6歳2Eギフテッド 自分図書館を開館①
「自分の図書館作りたい」
娘がそう言い出したのは、ある夜のことだった。
これまで(4歳〜作っている)自分で描いた絵本を並べる図書館。動物や空の図鑑もある。
いつもすぐ飽きて完成までいかず、忘れた頃にまた続きを描き始めるので未完成のものが多い。
正直なところ、最初は言ってるだけだと思っていた。適当に付き合っていたらまたすぐ飽きるだろう。
けれど、今回は違った。
まず、本にバーコードを書き出した。その下に図書館の名前を書いた。
いつも行っている図書館の本に必ずあるバーコード。よく見ているなと思った。
書いたバーコードがこすれて消えることに気が付くと、その上からテープを貼って保護した。
次に、ポスターとチケットを作り出した。
オープンの日も自分で決めた。チケットは切れ込みを入れて、もぎりやすくした。
ここで23時を過ぎた。さすがにこれ以上は待てなくて、私は娘を寝室に連行した。
これで図書館ごっこは終わったと思った。これまでも、いつも娘は寝たら次の日には他にやりたいことを思いついて、他の事に夢中になるのだ。正にリセットボタンを押したかのように。
自覚もあるようで「やりたいことが多すぎて間に合わない。寝たら忘れるから続きができない」と以前言っていた。
けれど次の日、娘は図書館のロゴマークを作り出し、ポスターなどにも描き足した。
丸は地球、ハートは心、四角は本らしい。
自ら棚を用意し絵本を並べるがうまくいかず、倒れてしまう。そこでブックスタンドを使ってみたが、また倒れた。ここで考え、絵本を少し開いて置くと安定することに気が付いた。
仕事で不在の夫にチケットを入れた招待状を作った。私にはチケットを手渡しでくれた。
この日はこれでおしまい。準備が整ったらしい。
前の日の続きが、できた。
ポスターの日付は3日後なので、この日は図書館は開かれなかった。
次の日、図書館オープンが待ちきれなくなった娘は、その日の日付を書いた紙を貼り、ポスターの日付を書き換えた。
そしてロゴマークを自分の胸に貼り付け、館長になった。ルールも作った。
走ってはいけません。
本当の図書館はダメだけど、ここはうるさくしても大丈夫
いよいよオープン。本棚の横に受付も作ってあって、そこでチケットを渡すと、もぎって半券を回収された。
おすすめの絵本も紹介してくれて、私はそこで絵本を5冊借り、読んで返却した。
図書館というものを、自分なりに観察して、理解して、再現していた。チケットのくだりはバレエの発表会も混ざっていたけれど。
本当によく見ている。本物の図書館には、月に3回は行っているだろうか。
しかも、図書館で本の貸し出しをするだけではなく、企画や運営までした。普段見えていない図書館の裏の仕事を想像して。
娘は図書館をスーパー(絵本に描いた)やパン屋さんとかレストラン(ごっこ遊びをよくする)と同じくらい身近に感じているんだなと思った。
「来年、本を増やしてリニューアルします」
閉館後、館長はこう言った。
やりたいことが多すぎて、23時を過ぎても創作をやめられない。間に合わずに寝たら忘れて、中途半端で積み上がっていく、描きかけの作品。
今回、途中で忘れることなくやり遂げた娘が、もう次を考えている。
何もかも中途半端だと思っていたのは、私だけだったのかもしれない。この子の中では、全部ちゃんと続いていた。
ずっと、このチケットを受け取ってあげられる親でいよう。図書館の受付でチケットを渡されながら、私は思った。
この図書館は、娘に特性がないと開かれなかった。発達障害、ギフテッド、2E…
困りごとと捉えられることの多い数々の特性は、娘の強みでもあることがはっきりとした出来事になった。




