チャーフの姓を授かったんだ。
トーチャに城を建てて、そこで暮らすんだよ。
今はまだ建造中~
領主になったんだから学校くらい簡単に
維持できるんじゃないの?
ってわけでもないのよね。
貧乏な地域だから税金も大して取れないんだ。
新居の城だってサーシアがプレゼントするの。
そんなに金持ちなんか!
って?
いやいや、各国の王家に呼びかけたんだよ。
『お城を建てたいから、みなさん協力して
下さいましね!
お礼に姓を授けてさしあげますわよ!』
クラウドファンディングだね!
王侯貴族なんて格式が命だからね。
大聖女から姓を賜ったなんて言ったら、
最高の名誉だもんね。
腐るほど集まりましたよ!
おじぇじぇが!
本当はね、そんな事しなくてもサーシアと
ルルナの法力なら城くらい作れるの。
物体の具象化魔法でね。
でもそれはしないの。
過ぎたるは及ばざるがごとし
そこまでやっちゃうとさ、誰も努力しなく
なるからね。
達成の喜びを得るには多少の苦労が必要なの。
それを手助けするのが魔法なんだよ。
苦労せずに手に入れた喜びなんて、
ペラッペラなんだよ。
すぐに消えちゃうよ。
物事の価値ってのはね、思い出の中に
あるもんなんだよ。
だからサーシアは物の価値が分からない。
簡単に手に入っちゃうし、なんなら力ずくで
手に入れるからね。
まぁ、元々物欲は無いけどね。
こだわるのはパンツだけだし。
それにね、大魔法は体の負担が大きいのよね。
前世では少し無理し過ぎて早死にしちゃった。
今世では長生きしたいものね~
『エイガノッコスの販売を認可しますわね。
当面はそれで成り立つでしょう?
後は自分達で考えなさいな。』
おぉ!それは良い考えだな。
あれは売れるぞぉ~
聖女にしか作れないからな。
教会の独占販売だったけど、
エミールが作る分の販売権を認可するんだね。
魔法で具象化したシートに呪文を刻印して
作るんだ。
『データマックス・イッツァ・ポニー』
これが呪文。
作成者の法力によって機能に差があるんだ。
サーシアの作るのは最高級!
劇場の大画面映写が出来るし、3D立体投影も
出来るんだ。
エミールのはそこまでじゃないけど、
家庭用なら充分な性能があるよ。
画質もキレイだしね。
商会の目玉商品になるよ!
「ありがとう!お母様、大好き!」
『あぁ、エミール~~~
お顔を良く見せて頂戴な!
あぁ~私の愛しいエミール~~~』
「大げさですよ、サーシア。」
『だぁってぇ~~~』
「どうせゲートを使って会いに行くの
でしょう?」
『もちろんですわ!毎日行きますわ!』
「ま、毎日・・・」
「新婚なんですから毎日は駄目ですよ。」
『えぇ~~~そんなぁ~~~』
「週一です。」
『えぇ~~~そんなぁ~~~』
「週一です。」
諦めなさいサーシア。
そろそろ子離れしろ。
『良いこと?バビル。
エミールを泣かしたら切り落としますわよ。』
「???」
「エミールを大事にしなさい、バビル。」
「もちろんです!精霊王様!大聖女様!」
『二人の門出に歌を送りますわ。』
「それは良いですね!」
『精霊歌 もの6番 エロい二人』
「は?」
プワッ♪パララ♪パッパ♪
ンプワッ♪パララ♪パッパ♪
君には君のぉ~♪
フェチがぁ~あぁりぃ~♪
ボクにはボクのぉ~♪
フェチがぁ~あぁるぅ~♪
ふたぁ~りのぉ~♪
フェチ~ぃ~を~♪
よせあ~えぇ~ば~~~♪
とにか~く~ヤ~バぁ~い~♪
世界~観ぁ~ん~~~♪
エ~ロい~♪
エロぉ~いぃ~~~♪
エ~ロ~い~♪ふ~た~り~のぉ~♪
こ~とだぁ~もぉ~のぉ~~~~~~♪
プワッ♪パララ♪パッパ♪
パッ♪
プワァ~~~ン♪
こうしてバビルとエミールは領地へと
赴任して行った。




