百合ープニル
あの後財布様はお帰りなりました。私はまたコンビニへ。
普段の癖は治っておらず、またチョコケーキをかごの中へ。
無意識って怖いんですよ。
今の私はレン姉様の影を追う亡霊。
生きてはいますが果たして生者でしょうか?
思い出が忘却すればその人は死者も同じ。
ただ僅かな可能性に縋ります。
何本もの記憶の管で生命維持してる姉様を、現世にとどめるために。
ー 鬼百合家 日曜 昼 12時 ー
タイムリミットは明日の朝10時が最短。
普段の姉様なら学園から帰宅ついでに私との離婚届を提出するはず。
故に猶予は後22時間から26時間。
財布様の考えた作戦の後始末ですよ?信じろという方が狂ってます。
今度は世界が霞んで見えます。
着色はされていますから、
私が現実を見ようとしないことへの意表返しでしょう。
ー 鬼百合家 日曜 昼 14時45分 ー
レン姉様もリリ様も私すら救う作戦。
私利私欲に塗れたヒーローですか。それでも!!
「鬼百合ハボタン!メイドモード!!」
メイドグラスを起動しメイド装甲を纏います。
姉様のお下がりですけれど、それがいい。
新品では味わえない温もりが。思いが。覚悟が。
脳の錯覚?ただの電気信号?そうかもしれませんね。
準備運動をしていると財布様が玄関のチャイムを鳴らします。
「あはははは準備万端じゃないか。
私の都合でリリ君にXN-VRグラスを与えた。
敵が出ない場合は直接殴り合って決めてくれ!」
勝手すぎませんかこの人?
自分で作戦立案しておいてプラン変更を直前で公言。
「これ以上引っ掻き回すと新たな選択肢として
5、私が戦いを止めて100年ひっそり暮らす。を選びますよ?」
「メイドモードになったのならば、逃げの選択肢は最初からないだろ?」
「ええ。チョコケーキを癖で買ってしまったので、
作戦開始まで一緒に食べましょうか」
「昨日食べたのにまた買ったのかよ!!」
味はしませんが多幸感は戻ってきました。
こんな偽善者とでなく姉様と一緒に・・・・。
そんなことを思っていたら敵が現れました。
随分と都合がいい展開ですね、これ不正ますね。
溜息を吐きつつチョコケーキをペロリ。
外に停車された赤色のピーキーな改造バイクに乗り込みます。
「なんていうかSFチックですね。百合田のバイクですか?」
「さんを付けろって、メカクレメイド!冗談はさておき乗りな!
現場までジゴユリワットエネルギーで侵略するから!!
あと百合リス製エンジンだから空飛ぶぞ!!」
「姉様、助けてっす。ツッコミが追い付かない!」
「あははは、エンジン起動。燃料良好。ミラー位置確認よろし。
財布の暴虐者!ハボタン君!飛翔!!」
ヘルメットが無ければ目が乾燥しそうな速度で飛んでるっす。
何故飛んだか理由を聞けば、「空なら赤信号ないし」と返す始末。
車じゃないのは税金対策だとか。
たしか百合リスでも3輪だからと法律の穴をついた乗り物が出てたっす。
ー 謝肉祭公園 高台 15時30分 ー
謝肉祭公園は比較的広めな土地と豊かな自然が人気のスポット。
遊具は撤去されているけれど、散歩コースやテニスコートがあり
運動するならもってこいっす。
自販機もスポーツドリンク系が充実。
休日には大道芸人や演舞、音楽家の卵等、
求道者たちが出稼ぎに来て来客たちを楽しませるっす。
唐突に袖を指で引っ張り隙間を作る財布様。
「忘却の鎖!」とカッコつけて鎖を出し
地面へ固定。引っ張られることで強制停止したっす。
「ふう、着陸成功」
「生きた心地がしないっす。それにさっきの鎖は?」
「神話級武器の模造品。かつて巨大な狼を捕縛するのに使われたとか。
紐や足枷、鎖と諸説あるが形なんてどうでもいいさ。
百合ープニルっていえば伝わるかな?」
「財布様も神話級武器使えるんっすね」
「ああ、オーダーメイドではなく汎用性を持たせてるから、
誰にでも使えるぞ?素養は別として。あはははは。
じゃ、私はその辺で戦い見届けるから。
敵は幹部級。レンジ君とリリ君では徐々に押されるから頃合い見て救出を。
ここまで舞台は整えたんだ。後は君達次第」
「ただの”やらせ”っす」
「”台本”と言ってくれたまえ」
敵にも味方にも顔が利くからこその作戦。
・・・・この人が今の仕事辞めて作家になれば世界が平和になるっす。
さて、メイドグラスでレン姉様とリリ様、初めての共同作業を拝見っす。




