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文学

麻薬に手染めた美女

作者: 千路文也

 麻薬常習犯の女は3年間刑務所暮らしをして、ようやく今日釈放となった。警官からは「もう二度とするなよ」と言われたのだが、麻薬をきっぱり止められる人間など滅多にいない。女も刑務所の中では大人しくしていたが、やはり心の中では麻薬を欲しがっていた。そして今日、何もかも自由になった。彼女の周りには監視の目も無ければ鉄格子も無い。さっそく実家に戻ると、スコップを片手に庭の地面を掘り返していた。地面からは麻薬の入った箱が出てきて、有頂天になった女はパソコンの前に座った。麻薬吸引の生配信をしようと思ったのだ。


「待ちに待ったこの瞬間を全国の皆さんと一緒に共有するわ。今日はあたしの独立記念日よ。盛大にらりっちゃうわよーおほほほほ!」


 女は麻薬を炙って直接鼻から吸引し、満足気な表情を浮かべた。久しぶりのヤクだったが身体は味を覚えている。あまりの開放感に、女は口をだらしなく開けてトロンとした半目になり首をグワングワンと揺らし始めた。その光景をインターネットの向こう側から見ている人達は、一斉にコメントをしていた。美人が麻薬でらりってる姿に興奮を隠しきれないらしい。


「もうどうなってもいいわ。あたしにはこれしかないのよおおおお!」


 全身で喜びを感じた彼女は画面に向かってダブルピースをしていた。その感極まったラリ顔ダブルピースはあっという間に全国に知れ渡り、彼女は翌朝再逮捕されてしまった。しかし彼女には未練など無い。楽しみは後に取っておくのが彼女の流儀だからだ。何年後に出所するのかは定かでは無いが、きっと似たような方法で喜びを表現するだろと曖昧な計画を立てていた。




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