3話
「ふっ! やあっ!」
「はあっ!」
カンッ コンッ
森の中で乾いた木がぶつかり合う音が聞こえる。
「どうしたルイ!その程度か!」
母様の前で父様超える宣言をしてからすごい気合入ってるな兄様。
でもっ...
「てやあああ 、うおッ」
ルイはジンの大振りの剣を軽いステップでかわし背後に回り少し背中を押した。
ドンッ
「いてててて」
「また僕の勝ちだね兄様」
「よけるなんて卑怯だぞ!」
「それじゃあただの力比べだろ。兄様の剣は読みやすいし大振りなんだよ。もっとフェイントとか入れなきゃ」
「そんなもんめんどくさい!あーあースキルさえ使えればなあ」
スキルかぁ...
スキルを使うにはいくつかの条件がある。
まず第一に体内に魔力がないとスキルは発動しない。
そして強力なスキルほど体内の魔力を大きく消費してしまう。
魔力は空気中に存在しそれを体内に取り込みスキルを発動させるのだが、魔力は成人するにつれて体内にたまっていく量が増える。
なので小さいうちはいくらスキルを使おうとしても発動しないのだ。
「まだ僕たちには無理だよ。せめてあと3年はまたないとね」
家を出て1時間ほど木剣で打ち合っているが僕にスキルは発動していなかった。
兄様がスキルを発動させてないんだから僕が使えるわけないか。
やっぱりただの夢だったのかな。
「あれ?兄様、足けがしてるよ」
兄様の右足のひざが少し血でにじんでいた。
「さっきこけたときに擦りむいたみたいだ。これくらい大丈夫だよ」
その時なぜか僕ならその傷を治せると思った。
僕の手が自然と兄様のひざに延び
そして、
緑色の光が包んだ。
「何してんだルイ? .....なんだこの光、あったけぇ・・・」
そして僕が手をどかすと兄様のひざにあったはずの傷が跡形もなく、なくなっていた。
「えっ」
自分のしたことなのに驚きが隠せなかった。
もしかしてこれがあの女の人の言ってた力?
「すげぇじゃないかルイ! お前スキルが使えるようになったんだな!」
「そうなの...かな?」
兄様はこの力をスキルというけれど、僕はこれをスキルとは何か違うような気がした。
もっと別の...
「このスキルがあれば母様の目を治せるかもしれないぞ!早く帰ろう!」
「ッ!」
兄様の言う通りだこのスキルがあれば母様を治せるかも。
「うん! 帰ろう!」
そして僕達二人はは急いで家に向かった。
その兄弟たちの様子を木の陰でたまたま目にしていた者がいる。
そのものは緑色のフードをめぶかにかぶり顔を隠していた。
「...あの力があれば」