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閉会、魔法競技大会

「これだけ離れれば大丈夫だろう、とりあえず作戦を立てたいから一度こいつを撒くぞ」


俺たちはイノベロスをワーネム達から離れさせたので撒くことにした。


「どうやら撒けたみたいだな」


俺はその場に座り込んだ


「そんなとこに座り込んでいたら追いつかれた時とっさに逃げれないぞ」


「少しでも、体力を回復したいんだ。一度落ち着くのも大切だよ」

「お前も休んだ方がいいんじゃないか?息がかなり上がっているぞ」


「確かにそうだね」


ダリオンは俺の向かい側に座った。


「とりあえずイノベロスを倒すための作戦を立てようか」


「その前に、さっき君が言っていた助けが来ないというのはどうゆうことなんだい?」


「そうだったな、まず今になってもまだ助けが来てない時点でおかしなことなんだよ。」


「それは、ワーネム達が今呼びに行ってるから少なくともあと数分はかかるだろ?」


「違うよ、冷静になって考えればとっくに助けが来ていてもおかしくないんだよ」


「どうして?」


「この競技は大勢の人が観戦しているだろ?俺らがワーネム含め3人でいたときにイノベロスは現れた。

「その前にノイラを倒してきたとすれば必ずイノベロスの姿が観戦の映像に映っているはずなんだ」

「だとすればすぐにでも助けが来ると思うんだよ」

「でもまだ誰も来てない。」

「おそらく何者かの手によって観戦映像に細工がされているんだと思う」

「そしてあのイノベロスにもそいつが関わっていると思う。」


「確かに、そう考えれば助けが来ないというのも納得できる。」

「でも、フィールドの周りに用意された護衛の人ならワーネム達が呼んで来れるんじゃないか?」


「どうだろうな、ここまで大掛かりなことをしてるんだからその辺もぬかりないだろうな」

「魔法を使って眠らされているか、もしくはもう…」


「まさか殺されているとでも言いたいのか?」


「断言はできないけどその可能性もある。少なくとも助けに来れる状態じゃないと考えた方がいいと思う」


「そうだな。」

「とりあえず君の考えは理解した。」

「一体だれがこんなことを・・・」


「これを引き起こした犯人なら大体の予想はついている」


「誰なんだ?」


「説明したいところだけど、どうやらそれどころじゃなさそうだ」


再び俺たちの前にイノベロスが現れた


「追いつかれたか」

「逃げるか?」


「いや、ここで倒そう」


「何か策でもあるのか?」


「そろそろ、お前の轟雷が使えるんじゃないか?」


「あぁ、つい先ほど使えるようになった」


「ならそれで仕留めよう」


「だが、轟雷を使うには奴に一瞬隙ができなければ」


「隙なら俺が作る。ただし一回きりだから絶対に仕留めろよ」


そう言って俺は剣を構えイノベロスの方を向いた


イノベロスが勢いよく突進してくる


俺も対抗するように突撃していく


「魔剣発動」


俺はさらに勢いを増して突撃していく


そしてイノベロスと激突する瞬間


「これでもくらっとけ!」


俺はイノベロスの顔面を思いっきり切り上げた。


激突の衝撃だけでなく身体能力向上によって限界値まで引き上げた力の斬撃を食らったイノベロスはその場で足を止めた。


「ダリオン!」


「承知した!」

「イノベロスよ僕の最高の剣技耐えられるものなら耐えてみろ」

「【轟雷】」


すさまじい斬撃が放たれた。


俺のようなEクラスでましてや魔力のない人間からすればまさに神業だ。


イノベロスは真っ二つに切り裂かれた。


「さすがとんでもないな」


「君のガッツも大したものだよ、迅速竜イノベロスの突進に突っ込んでいくなんて」


「とにかくこれで一安心だな」


そう言って俺たちはフィールドの出口を目指して歩き始めた


「で、結局これらは誰によるものだと考えているんだい?」


「俺はこの競技の担当教師だと思っている」


「まさか、学園内にこんなことをする人がいるなんて考えられないよ」


「観戦映像に細工ができるのは少なくとも競技に関わっていないとできない」

「それにテイム―チェーンを持ち込めたことが何よりもの証拠だよ」

「俺たちは競技前に危険なものの持ち込みがないように身体検査されるはず」

