03
『ドンドン』
……うるさい。
『ドンドン』
……うるさい。
『ドンドンドンドン』
うるさい、うるさい、うるさい。
実家にいたように両親や兄弟・従者たちから何も文句を言われるわけでなく、どれだけ惰眠を貪ろうが誰にも邪魔されないはずだったのに。
『ドンドンドンドン』
ドアをたたく音が10回を超え、ようやくウェンディはベッドから身体を起こし、しぶしぶドアを開いた。
『ガチャ』
開いたドアの先には、昨日と同じ少女と、その後ろにもう1人。
弟なのか分からないが少女より背の低い少年が、少女の服を掴みこちらを見ているではないか。
「……なにか用かしら」
ウェンディは何か嫌な予感がしたが、渋々そう尋ねた。
「ごはん、ちょーだい」
少女はそう言い、両手をこちらに差し出した。
……やはり。だから関わり合いたくなかったのだ。
眠いし、面倒だし、最悪だ。
「ご……はん」
少女の後ろで少年がこちらを見ながら小さく呟いた。
「…………はあ~、……これで最後よ」
ウェンディは一度室内へと戻り、食品庫の一番手前にあったパンを適当にとり、差し出す。
差し出されたパンに2人は目を輝かせ、大事そうに胸に抱えた。
「ありがとうっ!」
そう言って、パンを抱え2人で手をつなぎながら駆け出す。
「もう来ないでね」
ウェンディはその後ろ姿にそう叫んで、もうひと眠りするためにドアを閉めた。
――――――――――――――――
『ドンドン』
……うるさい。
『ドンドン』
……うるさい。
『ドンドンドンドン』
うるさい、うるさい、うるさい。
今度こそもう二度と来るなと強く言わなければ。
『ガチャっ!』
無視を決め込んでいたが、一向に終わらないノック音にウェンディは苛立ちながら起き上がり、ドアを勢いよく開いた。
「……はあ?」
口から間抜けな声が漏れた。
増えてる。ウェンディの見間違いでも記憶違いでもない。
3日前は少年少女2人だった。昨日は子供が5人だった。
今日は大人も老人も子供も混ざり、15人ほど拠点の入り口に集まっているではないか。
「ああ、領主様だっ!」
『バタンっ』
その言葉を聞き、瞬時にドアを閉めた。
閉まったドアに背をもたれかけ、ずるずると座りこんでしまった。
「…………もう。本当に面倒なことになってしまった」
ウェンディはそうつぶやき力なく項垂れた。




