反抗期(いやいや期)
「でもなんで今まで俺の前にええと・・・シユさんは現れなかったんだ!!
今更家族がどうとかいわれても納得できない!!!!」
「それは我が話そう。結論から言えば10年前。アレがレンジちゃんの育児を
放棄した時点で試験管ベビー計画が頓挫した。
いかに優秀な遺伝子とて、育ての親が無能ならば意味がない。
故にムツキが提唱した本人の才能を伸ばす方向、
脳に電気信号を送り学習させるNーVRの開発が始まる」
「確かにN-VRなら親の教育に左右されないかもな。
なら”生みの親であるあんたが出る幕じゃない”
血の繋がりでアンタは俺の親かもしれないが、俺は否定する!!」
コタツをバンっと叩きシユへ威嚇するが、どうして?みたいな顔をしてやがる
「我が育児を依頼したのは全てレンジちゃんの為。
育児休暇で休めば仕事の成果が無い期間が生まれる。
それはキャリア組にとっての死活問題。
いうなれば昇進が遅くなるから」
「だからって!!ケイルがどんな思いでハボタンに全てを託したのかを!!
ハボタンが俺に前を向かせるために告白させなかったのを!!!
アンタは!!!何も!!!!なにも。・・・・なにも」
悔しくて無力で涙が出ちまう。
別に俺のことはいい。ケイルの両親は死んだと言っていたが、
もしシユが名乗りを上げてれば違う道を。
俺の為に機械の体で過ごすなんて無茶はしなかったはずだ!!
「レンジちゃんだけでなく他の遺伝子達もいい職業に就かせることができた。
親の作ったレールの上なら戦う回数も減って安全になる。
その為に必死で我は役職を上げた」
「だれがそんな事しろって頼んだんだよ。
俺は、俺達は・・・・実験動物だって言うのかよ」
「はぁ。あまり好ましい言葉ではないけれど”子ガチャ”ってやつ。
親だって人間だから欲がある。落ちこぼれよりも優秀な子を迎えたい。
だから遺伝子だけ提供して子供を選別する権利があるはず。
賢い遺伝子だけがニンジャ国を引っ張る、その方法がコレ。
勉強ができない、運動が苦手な子を後継者にしていたら国が滅ぶ。
確かに親のエゴではあるが国の発展のため」
「じゃあ選ばれなかった子は?」
「少なくとも私の遺伝子があるから人並み以上にはできる。
就職してまっとうな人生を送れるはず。
ただ政治の道は諦めてもらうけど」
「じゃあ俺は出来損ないでいい!!今すぐ出てってくれ!!!」
「ムツキ、これが反抗期ってやつ?」
「あー謝ったほうがいいぞ。カンナヅキ君いやシユ君」引き気味
もう我慢の限界だ!!!メイドグラスは肝心な時にメイドになれない!
なら!!!今確実に使える手で武力行使を!!!
「カレン!!!モードれいjy」
パシーンっと音が響く。俺じゃない。
ハボタンがシユの頬を叩いた。ちょっと気分がスカッとする。
「確かにシユ様、シア様には感謝しています。
しかし今の私はケイル様でも先代ハボタン様でもありません。
私はハボタンでありたいと願う者。
故にレンジ姉様を不快にさせるあなた達は排除しなければなりません」
「どうして親の言うことを聞かない悪い子ばかり?
ムツキ遺伝子調整失敗したのか?」きょとん
「違うな。シユ君が間違っている。
別に血がどうとかじゃない。
本来親子って一緒にいる時間が長いだろ?
時にケンカして思い出を共有して、価値観の違いで対立して。
その過程を無視して君は親子という結果を押し付けたんだ。
そりゃ納得する方が難しいって。
それにこの子たちは君の提案よりはるかにいい内容の
百合リス貴族入りを断った。
親のレールが正義なら用意した地位以上にはなれない。
それよりもいい可能性を彼らは選ぶと私は信じたい」
「レンジちゃんもハボタンちゃんもムツキ派閥に取り込まれたか!!
何で!!我はあなたを・・・超えれないんだ」
シユが涙を流してる。自業自得とはいえシアさんに口論で勝つのは無謀が過ぎる。
「確かに私は倫理観がないかもしれないな。
だが人の心は分かると思う。
シユ君が承認欲求に堕ちたあの時、私は君を止めれなかった。
時が経ちレンジ君だけは救うことができたがな。
恥ずかしながら1人ではなくハボタン君と共に。
だから私がレンジ君達の間に入って説得をする。
それがせめてもの罪滅ぼし。
違うな、私自身のわがまま。
レンジ君、ハボタン君。彼女は決して悪いヤツじゃないんだ。
ただ方法が間違っていただけで」
そんなの分かってるさ!それでも!!
「少しお時間を頂けないでしょうか?大丈夫です。夕食までには戻ります。
料理はシア様かリリ様に依頼します」
「ハボタン!!なんで結論を出さない!!こんなやつ!!」
「一緒に行きましょう姉様。といっても楽しい場所ではありませんが。
少なくともレンジ姉様もシユ様もお互い混乱してるでしょうし、
頭を冷やす時間が必要でしょう?」
「ああ」
俺達は軽くシャワー浴びた後着替えをして出て行った。案内された場所は・・。




