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次の人生も女神嫁と共に  作者: 八木杉 ケイシ
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土壌改善

(とりあえず戻ろう)


空中を歩いて山に戻る福太郎

なぜこんな辺鄙な場所に転生させられたのは分からない。しかしわざわざここを選んだという事は何かの考えがあっての事だろう。福太郎に別の場所に行く気は無い


「ところで君たちは精霊とか言うやつなのかな?」


目には見えない、しかし側にいるのが分かる


(そうだよ!ぼくは火!)(わたしは水!)(地!)(風!)(木!)

「君たちみたいのは一杯いるのかい?」

(いるよ!)(いっぱい!)(たくさん!)(いろいろ!)(…王様もだよ?)

「…え!?ワシ今精霊なの!?…何の精霊?」

(かみさま!)(木!)(わたしとおんなじ!)(でもいろいろ)(みんなといっしょ!)

(…結局何の精霊なんじゃろう?)


自分が女神の愛により精霊を超えた精霊、神霊と化し全属性まで与えらている事を知るのはまだ少し後だ


かまどの場所まで戻った福太郎はやれる事、やるべき事を考え

(この場所がどれだけ広いのか、どんな生き物が居るのか、寝床の作成、そして花代の木を植える為の土壌改善)


どれをとっても普通に考えれば子供の体躯で出来る事ではない

しかし最早福太郎はただの人間ではない。全て出来る、何でも出来る、という万能感が胸の内より溢れてくる

目を閉じ感覚を研ぎ澄ます。


「ッフ!」


体から風が吹き出した。それはまるでソナーの様に福太郎を中心に広がり始めた


(やはり出来た!………広いな、最端まで全然届かない、…おっ、何か動いた、鳥…かな?……ちょいちょい動くものがある、どんな所にでも命は芽吹くんじゃな)


約100キロ先まで吹いた後、やっと最端まで届いた。風から感じ取れた情報からここが半径70キロ程度のいびつながら円状の地形である事が分かった


(つまりここは巨体な円柱という事か…やっぱり分かりやすく真ん中じゃろうか)


もしもの為に精霊達に聞いてみる


「ここの真ん中に拠点を作ろうと思うんだけど何か不都合あるかな?」

(((ないよ!)))((大丈夫!))


問題は無さそうだ


「君たちも一緒に来るかい?」

(付いてく!)(いっしょ!)(となり!)(どこでも!)(いっしょ!)

「よし、行こう」


そのまま走りだす、それも石がゴロゴロして足場の悪い地面ではなくその上の空気をを踏みしめながら

まだ頭が体に付いていかないので先程よりはゆっくり目。それでも時速100キロは出ている


「ここら辺で良いかな」


休む事なく一時間以上走り続けたが疲れた様子は一切無い。風景は全くと言って良いほど変わっていないが、大体真ん中という位置で止まる


「まずは土壌改善!」


どん!という音が経て福太郎の右足が地面に埋まっていた

そこから神霊としての力を流し込む


「うおりゃぁぁ!」


福太郎の周りの岩石が砕け散り砂になる。その力は更に伝播し、およそ半径10キロ先まで広がっていく


「まだまだあ!」


リン酸、窒素、カリウム、マグネシウム、植物の成長に必要な栄養素を流し込む。この手の知識は農家であった福太郎には常識レベルだ


「さ!ら!にぃ!」


あちらこちらから地面が爆発したかの様に土柱が巻き起こる

水酸化カルシウムを流しつつ土を混ぜ込み植物が育ちやすい土壌を作っていく

半径10キロで土柱が乱立し、地面が波打ちうねる。もはや天変地異といった様相だ


(このまま1週間ほど土を馴染ませる)


花代と話せるのが1週間遅れると考えると今すぐにでも花代の木を植えたい所であったが農家として適当な事はできなかった

元から生えていた苔や雑草、低木等も混ぜ混んだ。これで土壌菌も大丈夫なはず。


(明日は鳥の所に行ってみよう)


日も暮れてきた。高速で移動できると言っても見知らぬ場所、無理をする気はない様だ


「しかし寝床はどうするか…岩の上だと流石に寝づらいだろうな」

(わたしやる!)


精霊の内の一人の声が元気よく聞こえてくる

その途端地面からメキメキと音をたて木が生えてくる

その木はかなり不思議な形をしていた。下部がドーム状に広がっている。♂を丸の部分を下にして植えた様な形だ。中を覗くとあまり広いとは言えないが、それでも成人男子でも寝起きできる程の大きさだ

地面にはふかふかとした草が生えておりホスピタリティーもバッチリだった


「おお!すごいな、ありがとう!これでゆっくり眠れるよ」


声は無いが自慢気な雰囲気が伝わってくる


(しかし…木まで自由に生やせるのか)


草の上に体を横たえ考える


(もしかして土壌改善とかしなくてもどうとでもなったんじゃろうか…)


もしかして無駄なことしたのか、いやいや長期的には必要な事だったはず、でもしかし、だけど、だが、それでも

自問自答しながら福太郎は眠りに落ちていった

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