合同遠征
この学園に入学して2か月が経った。
だいぶ授業や学園生活にも慣れ始めてきた。
授業の内容はクラスによってレベルが違っていて、俺のいるEクラスは魔法の基礎知識をひたすら叩き込まれる座学しかない。
それに比べてAクラスとなると既に王国魔法軍と合同訓練や、魔獣討伐などしているようだ。
「リューヤ聞いたか?」
グリトが新聞をもってやってきた
「なんのこと?」
「Aクラスが大型魔獣の討伐に成功したらしいぜ」
「すごいなAクラスは」
「今年は特にレベルが高いらしいぜ」
「そうなんだ」
「まったく、俺たちとは別世界の人間だぜ」
そんな会話をしていると校内がかなりざわつき始めた。
気になった俺たちは人の集まっている方に行くことにした。
「いったい何の騒ぎなんだ」
俺はグリトに尋ねた
「あ、あれっすよ!」
そう言ってグリトは校門の方に指をさした
「Aクラスの人たちが遠征から帰ってきたんすよ」
「へぇ、あれがAクラスか」
そう言ってAクラスの一行を眺めていた
その中で一人ひときわ輝いている者がいた
銀色の髪に青い瞳の子
「あいつは・・・」
俺は以前に見かけた少女のことを思い出した
「グリト、あの銀髪の子って誰か知っているか?」
「もちろん!超有名人っすよ」
「彼女はアリア・ローズ、Aクラス最強って言われてる人だよ」
「アリア・ローズか…」
「今年のAクラスの功績は彼女のおかげだって」
俺は彼女のことを目で追っていた
「リューヤ、まさかひとめぼれでもしちまったか?」
「いや、そんなではないけど」
「確かに美人だとは思うけど、おすすめはしないぜ」
「そうなのか?」
「彼女いっつも一人で友達作ろうとかしないらしいんだ」
「愛想も悪いしまともに会話もしてくれないらしいぜ」
「へぇ・・・」
「なんだ、やっぱり気になってんじゃねーか」
「うるさい」
そんなこんなで、俺は以前見かけた少女がアリア・ローズという名前で学年最強であるということを知った。
それからというもの、時々彼女を見かけることもあったものの話しかけたりすることはなかった。
「おはよう皆」
そう言ってロイス先生が入ってきた
「早速だが、来週Aクラスの遠征に参加してもらう」
「俺たちも魔獣たちと戦うってことですか?」
クラスの一人が尋ねる
「いや、違う。君たちには見学者としてついていってもらう」
「遠征内容も危険なものではなく、隣の都市『タナリア』への物資運搬というものだ」
「でも、私たち邪魔になりませんかね・・・」
「問題ない、そもそもこれはAクラスからの提案だからな。」
「ほかに質問がなければ詳しい内容を話したいと思う」
「まず、Aクラスの班との合同班を形成する。」
「この組み合わせは当日学園側から通達する」
「持ち物は基本指定するものはないが、遠征の邪魔にならない物のみ持っていくように。」
「注意事項もいくつかある。」
「まずAクラス中心に行動すること。あくまでも物資運搬の遠征がメインだからだ」
「そして、もし魔獣に遭遇した場合君たちは戦闘の邪魔になる可能性が高いため、手出ししないように」
「Aクラスの遠征に着き添えることなんてないんだからしっかり学んでくるように」
「これで以上だ、何か質問はあるか?」
「では、しっかり準備しておくように」
こうして俺らは、来週Aクラスの遠征についていくことになった。
俺は一本の短刀を持ってその遠征に参加することにした。
ちなみにこの短刀は以前のガラの森での事件の後グリトの父親に息子の命の恩人だと言われていただいたものだ。
短刀自体は変わりのない一般的なものだが、お金もなくナイフの一本も買えない俺からしたら貴重でありがたく使わせてもらうことにした。
そして当日
天気は快晴、特に変わった様子もなく集合場所の校門前に向かった。
到着するとすぐに合同班の組み分けが言い渡された。
俺の班のメンバーは以前のグリト、リン、エリネの三人と、Aクラスのサリド、メイサ、テラ、ユリスとの合同班となった。
俺たちは予定通りタナリアに向かって出発した。