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吸血鬼の国

現在、ラピスの案内の元に旅をしている。道程的には3日ほどだそうだ。その間の食料や水分は、ラピスに言えばどこからともなく取ってくる。たまに、ラピスに血液が付いているが気にしないで置くことにする。

そしてラピスから、目的の情報を聞きながら進んでいる。

どうやらラピスが案内する場所は、同族の国だそうだ。つまり吸血鬼の国なのだ。元々ラピスはそこで生まれ育ったわけだが、退屈して国を抜け出し、最初に会ったところで旅人を驚かしたりしながら、暮らしていたらしい。

だが、驚かすというのは疑問なのだ。実際自分がそれを受けたわけだが、殺す気満々だったのは言うまでもないだろ。

何よりラピスは自分より強いものに出会ったことがないそうだ、それゆえ、自分の攻撃がまったく効かなかった自分に初めて屈したということになるのだが。


「主様の眷属になったおかげで、力がみるみる増えていくのを感じます」

その言葉を聞き、疑問に思った

いつ眷属にしたんだっけ・・・

その疑問を直接ぶつけてみた

「ラピスを俺はいつ眷属にしたんだ?」

ラピスはそれを少女らしい可愛い仕草で首をかしげながら答える

「妾が眷属になることを求め、主様がそれを認められたじゃないですか」

いつのまにそんなことをしたんだと詳しく聞くと

ラピスが地に膝を屈した時点で、眷属をなることを求めたことになるらしい、そして、俺が案内をしてくれという言葉が認めたということになるそうだ

なんという不条理だと思う。こちらがまったくその気がないのに、結果的にはそうなることに後悔を浮かべる

だが、しかし、あの時はそうするしかなかったのだ。まったくわからない世界で案内もなしで彷徨うなど、絶望しかなかったのだから。なので俺は仕方ないと考えを改めることにする。


3日の道程を超え、目的の吸血鬼の国に入る国境まできた時に、それが起きた

眼前には、数百の軍隊が厳戒態勢を敷いて、こちらを伺っているのだ

それも明らかにこちらに、敵意をむきだしている

 はて、俺はなにかしただろうか?

そう疑問を浮かべ、詳しいことを知ってそうなラピスに疑問を問いかける

「雑魚共が群れをなしておりますね、今邪魔にならないよう駆除してきますので、お待ちください」

答えになってない答えに、俺は慌てる

「いやいやいや、待て。どうしてこちらに敵意を向けているのか聞いているのだが」

ラピスは首を傾げながら

「暇な時に少し悪戯をしていたからかもしれないですね。」

少女は何の悪気もない感じでそう答える。その仕草はとても可愛らしいのだが、発する言葉はどうみても見た目と想像できない発言だった

「なにしてくれてんの!」

俺はつい突っ込みをいれてしまった

どうみてもラピスの悪戯とは、子供の悪戯の範疇に収まらない悪戯であることは想像できる。つまりは全てラピスのせいであるということだ

そんな突っ込みにも動じずラピスは丁寧なお辞儀をして

「少々お待ちください、今虫けらを主様の邪魔にならないよう・・・」

「いやいやいやいや、しなくていいから!まじでしなくていいから!」

俺の必死の説得に、しかし・・・・と言葉を続けようとするが、なんとか止める

 やばい、ラピスはまじでやばい。一緒にいるのは間違ったかもしれない

俺の思考はラピスという見た目に反して凶悪な少女を連れて行くことの後悔が渦巻く

少女はこちらに何かを訴えるように見ているが、今は無視をすることにする

現状、友好的に接したい思惑は簡単に壊れそうだ

ならばどうするか・・・そう思考をしている中

眼前の軍隊が左右に分かれ、中央に一人の美しい色気を漂わす美女が現れる

俺はそれを注視する。というよりもラピスという少女の姿よりも色気たっぷりの美女に目が離せないといったところなのだが

その美女は前に進み出、膝を地面に付け

「ラピス様、突然の来訪いかがしたのですか?民は怯えております。それとも王になる決心でもつきましたか?」

その美女は美しい声色でそう告げる

俺はラピスを見る。ラピスはまるで見下すようにその美女を見てる。

「今日からこの国は妾の主の寝床とする、妾の主・・・・」

そう言って俺を見る

「申し訳ありません、お名前を聞いてもよろしいでしょうか?」

申し訳なさそうに、ラピスは俺に聞いてくる

名前か・・・記憶がなかったから考えてもいなかったなと思い至る。

少し思考して、なにもないからゼロ・・・安直すぎるか・・・零・・・レイ。

うん、レイにしよう

「俺の名前は今日からレイにしようと思う」

ラピスはそれを聞き笑顔で頷き、美女に向き直り

「ここにおわすレイ様の寝床としてな!」

その言葉を聞き、美女は動揺する。それは後ろにいる軍隊も同様だった。

「まさか・・・ラピス様が主と認める方が存在するなんて・・・」

美女は呟く、そして俺を見る。俺は満面の笑みで友好的ですよとアピールする。

それを見た、美女は汚らしい顔を見たと顔を歪める

泣きそうになったのは言うまでもない

「本気ですか?ラピス様・・・。我らの神に等しい存在がそんな人間ごときに・・・」

それを聞き、ラピスの表情は一気に変わる。傍にいる俺でも怒りが伝わるほどの気配を出しながら。傍にいた俺は恐怖で涙目になった

それは目の前の美女も同じだったらしく、顔は青ざめていた。

さすがにこれはまずいと思った俺は恐怖で震え上がった声で必死に言葉にする

「ま、まて、ラピス。お。おちつけ、な?」

しかし怒りが収まる様子がなかったが俺の言葉で行動には移さないようにはしてくれたようだ

「き、貴様!主様になんていう無礼を言うのだ!ゆ、許さんぞ!」

怒りに震えるラピスの声が響く

それに美女は震え上がる

「申し訳ありません、ラピス様。お許しを」

力関係はこのやり取りをみて、わかったがラピスが上らしい。しかしこの状況をどうまとめたものかと悩む

「今すぐ、宮廷に案内し、休む場所を提供しろ。主様が寛大なお方ゆえ、皆殺しはしないでおくが、もたもたしてると妾が許さんぞ」

そんな俺の考えがどこ吹く風で、ラピスは言葉を発する

それを聞いた美女は、震え上がる体で後ろにいる兵に指示を出す。兵もまた恐怖で震え上がりながらそれに従っている。

「ラピス様、レイ様、どうぞこちらへ」

美女はもう抵抗どころではないという感じで、案内をする

そして宮廷の王室に案内されたのだ

元々は美女もとい、ロザリーの部屋だったそうだが、これ以上ラピスの不興を買うわけにいかないと明け渡した、というよりも降参したようだ。

こうして俺はなぜか吸血鬼の国の王になったというか、ラピスにさせられたのだ。

そしてラピスについてだがわかったことは、この国最強の吸血鬼であり、神とまで呼ばれる存在だったのだが、自分と互角の強者がいないこの国を離れ各地を転々として強者を探していたそうだ。そしてついに諦め、最初に会ったところで暇をつぶしていたらしい。元々あそこも、別な魔王の領土だったが、追い出したそうだ。ラピスを恐れるあまり、平原に魔物がいないのは森に隠れ潜んでいたのが現状だった。そこに俺が現れて、ラピスをなんかわからないうちに従えてしまったという顛末だ。


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