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不死な女装メイド姉様は機械メイドと結婚したっす  作者: 漢字かけぬ
メイド2人の入れ替わり編 仮称
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鬼百合シユと保健室の先生

 「前回のあらすじは!!レンジちゃんとお風呂で背中を洗いっこした!!」

 「シユさんもこういうノリできるんだな」遠い目


 ー 鬼百合家 夜 お風呂 ー


 あははは、ある時は財布の暴虐者、そしてシア、保健室のメシア先生。

 その実態はニンジャ国諜報機関向日葵(ひまわり)所属ムツキ。


 幾多の名前と立場を変え暗躍し今は鬼百合家のお風呂にいるぞ!

 あははは・・・・はぁ。どうしたものか。


 意気消沈するのも無理はないさ。シユ君はレンジ君との絆を取り戻しつつある。

 けれど私は何もできていない。

 あの日彼女から全てを奪った、いや善意と思った行動が全て裏目に出た。


 私は教師失格だ。




 ー 鬼百合家 居間 夜21時 ー


 「リリ君!お風呂の掃除は終わらせたぞ!お湯は明日の洗濯にでも使うがいい」

 「ありがとね♪人数増えて洗濯回数多くなりそうだし☆」


 正直私の立場なら家事などせずとも人を雇える。

 それでもこの空間が私は好きだ。・・・・分かってる。非効率なこともな。


 「あれから我らの道は途絶えた。

 幸か不幸かムツキからの呼び出しで本日参った。

 本当はレンジちゃんとハボタンちゃんが成人した時にでもと思っていたがな」

 「私が?・・・・あはははそうか。そういうことだな」


 私でないとしたらレンジ君のナイトメアシステムの疑似人格。

 これは私の為ではなくレンジ君の未来を変えるため、

 その副産物でこうしてシユ君と対面できたわけだ。


 「成人と言えば確かこの辺に・・・・」


 ガサゴソとクローゼットを漁る。

 大事なものはソックスやタイツで熟成するに限るんだ。


 「待たせてすまないな」

 「木でできた鍵付きの箱?」

 「ああこれで一杯やろうじゃないか?」

 「我を唸らせるほどの物か?」

 「さぁ?私にも分からないさ」


 鍵を開けギギギと音がなり姿を現したそれはただの市販品のウイスキー。


 「こんな市販品を飲んで満足する立場じゃないだろう?

 我らは何倍もの価値を持ったものを飲める身分だ!

 所詮我にはこの程度の安酒がお似合いだと!!」テーブルドン!

 「ああ、これはかつて君が成人式後に私と飲もうとしたものだ。

 当時大学生の君が用意できる最高級の物だったろうな」

 「!!!」




 「結局喧嘩別れしたままズルズルと、お互いこんな年になっちまった。

 あれから10年以上たってさ。天使にだいぶ持ってかれたな」

 「蒸発の事をロマンチックに比喩した言語」

 「流石に詳しいな。どうだい軽く飲もうじゃないか?」

 「・・・・我には飲む資格がないだろう。ムツキとの思い出の

 「ストップだ。あんなコードネームではなく先生と読んでくれ。

 所詮は人から与えられた称号にすぎん」

 「先生も教員免許で認定された称号のはず」

 「あはははは、こりゃ一本取られたな。私が用意しよう。

 シユ君はそのまま待っていてくれ」


 まさか本当に飲むことになろうとは。

 これを保管した当時の私には感謝してもしきれないな。


 「シユ君はジンジャーエール割りでいいかな?」

 「それで」


 本当はウイスキー用の丸氷が欲しかったがないので四角い氷で代用。


 「じゃ、乾杯♪」


 グラスを差し出してもすぐには乗ってこなかった。

 シユ君が顔を背けグラスを置いたり持ち直したり、それでも辛抱強く待つ。

 今度は君が勇気を出す番だ。


 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・乾杯」


 かちんと音が鳴った。ただそれだけ。

 グラスが交わった音。本当にただそれだけ。

 平行線をたどった私たちの道。だが今だけは交差した気がする。

 ・・・・この先どんなことがあろうともこの味は忘れたくないな。


 「先生はサイダー割り?」

 「ああ。私もこんなふうに透明で清廉潔白でありたいからな。

 あとホントはお酒苦手で、だから飲みやすいこれが好きだ」

 「あれだけお酒がどうとかいって連れまわしたのに?」

 「お酒の力に頼れば君と仲直りできると思ってさ。

 結局高い酒よりも今この瞬間が勝ったけれど」

 「普段の守銭奴とは思えない発言。まさかもう酔いが回った?」

 「そういうことにしておいてくれ」


 その後もお酒は進んでいく。


 ー 鬼百合家 居間 夜21時30分 ー


 「結局あの事件がきっかけだったんだな」

 「そーですよーせんせえ。ぜぇんぶせんせいがわるーい」指さしー

 「あちゃぁ完全に出来上がっちまった」


 シユ君はジンジャーエールのペットボトルを直飲みしている。

 いやお酒じゃないから!思い込み(プラシーボ)で酔ってる!



