プロローグ
本日中に、全三話投稿予定です。
極振りモノは初めてです。
拙作ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
ここは、VRMMORPG『天邪鬼』内の酒場<妖精の唇>である。
店内は、薄暗く娼婦のような格好をしたウエイターが、エールと食事を運び、柄の悪い客がそのお尻を触ったりしている。客層も中々に悪く、プレーヤーである事を示すキャラ頭上のバナーも、不健全プレーヤーを示す黄色や、赤色が点灯していた。
そんな客の中の一人が、酒のつまみついでに噂話を口にした。
「イカれてる薬屋の噂知ってっか?”ヒック”」
全身をフルプレートで覆い、背中にはエピック相当のロングソードを装備している。男のプレイヤーバナーは赤みがかった黄色だ。そんな彼がエールを片手に問いかける
「イカれてる薬屋?薬って、飲み薬とかのか?」
全身をユニーククラスの認識阻害フードで包み、ワインとチーズを楽しんでいる男が怪訝そうに答えた。この男も赤いプレイヤーバナー、PVP常習犯。
「あぁ、なんでもレジェンダリーからユニークアイテムに至るまで、自分で作っちまう薬屋なんだけどよ。なんでも金で取引してくれねぇんだと。」
「なんだそれ?レジェンダリーのポーションなら金貨1千万枚は下らないはずだ。それなら、換金すれば10億にはなるはず。喉から手が出るほどの金のはずだがな・・”ゴクリッ”」
フードの男は、信じられないといった顔でワインを呷り、自分のグラスに継ぎ足しながら言った。
「それで、そのイかれた拝金主義者の風上にも置いておけねぇ野郎わ。一体何とありがたいアイテムと交換するんだ??」
戦士風の男もまた、”ゴクッゴクッ”とエールを飲み干し、ウェイターにおかわりを要求し裾で口元を拭い、据わった目で言い放った。
「それがよ、オメェが言ったありがたいアイテムとやらでしか、取引しねぇんだとよ。」
フードの男が、頬張っていたチーズを食べ溢す。
「あ”?なんじゃそりゃ、金より物々交換だぁ?!・・あれか?自分じゃ材料を集めれないからか?交換するアイテムよりレアな素材を得るために・・。」
「ガハハハハハハハハッ」
戦士の男が、獲物にかかったマヌケを見たかのように笑った。
「何だよ、何笑ってんだ。」
「いやぁ、悪い。お前も俺と同じ反応するからよ、普通はそう思うよなってな。だけど違うんだな、そのいかれた薬屋は自分も戦場に出て素材を狩る。」
フードの男は、あまりの驚きにとうとうフードをとり、禿頭を薄明かりの下に晒した。
「おいおい、流石におおボラが過ぎんじゃねぇか?レジェンダリーアイテムを作れる生産職が、その素材の採集地に生息している、200レベルを超えるモンスターと環境に太刀打ちできるわけねぇだろ。」
どこまでも予想通りの反応をしてくれる仲間に、ひどく機嫌が良くなる戦士が笑った。
「ガハハハハハハハハッ、違げぇねぇ!!・・だけどな、その男は戦場で”狂気の中毒者”って実際に呼ばれているんだ。その実態は、誰にも掴まれていない。・・・ふぅ。火の無い所に、煙はたたねぇだろ?」
男は、インベントリから葉巻を取り出し、アンティークなライターで火を付け深く吸い込んだ・・吐き出された紫煙は妖精の唇に溶けていく。
場所は変わり、『天邪鬼』内の”北極レイター島” <氷門ベルター>ダンジョン6階
そこは、ワールドマップの北極に位置する島、レイター島。島全体が雪と氷で年中覆われている。
環境レベルはA級、そこのクレーターから侵入できる<氷門ベルター>、ダンジョン攻略難度は堂々のS級。
全階層は12階に分かれている。環境効果は、氷点下抵抗力がー30%ダウン。
そんな環境下で下層最上階6階に座するレイドボスに、挑もうとしているギルドがあった。
===ギルド<鎧袖一触>===
ギルドランク:A
ギルド規模 :300人
最上位ランク:職業・重装騎士1位 ID:エルビィ
ギルド武器 :”旭日昇天の剣”
守護怪物 :”天が紅蜂”
ギルド拠点 :ヴィンター侯爵領”神威岬”ミラー港
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三百人の戦士職プレーヤーの吐息が白く染まっている。その中でも一際目立つプレーヤーがいた。全身を、深紅の鎧で包み方刃の戦斧を背負って居る男。
ID:エルビィ
髪は焦げ茶色の癖毛で、髪の長さは首元程だ。ばっちりとした大きな瞳が特徴的で、力強い眼光を携えている。これからの戦闘が待ち遠しいと言った様子だ。
「良いかお前ら、あの化け物を倒すためにもう3度目の遠征だ!!二度あることは三度まで!!ここで仕留める。しくじったらお前ら・・死んだほうがマシだと思える訓練用意してやるよ!」
”””ウェ〜〜〜〜〜〜〜イ”””
バラクーダを倒して、上層に挑むためにもう二度もこの俺が溜飲を飲まされた。その度に甚大な被害を被り、金と時間あらゆる労力を損失した。
「だけど今日が年貢の納め時だぜ。”バラクーダ”!!」
===戦闘開始3、2、1===
”ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッォオオオオオオンンン”
氷の地面が裂け、顔がサイのように立派な角が生え、両腕両足が生えているモンスターが出現した。
”バッシュュュゥゥウウウウウウウウ”
身体中にある呼吸孔から、冷気が吹き荒れた。
===氷獄の番人 バラクーダが現れました===
===<バラクーダの息継ぎ>===
