主のために、乙女ゲームに介入します
私は今、主の推しを助けるべくゲームの中にいる。
何故、私がゲームの中にいるのかについてだが、主のいた時代で流行った【ゲームをしていたら、ゲームと同じ世界観の異世界に転生してしまった】という、アレではない。
私の今の状況は、主の力によってもたらされている。
主は、本の中に任意の『モノ』を送る力がある。送ることが出来るのは、生物、物質といったあらゆる『モノ』だ。
その力をお借りして、主の大好きなお乙女ゲームの世界に来ているわけだ(本来であれば、本の中に介入する力だが、流石は私の主。ゲームにだって介入出来てしまうのだ)
このゲームは、よくある女性向け恋愛シュミレーションである。
ただし、主の推しは攻略対象ではない。
主の推しは、所謂『サブキャラ』
その中でも、重要な役どころがあるが、どのルートでも死んでしまうポジションにいる。
何故、そんなキャラクターを推しているかと言うと。
最初の発表されたキービジュアルにいたため、攻略対象と考えたところから始まる。更に、声が好きな声優ということもあり
「彼を最初に攻略するよ!!」
と、息巻いていた。
しかし、ゲームの情報が次々に公開されるに従って
「隠しキャラかな?」
「真相ルートキャラかな?」
「2週目で攻略できる?」
「全員攻略しないとダメなアレかな?」
どんどんお落ち込む主の姿……
私を代わりに攻略してもいいんですよ(何か、お力になれればよいのですが)
おっと、本音と建前が。
そして、ゲームが発売されてすぐにプレイされた主が、突然悲鳴を上げた。
お話を伺うと、推しの彼が死んでしまったというのだ。
しかも、どの選択肢でも何らかの形で死んでしまうという。
どこかのルートに救済がないかとやり込んだそうだが、どこにも救済がなかったと嘆いていた。
それならばと、私は主のお力をお借りして、主の推しを救うことにしたのだ。
「マジで!!お前がゲームの中に入って、推しを助けてくれるの?」
ええ、主のために。
「やった!成功したら、マジで嬉しい」
はい。主のために頑張りますよ。
「推しが生存できるルートを確立できたら、お礼に何でもお願い事叶えるよ!何でも言ってね!!」
あぁ、主の喜ぶお姿こそ尊いです。
と、言う訳で推しを救うことになった。
さらに、主の一番好きなルートで実行することになった。
ちなみに、一番好きなルートでの死因は、毒殺である。