 ー 回想 シユ君の高等部学園生活 ー


 今日も保健室に生徒がやってきた。

 鬼百合シユ。たしか百合証一部社長のご令嬢だったか。

 朱色のツインテールで身長は169cm。

 女子の中でも、いや男子とも引けを取らない高さだ。

 毎日自転車登校の影響で太ももが育ちソックスとスパッツが悲鳴を上げている。

 エグイ食い込みだ。そのうち内出血でもするんじゃないか?


 話を聞けば親の七光りだの2世とか言われてクラスでの居場所がないってさ。

 そのイジメてた奴らも私立に通えてる以上同じ穴のムジナ、

 迫害する権利はないだろうに。


 「せんせー!!おはようございま~す!!!」

 「あははは、シユ君は今日も元気だな」


 当時は保健室登校が正義と呼べる時代ではない。

 けれども学園側はなんとか無事に卒業させたかった、高い学費の為に。

 そして私に懐いたシユ君は先生の為にと勉強を頑張り始めた。

 接点がまるで見えないが彼女なりの恩返しだろうな。



 ー 1年後 ー


 シユ君は学年トップの学力を手に入れた。

 まあ私がマンツーマンで教えてるから事実上の家庭教師を雇ってるのも同義。

 宇宙人だって勉強位はするからな。


 それをよしとしない者たちが現れた。かつてのイジメのメンバーだ。

 保健室登校を特待生待遇と言いふらしたんだ。

 あながち嘘ではないがシユ君の努力の結果だからな。


 最悪なことにそれがシユ君の両親に伝わってしまった。

 自分の子供がいじめを受けて保健室登校しているのだと判断したんだ。

 学園はイジメのメンバーを自主退学に追い込み、シユ君の保健室登校を解除。

 ・・・・これでハッピーエンドならよかったんだがな。


 保健室を心の拠り所としていたシユ君をトラウマの残る教室へと放りこんだ。

 そんな状態で友達何ぞできるはずなく、彼女は権力を求めていった。

 生徒会長になっても彼女の心の渇きは満たせなかったんだろうな。


 「おめでとう!シユ君!これで名実ともに学園トップだ!!」

 「まだ、まだ足りない。あなたは私をほめる権利なんてない」

 「もしかして私よりもいい先生を見つけたのか?」

 「いいえ。あなたはシユを救えなかった。

 私の先生はあなたにそっくりだけど違う」

 「一人称がバラバラだぞ?なにか欲しいものでもあるかい?

 ご両親には内緒だぞ?」

 「・・・・・保健室登校」

 「それは・・・・」

 「そう。あなたに権力が無く学園と両親の命令を遂行した結果。

 シユの先生ならどんなときにも守ってくれたはず。

 そう権力無き人間に意思決定権はない。

 今までありがとうございました。ここは特待生養成所。

 先生と過ごした保健室ではありませんので」

 「くっ!!!」


 自分の無力さを感じた。権力なんて持ってるさ!

 諜報機関向日葵、コードネーム ムツキ。

 優秀な学生の裏を調べるのが私の仕事。

 いってしまえば社会に出て不祥事起こしそうな生徒のピックアップ。

 それを表に出した時点で任務失敗。


 私も学園もシユ君の両親も皆、

 身の保身ばかりで彼女の本当の気持ちを考えなかった。

 その結果彼女は思い出の中の保健室や私に依存したんだ。

 もっと頑張ればきっと報われると信じて、

 いや自分が権力を持って嫌な思いをしないためにか。


 その後も彼女とはプライベートで会っていた。

 卒業式の後、百合東乃都大学入学式、そして成人式。

 権力に取り付かれた彼女に私の言葉なんて届かない。


 やがて大学を卒業後しばらくして諜報機関向日葵に彼女はやってきた。

 ”ムツキの再来”という彼女にとっての屈辱の汚名を背負って。

 親の七光りと言われた生徒が大人になって有能な社員と比べられた結果

 彼女の嫉妬は終着点を見失った。


 ・・・・目標としていた私と肩を並べられる実力を手にしたのは

 まぎれもなく彼女の努力だってのにさ。



 ー 回想終わり 鬼百合家 居間 夜21時45分 ー


 「やっぱせんせーがわるいじゃん!!!!」

 「いやそうだけどさー。

 シユ君を保健室じゃなくて教室で授業を受けてほしいと思ってさー。

 だってさー、せっかくの学生時代にさー、

 大人と一緒じゃさー」

 「さーさーうるさいさー。もしかしてよってる?」

 「君に言われたくないなー」

 「・・・・あーだめだ。ねむい。せんせーおやすみ」

 「シユ君!!!!」


 お酒飲んでるうちは素直だったんだけどな。

 違うな、これが彼女の本質。

 誰にも頼れなかったから1人で突き進んだ結果。


 「という訳でっ!クローゼット下のカルミアラボに避難させてもらうぞ?

 あはははは」

 「シア様、コップの水をどうぞ。

 ・・・・・・酔いは覚めましたか?

 突然居間で話すのですから。

 諜報機関の名が泣きますよ?全部私達に筒抜けです」

 「シユさんって最初から暴虐武人じゃなかったんだな」

 「というかシア姉も人の心があったのね」


 「あはははははははははははははははははははははははははははは」


 お酒は20歳になってから・・・・・

 いや大人でも気をつけような!あははははは

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