私の誕生日に産まれた娘
もうすぐ娘が6歳になる。と、同時に私も44歳になる。
38歳の誕生日になった時、私は産院で陣痛中だった。破水して3日。錠剤の促進剤を飲んでも産まれず、前の日に点滴が追加されていた。
しばらくして目を覚ました付き添いの夫から(ギリギリコロナ禍前だった)、誕生日おめでとうと言われたけれど、今それどころじゃないとイライラしたのを覚えている。
痛みのピークをむかえてもなかなか子宮口が開かず、明け方には陣痛の痛みに慣れたのか、痛みをあまり感じなくなっていた。
やっと分娩台に移動した頃には痛みが分からないくらいになっていたので、私は繋がれた機械の波形を波に合わせて何度かいきんだ。
3度目のいきみだっただろうか?
助産師さんに引っ張られて娘はスルッと出てきた。娘は一度病室で待つ夫に顔を見せに連れて行かれ、私はその間会陰縫合をされた。(後で母子手帳を見たら、出血多量と微弱陣痛と書かれていた)
陣痛促進剤の点滴の針が抜けていたようだ。それで痛みがなくなったのか。
戻ってきた娘を胸に置かれ、そのまましばらく分娩台で休んだはずだが、どうやって病室へ戻ったか記憶にない。産まれたばかりの娘はピンクでふにゃふにゃしていた。泣き声はか細いが、髪はもうふさふさだった。
病室に戻ると、義父母が来た。前日、心配だからと押しかけてきたのだ。(何度も義母の非常識には困らされたが、今はプチ縁切りをしている。義母も発達障害だと思われる)
貫徹で出産したアラフォーである。義父母が帰るまで愛想笑いをしていたが、いつの間にか気を失うように寝たと思う。
そんなこんなで、大変な誕生日だった。そして、私の誕生日は娘の誕生日となった。
あれから6年…
あっという間だった。
娘が発達障害と言われてから、いろんな人に大変だったでしょうと言われたけれど、そうでもない。
大変じゃないわけじゃないけれど、そこまででもない。
娘は一人っ子だし、私ほぼ専業主婦だし(有償ボランティアをしています)、世のワーママさんや、定型児だとしても2人以上子供がいるご家庭に比べれば、そんなに大変じゃないと思われる。
たまに大変。だけれども、今のところ大変になりそうな場所には行かないようにすれば、あまり困らない。
大型ショッピングモールとか大型ショッピングモールとか大型ショッピングモールとか。
娘は基本、放置していても勝手に遊んでくれる。ゲームとYouTubeが大好きで、あまりにもそれらが長時間過ぎる時はLEGOやお絵かきなどを勧める。
マイクラとあつ森とピクミン4、たまにリングフィットやマリオカートもする。
はじめはゲームを辞めさせるのが大変だったけれど、もう辞めようと声をかければ辞められるようになった。
YouTubeも、そう悪いことばかりではない。お気に入りの動画で流れた喜びの歌のおかげで、その時のピアノの練習曲が喜びの歌だったのでピアノの練習を嫌がらなくなったし、知識も増えるし、やりたいことも増える。その間私は好きな事ができる。
たまにカードゲームやボードゲームを一緒にやって欲しいと言われ、付き合う事もある。けれど、負けると泣いたり、投げ出したりするので面倒臭い。娘に有利なルールを強いられる。
けれど、だんだん負けて泣く回数は減ってきたので、できるだけ付き合って、今後お友達と遊ぶ時に泣いたり投げ出したり自分ルールを押し付けないようになればと思う。
ピアノさえ弾いてくれたら後はご自由にどうぞというスタンス。公立幼稚園なので、2時には幼稚園が終わるので時間はたっぷりある。(晴れると園庭で30分〜1時間ほど遊ぶけれど)
春や秋は公園に行ったりもするが、夏と冬はずっと家だ。外遊びができないと、娘は体力が有り余って家の中を走り回ってしまうので、トランポリンやハンモックを置いてある。(滑り台付ジャングルジムもあるけれど、使っていないので洗濯物干し場になっている)
夏は落ち着きがなかったが、秋は落ち着いていた。そして冬、また落ち着きがない。もしや、外遊びが少ないせいだったのか。
そういえば、夏にも同じ事を思ったから、秋に公園に行きまくったんだった。なぜ私はすぐ忘れてしまうのか…
暖かい日は公園に行こう…
ものづくりが好きな娘は、工作、絵本作り、LEGO、砂場遊びなどをすると過集中して一気に作り上げる。
けれど、集中できない時は落書きをしたり、紙を丸めたり、破ったり。楽しい時は上手に字が書けるのに、イヤイヤやると物凄く下手な字になる。
なんてわかりやすい。日記を書くのは好きじゃないんだなとわかる、ボロボロで落書きだらけのノート。汚くて読めない字。小学生になったら、ノートで教科の好き嫌いが分かりそうだ。
書くことが嫌いな訳では無い。ダジャレや回文、つながるしりとりなどは大好きでいくらでも書ける。創作した小説のようなものを書き出すこともある。
日記を書くのは楽しくないのだろう。けれど、嫌がらずに自分で考えて書くようにはなった。『ラーメンを食べました。おいしかったです』みたいな1行日記だけれど。