「お前もやっただろ?」


「僕も担任の先生に検査されたよ」


「俺も担任のロイス先生に検査された」

「だとすれば犯人はCクラスの担任でこの競技の担当教師のあいつ以外不可能だよ」


「あの先生Cクラスの担任だったんだ」


「あぁ、大会の準備期間に少しだけ参加者について調べてた時に知ったんだ」


「どうしてこんなことを・・・」


「さぁ、もしかしたら主犯格は別にいるのかもしれない、脅しや洗脳によって操られていた可能性もある」

「もしかしたらCクラス代表者のミナって子なら何か知ってたかもね」


「そういえばイノベロスを召還した彼女はいまどこに」


「もういないよたぶん」


「それって・・・」


「あのレベルの魔獣を召還する魔力をCクラスの彼女が持っていたのだろうか」

「持っていなかったとしたら代わりに代償となったのが彼女自身であると考えてもおかしくないと思う。」


ダリオンには言わなかったが魔剣や魔道具は使用者から魔力を吸い取っているから、彼女は魔力をすべて吸い取られた後生命力すらも吸い取られ最終的には肉体すら残らなかったと考えた。


「俺たちは急いでこのことを王国魔法軍に伝えた方がよさそうだな。」


「そうだね。」


「あと、こんな時になんだけど改めて自己紹介するよ。」

「僕はダリオン・バルティア、剣の道を歩むものとして君の雄姿と剣技に敬意を払うよ。」

「今後ともよろしく頼むよ」


「俺はリューヤ・アリウス。こちらこそよろしく」


こうして俺たちは無事イノベロスを討伐し王都へと帰還した。




―――― 王国魔法軍 第2大隊 バルツ隊長室 ――――


「失礼します。」

「魔法競技大会で国王を含め多くの民衆に虚偽の映像を見せたうえ、魔獣を使い生徒襲わせたヨバネ・ヴァリドと、被害にあった生徒たちについての報告に参りました」


「続けてくれ」


「ヨバネは家族を人質に取られ転校してきたミナ・ルータンスを最終競技の代表者に選び、当日の観戦映像を細工するよう脅されていたとのことです。」

「脅してきた相手の素性は何も知らないとのことでした。」

「ミナ・ルータンスについてですが以前在籍していたとされる学園に事実確認したところそのような生徒はいなかったとのことでした」

「主犯格は魔法学園を騙せるほどの手練れで強力な魔獣を使ったり作戦のためには人命など惜しまないところからかなり厄介な相手だと思われます。」


「なるほど。」

「厄介とはいえ、国王すら巻き込み名誉ある魔法学園に不敬を行ったのだから必ず主犯者を捕らえれるよう全力を尽くすように。」


「承知しました」


「では続いて魔獣に襲われた生徒についてですが一人は重症でしたが、残りの3人は無事でした。」

「彼らによりますとミナ・ルータンスがテイムチェーンを用いてイノベロスを召還したとのことでした。」

「イノベロスの死骸を調査した結果間違いなようです」

「そのイノベロスはダリオン・バルティアとリューヤ・アリウスの二人の生徒により討伐されたようです。」

「イノベロスを真っ二つにしたのはダリオンの攻撃によるものですが、それに至るまでの作戦や犯人の特定をしたのはリューヤによるものという事でした。」


「ダリオンはあのバルティア家の息子か。」


「おっしゃる通りです」

「彼は去年の剣術大会で優勝しているほどの剣技の持ち主です」


「リューヤというのは」


「以前のガラの森や、キルツ森林での事件にも巻き込まれている生徒ですね。」


「彼も優秀なのか?」


「いえ、彼はEクラスの生徒で魔法に関しては最低レベルですね」


「そんな子が3度も魔獣から無事に帰ってこれるとは」


「かなり運が良いと言わざるを得ないです。」


「運だけならいいんだがな」

「リューヤ・アリウスか、覚えておこう」




魔法競技大会から1か月後、裁判の結果事件を起こしたヨバネ・ヴァリドは懲役30年を言い渡された。

生徒を魔獣で襲い、国王や民衆を騙すようなことをしたのだから死刑を言い渡されてもおかしくなかったが、家族を人質にされていたことや一部魔法による洗脳を受けていたことも分かり懲役刑となった。


学園側もこのような事件が起きないよう生徒と教師の管理についての見直しが行われた。


こうして今年の長かった魔法競技大会は幕を下ろした。

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