4話
母エリン視点-----------
私の名前はマリン・テーリッド。
幼少の時に村に迷い込んだ魔獣に襲われてから私には両目が見えない。
その時に助けてくれたのが今の夫のラウス。
夫のラウスとはお隣同士の幼なじみで私はいつもラウスの背中について遊んでいた。
目を怪我した私をみてラウスは
「守れなくてごめん...」
と言った。
それからラウスはどんどん剣の実力上げ今では村1番の剣士です。
ラウスと共に王都の教会に行き神官様に目を治そうとしてもらおうとしましたが傷が深いため治すことができませんでした。
目が見えないと何かと不便なのでスキルを身につけようと思った私は一生懸命練習しました。
その甲斐あり空間把握というスキルが使えるようになりました。
空間把握とは周囲の魔力を通し物体のある程度の形などを把握するスキル。
常時発動させておくのは難しいですが強力なスキルではないため長時間発動させておくことは可能です。
現在は夫のラウスと二人の子供に恵まれ私はとても幸せです。
少し気がかりなのはあの子たちの顔が見れないということ。
空間把握ではある程度の形はわかりますがどんな表情をしているのか、髪の色は何色なのかなど細かいことを知ることはできないのです。
そんなことを思ってると家の外から声が聞こえてきた。
「はやくこいルイ!」
「まってよ!はぁ...はぁ...」
私の二人の子供、ジンとルイです。
「あら、もう帰ってきたのかしら」
いつもよりはやい帰宅に少し不思議に思う。
「「ただいま!」」
「おかえりなさい。随分はやかったわね」
「聞いてよ母様! ルイがスキルを使えるようになったんだ!」
私はは驚いたようにルイを見つめる。
スキル?ルイはまだ7歳よね...
一般的にスキルが発動できるようになる平均年齢は12歳からと言われている。
その年齢になるまで魔力を貯めておく器が完成しないのです。
「すごいじゃない。きっとスキルの才能があるのね。」
「うん! 兄様のひざの怪我を僕が治したんだよ。だから母様の目も僕が治してあげるよ!」
「ありがとう、ルイ。
でも、その...母様の怪我は...ちょっと無理かもしれないわね」
スキルには第一、第二、第三と段階があり、多く魔力を消費するスキルほど数字が大きい。
私が王都で神官様にかけてもらったスキルは「治癒魔法 第三魔技 エクストラヒール」。
第三以上のスキルは王都でも使えるものが少ない。
そんなスキルでも治せなかった怪我をルイができるとはとても考えられなかった。
「やってみなくちゃ分からないよ!」
1ミリも諦めていないようなルイの声に無理だとわかっているのに、もしかしたらという期待を持ってしまう。。
「そうね、じゃあお願いしようかしら。
でも、治らなくても落ち込まないでね。」
「うん!」
そして、ルイの手が私の目を覆い緑色の暖かい光が
包み込んだ。