5話
手のひらをどけて僕が「目を開けてみて」というと、母様は眩しそうに何年も開いていなかった瞼を持ち上げた。
「えっ。。。。う、そ……見えてる」
確信はなかったがなんとなくできるような気はしていた。
(やった!)
「...ぐすッ。ジン、ラウスと同じきれいな青い髪の色。そして...ルイ、私と同じ真っ白な髪ね...」
僕たちの顔を見ていつも笑っている母様が泣いていた。
◇◇◇
バタンッ
「はぁはぁ。マリンッ!。目が治ったって本当か!」
勢いよく家の扉を開けて入ってきたのは兄様と青い髪をした男、ラウス・テーリッド。僕たちの父様だ。
きっと母様の目が治ったことを聞いて急いで駆けつけたんだろう。
「ええ、本当よ。」
父様は母様を抱きしめて
「よかったな...」
と言った。
「ルイが治したんだって?」
「うん!」
僕はそう言って今までのことの経緯を父様に話した。
◇◇◇
「...それはもしかしたらギフトと呼ばれるものかもしれん」
「ギフト?」
「ああ。通称、神様の贈り物とも呼ばれている。ギフトという力は魔力を必要としないんだ。だからまだ小さいルイでも使うことが出来のかもしれんな」
神様の贈り物...。あの夢の声は神様の声だったのかな。
「なんだ。スキルじゃないのか。」
兄様が残念そうに言う。
「いや、ギフトは選ばれた者にしか使えないと聞く。父様の知り合いに1人だけギフトが使える人がいる。
その方の名前は 神童 紅。王都で随一の剣士だ。その方に詳しく聞きに行くのがいいかもれんな」
「俺もギフト使えるようにならないかなー。」
翌朝、いつものように森に行き、剣の修行を終えひと段落していると兄様がそう呟いた。
「父様が言ってたでしょ。選ばれたものにしか使えないって。」
「ルイだけずりぃ」
ははは。
ガサッ
その時、草むらから音がし木の奥に人影が見えた。
「誰だッ!」
兄様がそう言って木剣を構えた。僕もそれに習って木刀を向け人影を注視する。
「あっ、あの...」
そこに立っていたのは緑色の服を着た髪の金色の人物。
そして、その耳は人間の耳よりも長く尖っていた。