今度こそ転生
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「90年近く花代として人間してる間にやらなきゃいけない事が溜まっちゃって…更に他の神にもそれがバレちゃって…」
女神はまるで宿題を溜め込んだ子供にうつむきながら告白した
「…いつもやることやって遊びに行けと言っとったじゃないか」
花代の母親としての言動を振り替える
「っう!」
女神は何も言い返せず動きが止まる
「まぁ神も完璧では無いと言うことか、仕方ないのぉ」
「がっかりした?」
「そんな事はない、新しい一面を知れて嬉しいくらいじゃ」
「っ福ちゃん!」
女神が胸に飛び込んでくる
「ハッハッハッ!相変わらず花代は可愛いの」
女神が顔を上げ見つめてくる
「転生してくれる?」
「今後も花代と一緒に居られるんじゃろ?そんな機会逃す訳無いわ」
「大好き!」
ぎゅっと抱きしめてくる女神の髪を福太郎は優しく撫でた
「まずは私の眷属として形を造って…そこに力を上乗せして…他の属性も着けちゃえ…使える魔法も…耐性も…姿は…福ちゃんのままで!魂を強固に保護して…う~ん、隠蔽も出来るようにしとこ…それから…あれから…」
「なっ…なんか分からんがもうそれくらいでええぞ!?」
「まだまだ!私の愛はこれくらいじゃ無い!」
福太郎の新しい体を創ると言って何やら動き始めた女神、しかしそれは端からみて何をしてるか分からずとも、やり過ぎある事が呟く言葉から理解出来る
しかし、愛と言われてしまえば福太郎にはとめる事が出来ない
「ふぅ~、これなら福ちゃんも安心のはず!」
一仕事終えた女神の手には光輝く玉があった
「これが福ちゃんの次の体になります!自信作だよ!よほどの事があってもどうにか出来るはず!」
その顔には誉めてほしいと言う感情がありありと浮かんでいた
そんな顔をされては福太郎に言えることは一つだ
「ありがとう、嬉しいのぅ、心強いわ」
「えへへへ」
素直に誉めて素直に喜ぶ、長続きする秘訣かも知れない
「それじゃあ準備するね」
福太郎の周りのいくつもの光の玉が回り始める
「多分10年もかからないと思うから少しだけ待っててね」
「そんなにかかるのか…時間を操れると言っとったがそれですぐ終わらせれんのか?」
「…サボりのペナルティとしてそれはやっちゃダメって言われた」
「…どこの世界にもちゃんとルールはあるんじゃなぁ」
「あっ、でも木がある程度育てば交信くらいならできるようになるよ」
「………ッハーーー、それを早く言いなさい!やっと会えたのにまた当分離ればなれかとさみしく思っとったわ!話くらいなら出来るのか」
気が抜けたように膝に手をつく
「忘れてたの、ごめんね?」
「他に何か言い忘れてる事とか無いじゃろうな?」
「ない!…はず」
「そこは断言してほしい所じゃのう。じゃぁ代わりにワシから一ついいじゃろうか」
「なに?」
「花代は分身じゃったんじゃろう?という事は貴女には別の本名があるという事じゃ、教えてもらえんか?」
「私の本名はこの世界の人に聞き取れないし、発音もできないから教えてあげられないなぁ」
「無理なのか。じゃあ今後何と呼べば?」
「これからも花代って呼んでほしいな、私は福ちゃんに何度も呼んでもらえたこの名前が大好きだから」
光の玉の速度が速くなり最早光の環になっていた
「そろそろいくよ、準備は良い?」
「うむ、大丈夫じゃ」
そもそも福太郎にできる準備など心の準備しか無いのだ、覚悟が決まってしまえば何もする事はない
「それじゃぁ行ってらっしゃい!待っててね!」
「行ってきます、待っておるよ」
光の玉が最高速度になった瞬間、福太郎の魂は異世界へと飛んだ
そして異世界にて女神の愛を過剰なまでに受けた
女神謹製超特級全属対応神樹神霊 福太郎
が異世界に降り立った