チュートリアル1
お久しぶりです。道化です。今回は少し遅れてしまい申し訳ないです。残業等でいそがしく書いている内に寝落ちしてしまい、朝起きたら文章が消えていたんですよ。
今回の言い訳でした。
それでは3話目です。どうぞ
次話の投稿まで少し時間をいただいています。
詳しくは活動報告の確認をお願いします。
「まずは、【投擲】のチュートリアルじゃ。」
そういった後、シキはまた一つ柏手を打った。
すると数歩先に一瞬で机とその上に石ころの山が現れた。更にその先には、的らしき土で出来た人形が並んで現れる。
「うむ、準備も出来たし説明を始めるぞ。」
シキは用意したものを見て一つ、満足げに頷くと説明を始めた。
「まず【投擲】スキルには初心者用と玄人用で切り替えられる機能がある。この機能は他のスキルにもあるんじゃが、簡単に言うと初心者用はその行動にスキルのアシストを受ける事が出来るのじゃ。」
「成る程なぁ。で、アシストってどの程度の事をして貰えるんだ?」
「そうじゃの。いや、やってみた方が早いじゃろ。ほれ、そこに用意してある石ころをあの人形に投げてみるがよい。基本最初は初心者用になっておる。実際にアシストを受けて見るがよい。」
「おう、じゃあやってみる。」
言われて、机の上に山となっている石ころを一つ、手に取ると人形の頭の部分目掛けて投げてみた。
しかし、投げた石は人形の頭には当たるが、何かアシストを受けている感じはない。その後も続けて3回ほど石ころを投げ、人形の頭に当てているが一向にアシストを受けている気配はない。
「……お主、命中率がすごいの……こういうのは得意だったりするのかえ?」
さっきから黙っていたシキが、おずおずと話しかけてきた。
「そうだな、結構得意な方だな。それがどうかしたか?」
「チッ、そうじゃな、簡単に説明するがの。【投擲】スキルの初心者用のアシストは命中精度を補正するものなんじゃ。例えばあの人形の頭に石ころを投げた時に10㎝程ずれていたとする、すると石ころをが当たるまでの間にその石ころの軌道が修正されて、石ころは人形の頭に命中するという訳じゃな。流石に投げた石ころが狙ったものから離れすぎていては補正事態が働かんがな。補正が働く範囲は狙ったものから半径15㎝位が限度じゃな。まぁ、お主には必要ないものじゃろうがな。」
ヤバイな、何か露骨に不機嫌だぞ……取り敢えず謝っておくか?
「えーと、な、何かすまんな。そ、それで玄人用のアシストはどんなのなんだ?」
「よい、もう気にするでない、このような事を想定していなかった訳ではないのじゃ。それで、玄人用のアシストじゃったな?まず、玄人用のアシストは攻撃が当てられる事が大前提じゃ。当てた攻撃に対して、スキルレベルに応じた倍率補正がかかるのは初心者用でも変わらぬが、玄人用の場合はその補正値が高いのじゃ。む?おお、そういえば言っておらんかったが初心者用、玄人用の切り替えは現実時間での2日に一度という制限を掛けさせてもらう。そうせんと少し便利に過ぎるからの。」
やっぱり当てられるなら玄人用にするべきだよな。それに切り替えについては玄人用から変えることは無いだろうしあまり気にする事でもないだろう。
「と、そうだ。なぁシキ、俺は投げナイフを使うつもりなんだが、石ころじゃなくてナイフとかも用意出来ないか?」
「ナイフじゃな?その程度ならよいじゃろ、ほれ使うがよい。」
シキは、机の何も乗っていない所に手を伸ばすとナイフを一本掴みそのままこちらに渡してきた。机を見るとそこにはナイフが綺麗に並べられている。
「え?なにお前、柏手は?必要ないの?」
「ああ、これじゃな」
言うと、シキは一つ柏手を打った。すると皿に置かれた羊羮が2つ現れる。呆気に取られている俺を余所に羊羮の皿を一つ手に取ると付いていた楊枝で切り分け一口食べる。美味しそうに顔を綻ばせて飲み込むと
「先程上の趣味じゃと言ったであろ。別に物を出すのに柏手を打つ必要などないのじゃ。妾も気に入っているとはいえ、そう何度もパンパン、パンパンと叩いておったら飽きもくる。また興がのったら叩き始めるがな。叩く時と叩かん時がある、その辺りは慣れるのじゃな。あとその羊羮はお主の分じゃから食べてよいぞ。それはゲームでもいずれ食べられるようになるものじゃ。ある種の目標にするがよい。」
「……お、おう、あー取り敢えずいただくよ。」
シキに付いて行けずに、ぼーっとしてしまったがなんとか立ち直り出された羊羮を食べる。
「え?うまっ」
出されたので自然に食べてしまったがこの羊羮、味がついていた。何を当たり前の事をと思うかもしれないがゲームを始める前は味覚まで再現されているとは思わなかったしクワッド社も味覚については何も発表していなかった。驚きシキを見ると、いかにもしてやったりというような顔でこちらを見ていた。
「どうじゃ?うまいじゃろ?妾もお主に驚かされたからの。お主の驚く顔は傑作であったぞ。」
「え、だって味覚まで再現されてるなんて聞いてないぞ!?」
「だって言っておらんしの、それにまだ知らせていないこともあるぞ。まぁ、それはゲームが開始されてからのサプライズじゃからな。楽しみにしておれよ。」
「あぁ、何か驚き疲れて逆に冷静になってきたわ。羊羮も食ったし投げナイフの練習でも始めようか。」
そうしてシキが用意してくれたナイフを一本手に取り今度も人形の頭に向かって投げてみる。トスッと音をたてて刺さったは良いが……
「初めてにしては良いほうかな?」
ナイフは人形の肩の辺りに刺さっていた。
「まず、初めてで刺さるのがおかしいと思うんじゃがな……」
シキの指摘を無視してひたすらナイフを投げ、練習を続けていく。何度か外してしまうこともあったが暫く練習していると徐々にナイフが狙った位置に刺さるようになってきた。
「シキ、今練習始めてからどれくらい経った?」
「三時間じゃ、現実では一時間しか経っておらんがの。しかし本当に呆れる集中力と成長速度じゃな……」
「そんなもんか。じゃあこれくらいで良いかな。あとはゲームを、始めてから実際に動く敵を相手にして調整していくわ。」
「お主がそう思ったのならそれで良いじゃろ。では次は【無属性魔法】のチュートリアルを始めるぞ。」
遂に魔法を使う時が来たようだ。魔法なんて現実じゃ絶対にお目にかかれないものだしな。それが自分で使えるようになるって言うのだから気分が高揚しない訳がない。ああ、すごい楽しみだな。
話が進まないー
あれー?チュートリアルってもっと短くする予定だったんですけどね。紫苑君とシキちゃんの会話って書いてて楽しいんですよね。
このままだとゲームが始まるのいつ頃になるんでしょうか?ちょっと不安なので頑張って更新ペース上げていきたいと思います。
次回もその次もチュートリアル回だと思いますが宜しくお願い致します。






