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キルツ森林のヘルタロス

学園を出発して都市を出たあたりで改めて遠征の内容を再確認をしていた。


「今回はタナリアに荷台の食べものを届けるのが目的だ、道中キルツ森林を通るが基本的にこの森にすむ魔獣は夜行性で昼間には出てこないため安全に進める。タナリアもここから片道4時間ほどでつくため日帰りの遠征になる」


こうして遠征内容を確認しているのがサリドという男で、この班の班長だ。


「俺は前方を警戒するから、メイサが左、テラが右、ユリスが後方を警戒するように。何か見つけた場合はすぐに知らせるように」


サリドはAクラスの班員にそう指示した。


「俺たちはどうすれば…」

グリトがそう聞くとサリドは少し無視した後に答えた


「いいか、この運搬遠征は俺らにとっては重要な試験なんだ、お前らEクラスの連中にあれこれされて失敗なんてしたくないんだよ。お遊びできているお前らとは対t場が違うんだ、分かったら何もせずじっとしていてくれ」

彼は少しも苛立ち隠すことなくそう言った。


「だとよ、俺たちはやっぱり邪魔なんだな」

グリトは悲しそうに下を向いた


「まぁ、実際都市の外は彼らの方がよく知っているし、下手なことすると命にもかかわるし、ここは大人しくしておこう。」


「そうだよ、どのみち魔獣が出てきてもうちらじゃなにもできないし」


俺たちはグリトを慰めつつ荷台の後ろについていった



「よし、ここからはキルツ森林だ。まだ昼間で魔獣は出てこないと思うが気を抜かず進むぞ」

サリドがそう伝えると班員たちは一言返事をしてキルツ森林に入った


サリドは確かに俺たちに対してあたりが強いが、経験豊富なだけあってリーダーとしてかなりしっかりしていると感じた。


それから2時間かけて森林を抜け予定通りに俺たちはタナリアに到着した。


荷物を下ろすのを手伝い俺たちはすぐに帰路についた


キルツ森林に入って1時間ほど経った頃事件が起こった。


「あ、雨が降ってきたぞ!」

テラが叫んだ


「まじかよ」

サリドは少し顔をしかめてつぶやいた。


少し考えていたサリドが班員全員にこう告げた

「急いでタナリアに戻るぞ」

そういうと全員がタナリア方面に走り始めた


「一体なにが起きているんだ?」

俺はサリドに聞いた


「このままでは、ここにいる半分は死ぬぞ」


「どういうことだ」


「いいか、基本魔獣は昼間には出てこない、この森の魔獣もそうだ。ただ正確には太陽の出ているうちには出てこないんだ。」


「なるほど、じゃあ雨雲で太陽が完全に隠れたら…」


「そうだ、魔獣は巣穴から出てくる」

「森の木々のせいで天候の変化に気づけなかった、クソッ!」

サリドは苛立ちをあらわにしていた


雨はどんどんひどくなっていく。


「サリド!まずい!」

後方でユリスが叫んだ


俺たちは振り向くとそこには1体の魔獣が立っていた


「こいつは、ヘルタロス」

「とにかく逃げろ!」

サリドはそういうとヘルタロスの顔面に魔法を放ち俺たちは全力で走った。





「リューヤとリンがいない」


「こっちも、メイサとテラがいない」


「逃げる途中にはぐれたんだ」


「どうする」

グリトがサリドに尋ねる


「このままタナリアに逃げる」


「見捨てるつもりか?」


「生きて逃げてくると信じるしかない」


「お前、Aクラスなら魔獣倒せるんじゃないのか」


「1体なら問題ないかもな」


「それなら…」


「ヘルタロスは魔獣の中でも頭がよくて自分より弱い魔獣を従わせているんだ」

「魔獣の巣窟の森の中であいつとやり合うのは自殺するみたいなもんだ」

「それにタナリアに行けばまだ帰ってない魔法学園の生徒がいるかもしれない。そうすれば助けを呼べる」


そう言ってサリドはタナリアに向かった


グリトたちもどうしよもないため後に続いた。




俺たちはグリトたちとはぐれ森の中で魔獣たちと戦っていた。


「くっそ、魔獣が多すぎる」

テラとメイサは魔法を使って弱い魔獣たちを次々と倒していくが、あまりにも魔獣が多いため魔力が尽き始めていた。


そんな中『奴』が表れてしまった


「ヘルタロス…」

テラがヘルタロスに向かって攻撃しようと突っ込んでいった。


その瞬間茂みに隠れていた他の魔獣に襲われ、バランスを崩した瞬間ヘルタロスの一発を食らい致命傷を負い気を失ってしまった。


「よくも!」

そう言ってメイサがヘルタロスに残りの魔力を使って顔面に向かって爆撃魔法を放った。


その攻撃は直撃しヘルタロスは倒れた。

「よし!」

メイサが安堵した束の間に煙の中からヘルタロスの尻尾の攻撃によって吹き飛ばされてしまった


「生きてやがった」

俺はリンにヘルタロスの倒し方について知らないか尋ねた


「わ、分からない…」

リンは恐怖におびえながら答えた


「なんでもいいから、思いつくことないか?」


「魔獣にはそれぞれ弱点があるって本で読んだことがある」


「こいつにもあるのか」


「場所は分からないけど、あると思う」


「わかった。」


もしここで、こいつと周囲の魔獣を一掃した場合全員助かるかもしれない、しかしそんなことをしたら、俺のことを調査されるかもしれない。

その場合俺が魔法が使えないことがばれるに違いない。

いっそのこと全員置いていって、俺だけ逃げきれたことにすればいいかもしれない。


俺は数秒考えて短刀を引き抜いた


ほんの一瞬の出来事だった


俺はヘルタロスの眉間に短刀を突き刺した。



ヘルタロスは絶命した



「すごい、リューヤさんやりましたね!」


「どうやらうまくいったみたいだ」


「どうして弱点がわかったのですか」


「サリドやメイサが放った魔法が眉間部分に直撃していたのを見て、Aクラスの人が弱点を知らないとは考えられない、だとしたら眉間に弱点があると思ったんだ」


「そうだったんですね」


「そんなことよりまだ油断してられないよ」


ヘルタロスは倒したものの周囲には魔獣がまだたくさんいる


「そいつらは二人ともいきてるか?」


「テラさんもメイサさんも重傷ですが、まだ息はしてます」


「こいつらは俺がどうにかする。リン、助けを呼んでこれるか?」


「私がですか?それにリューヤさん一人でこの量を相手にするのは」


「大丈夫、こいつらはそんな強くないから、それに森の魔獣はここに集まってるから今なら森を抜けるのは危なくないはず、だから俺が道をつくるから助けを呼んできて」


「でも・・・」


「早く助けが来ないと、そいつら二人とも死んじゃうよ」



少しの沈黙があった



「わかりました、助けを呼んできます」


「頼んだ」


そう言って俺はタナリア方面にいる魔獣を倒しリンを行かせた



それから俺はひたすら魔獣たちを殺し続けた


リンが行ってから数分経った頃タナリアの方から一人走ってきた。


「誰だ」

俺は人影を見つめる



「これは一体・・・」


そう言って俺の目の前に現れたのは銀色の髪に青い瞳のアリア・ローズだった。






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