替え歌や、作詞作曲した曲での即興ダンスで気持ちや出来事を表現する方が好きなようだ。小さい頃から自作の不思議な歌を歌いながら踊っている。
『ハッピーホームアカデミー♪〇〇ちゃんのおへやのどこがすてきだったの♪』
今日歌ったのは、あつ森をしてハッピーホームアカデミーからメールが来たのが嬉しかった時の歌。ちゃんと繰り返しがあり、曲として形になっている。
絶滅動物や宇宙の歌だったり、今回のようなゲームの歌、自己紹介の歌、様々な歌を作っては踊っているけれど、残念ながら動画に収められたことがない…
スマホを向けたり注目したら、すぐに踊るのをやめてしまう。
踊るのが好きなお友達と遊ぶ時などは、舞台監督さながら演出を考え、お友達に指示を出しながら踊る。小さな即興ダンサーである。
そうか、もしも発達性協調運動症で踊りが上手になれないとしても、演出家の道があるのか。
踊りが大好きなのに上手になれないのはかわいそうだと思っていたけれど、ポジティブ娘は本当に、全然かわいそうという言葉が似合わないのだ。
毎日クリエイティブにアクティブに過ごしている娘と一緒にいると、楽しいが、疲れる。娘も相当疲れていると思われる。
なので、家でゲームしながらダラダラ過ごす時間も我が家には必要なのだ。
家事も最低限。やれる時にやればいい。幸い、ASD夫のルーティンに掃除機がけが入っている。新婚当時は掃除したのにまた掃除機をかけられてストレスだったので、私はやらないことにした。
ただ、夫の家事は見えるところだけ。それに気付いた時、漫画『ミステリと言う勿れ』の煙草森というバス運転手を思い出した。これもストレスだったがもう慣れた。見えるところだけでもやってくれるなら万々歳。
それもあって、私の毎日は適当な家事育児でいいので(夫がいいと思っているかはわからないが)そんなに大変ではないのだ。
多分、私は夫の胃袋は掴めているようなので、たまに夫の好きなものを作る。電気圧力鍋はとてもいい。
娘は好きな事ややりたい事は努力できるし、自己肯定感も高い。とんでもなくマイペースでもある。
このままの娘ならば、生き辛さや絶望感とは無縁で生きていけるのではないかと思うのだが…
そう、うまくはいかないだろうか…
多分、娘は女子社会で生きるのは大変だと思う。幸い、支援学級や放デイは男児の方が多い。その後の進路も、私立中や付属中から理系に進めば何とかなるんじゃないかなと…
ふわふわとだが思っているけれど…
まだ小学校のお勉強も始まっていないので、娘の学力が如何ほどなのか全く見当がつかない。
学習障害もたくさんありそうだし、聞き取り困難症で授業中に先生の話が理解できない可能性も高い。
IQが高いからといって、学校のお勉強ができるかは、学校が始まってみないとわからない。
先日、幼稚園の参観日だった。親だけでなく普段は来ない祖父母も参加した、見慣れぬ大人が混ざったカルタ大会。
最初娘は1枚も取れなかった。けれど、大人が参加をやめた途端、イキイキとカルタを取れだした。
大人数がだめだったのか、知らない大人がだめだったのか、両方か。
いつもできる事が、環境によっては全くできない。
小学校のお勉強が無理そうだったら、個人塾かな…
娘を一人っ子にしたのは私のエゴだけれど、それで良かったと思う。
経済的にも、私のキャパ的にも。
私はヤングケアラーだった。私のプチ強迫性障害などはそのせいだと思われる。
私が今の娘くらいの頃、弟を産んだ直後から母は統合失調症になり、閉鎖病棟に何年も入院した。
私と年子の妹と産まれたばかりの弟は、田舎の祖父母の家に預けられた。父は単身赴任で働いた。
私は、お姉ちゃんだからと家事を全部させられた。
料理洗濯掃除。今あまりやらないのは、その反動だと思う。
放課後。年子の妹は友達と遊べるのに、私は夕食を作らなくてはいけない。毎日毎日、料理をしても誰も褒めてはくれない。
たまに妹が気まぐれで焼いた卵焼きを、祖母は美味しい美味しいと食べるのに。
夏休みだけ来る従姉妹が作った具のないインスタントラーメンを絶賛するのに。
私は誰にも褒められない。
私が娘をお姉ちゃんにしたくないのは、年齢的にも体力的にも、身体的にも厳しいのもあったが、一番はその記憶のせいだった。
有償ボランティアで乳幼児と触れ合う機会が多いけれど、私はもう一人子供が欲しいと思うこともなく、妊婦さんを羨ましく思うこともない。
夫と娘と私。平屋の3LDKに、3人でちょうどいい。毎年旅行にも行ける。
来月は娘の好きなトリックアートを見に神戸に行く予定だ。
夏休みには大阪に、大絶滅展を見に行きたい(まだ娘が絶滅動物好きならば)
もうすぐ、娘と私の誕生日。これからもずっと、私の誕生日は娘の誕生日。
誕生日ケーキは娘の好きなお芋のバスクチーズケーキを予約した。この日を私の好きなケーキで祝うことは、もうないんだろうな…
続く…