バルクーダの息継ぎにより、冷気抵抗力が60%ダウンします
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===バラクーダが<氷槍>を使用しました。===
バラクーダの放つ無数の氷槍
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バラクーダが口腔から、無数の氷の槍を吐き出した。多くの戦士がその凶刃に倒れる中・・
バードは、戦斧を構えて正面からバラクーダの氷槍を受け止めた。その際、彼の灼熱に輝く鎧に当たった氷槍は、蒸発して消えていった。
===<灼熱の燐玉>===
等級 :ユニーク
防御力 :820
耐久力 :710/710
ウエイト:1902
氷に閉ざされた国、フィランティア王国の「鍛治職人の匠」ガイラが、天邪鬼の使徒”氷海の竜人 ブリザベオン”の冷気から身を守るべく製作した鎧。
この鎧の材料を提供した、バーナード帝国の帝王、”炎龍殺しのミデラート”より「人類史上最高の傑作であり、竜殺しに最適」という賛辞を受けました。
世界中の鍛治職人が、後学の為にと大切に今日まで保管されてきました。
*筋力が10%アップ
*冷気耐性が100%上昇
*体力が10%以下の場合、”炎龍の逆鱗”が発動、攻撃力が100%アップ。
*氷魔法抵抗力+180
使用必須条件:レベル230以上
筋力700以上
体力900以上
上級モンスターアーマーマスタリー
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バラクーダの氷槍によって、半分はやられたか・・・
「まぁ、前回よりずっとましだ。お前ら怯むな!!俺について来い!!」
「「「おっぉぉぉぉぉおおおおおお!!!」」」
武闘派ギルド<鎧袖一触>と<バラクーダ>の戦いは壮絶を極めた。バラクーダを残りHP2割を切るところまで、追い詰めたが・・・。
吹き荒れる冷気が収まり、視界が開けると紅蓮の戦士が戦斧を頼りに、跪いていた。
「はぁ、はぁ。まだ足りない。畜生・・、覚えてやがれ。次は勝つっ。」
「次なんて無いんじゃないかな〜」
その場に似合わない明るい一声。
エルビィが振り返ると、そこには毛皮のふわふわのコートを着た男が一人
「あら、あら、これはまぁこっ酷くやられたねぇ〜。はい、ポーション。はい、ポーション。君には、愛ポーションとポーション。はい、君にも。ツケ払いにしといてあげるね〜」
その男は、手持ちのポーションを次々と俺の仲間にかけていった。Lv200代の上位騎士たちが一振りで、全快するほどの”上位回復アイテム”だと・・・?その一つで、俺の一月の食費代だぞ・・。
「ども、お宅らクエスト失敗?」
「あ、あぁ。」
「そう・・。なら、あいつは俺がもらうね。」
「何言ってやがる。・・お前生産職じゃねぇかっ!?からかってるのかっ。」
===プレイヤー===
ID:ミナト
職業:生産職
広告:始まりの街で、薬売ってます。アイテムでの取引のみ、となっておりますのでご注意ください。
黒猫の看板が目印です。
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ミナトは、驚いてるエンビィにポーションを投げ渡す。
「ご心配ご無用です。生産職は、自分を強化すれば良いだけですから。」
な、何言ってるんだ・・?自分を強化・・?とりあえずポーションを飲もう。生きて帰れれば、ペナルティは軽い。
エンビィが、ポーションを飲んでるそばでミナトは、次々とさまざまなポーションを飲み始めた。そしてポーションの空き瓶が、地面にポロポロと落ち割れた。
「おっおい!何してんだ!!もう戦闘は始まってんだぞ!!?そんなもん飲んだって、大した能力値は望めないぞ!!」
「fえぇグビッ、フォnで%&ゴクリッ?(なんですか?)」
===バラクーダが<氷柱>を使用しました===
氷の礫が竜巻となって襲ってきます。
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「前みろ前!!!」
荒れ狂う氷柱が、ミナトを容赦無く襲った。砕け散った氷のかけらが、フィールドを舞ってキラキラと輝いた。スターダストが収まり始めると、その中から人影が現れた。
薬瓶を放り投げ、裾で”ズイッ”と口元を拭う無傷のミナトの姿だ。
「あぁ、”タイタンの甲殻”すげぇ効き目。これだから薬はやめらんねぇ。」
「はぁ?!!!お前生産職だろ!!」
「うん。」
「なんで無傷・・なんだよ。」
===バラクーダが<霜霧氷結>を使用しました===
攻撃対象を瞬時に氷獄に閉じ込めます。
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スターダストの息吹が、ミナトに収束し氷の結晶の中に獲物を閉じ込めた。静寂が、<氷門ベルター>第六階を包んだ。ミナトはというと、氷詰めされた中で、なんとも間抜けな表情を切り取られていた。
”グォォオオオオオオオオオ”
そこへ勝利宣言が轟いた。しかし・・
”ピシリッ”と氷にヒビが入る。
「「?!」」
”ピシッッ、ピシシシ、バリィィィイイイインンン”
エルビィの目は、限界まで見開かれ、目の前の男が生産職である事を信じられないといった面持ちだ。
「そりゃあ・・クスリの力ですよ!」
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