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魔剣【轟雷】

魔法競技大会も最終日になり、ついに俺の出る最終競技が始まった。


実況のスタートの合図とともに俺は走り出した。


試合は始まってしまったが、一応ワーネムが結託してくれるかもしれないため、彼を探すことにした。


事前にフィールドの内部を確認することはできなかったため、彼を見つけるのは簡単なことではないが、一度フィールドの周囲を回った時にいくつか目印になる建物を覚えていたため、自分のいる場所はある程度把握できている。


それと、俺がフィールドに着くとすぐに試合が始まったためおそらくAクラスから順にフィールドに配置されたと考えた。だとしたらDクラスのワーネムが俺の近くにいる可能性は高いと考えた。


ただこの場合Aクラスのダリオンも近くにいる可能性も高いという事。


2分の1だがワーネムに会えると信じて走り出した。


俺は裏路地で座り込んでいたたワーネムを見つけた。


「お前Dクラスの代表者のワーネムだな?」


「お前は、Eクラスの・・・」


「もしよかったら俺と結託しないか?」


「結託?」


「もしよければ俺の事倒してくれないかな?」

「その、正直あまり痛い思いとかしたくなくてさ、少しでも安全にこの競技を終えたいんだよね」

「それに、君はEクラスに勝てたことになるし最低限のプライドとか守れるでしょ?」


「お前何言ってんだよ?」

彼は少しおびえるように言った。


「お前、何度か魔獣に襲われたのに無事に帰ってきたって奴だろ?」


「まぁそうだけど・・・」


「そんな奴と戦っても確かに俺じゃ勝てないな、」


「なら、いいだろ?」


「嫌に決まってんだろ」


想像と違う返答に俺は驚いた


「どうして?利害は一致してるだろ?」


「お、俺だって他の連中と戦いたいわけないだろーが」

「お前の方が俺より頑丈なんだからさ、お前があいつらと戦ってくれよ。」


確かにその通りだ他の出場者も俺と同じで、できることなら楽に終えたいに決まっている。

AやBならともかく、Dクラスなら多少プライドを捨てるくらい大したことないだろう。


結局俺の作戦はうまくいかなかった。


このまま俺とこいつが正々堂々戦ってもきっと彼は自ら負けに来るだろう。

そうしたら俺は最低でもCクラスの人の攻撃を食らわないといけなくなる。


俺はツイてないなと思いつつも、いつまでもこいつと居たところで意味ないなと思いCクラスのミナを探すためにその場を離れようとした。


かなり離れた場所で戦っている音が聞こえてきた。


相当激しい戦いをしているようだ。


俺が立ち去ろうとした時、声をかけられた。


「こんな場所で一体何をしているんだい?」


振り向くとそこにはAクラスのダリオンが立っていた。


「君たちチームでも組んでいたのかい?」

「勝つためには賢い選択だと思うけど、1対2だろうと僕は負けないよ」

「ましてや、D,EクラスじゃBクラスにも勝てないよ」

「魔力の差はそんなに甘くない、君たちもよく知ってるでしょ」


「そうだね、でも心配しなくても同盟はちょうど断られたところだよ。」


「そうなのか、僕は1対2でもよかったんだけどね。」


こんな会話をしているとまた遠くで戦闘音が鳴り響いた。


この場にいないBクラスとCクラスが戦っているのだろう。


「どうやら向こうはかなりいい戦いをしているようだね。」

「そろそろ僕たちも始めようか」


そう言うとダリオンは剣に手をかけた


「いくよ!」


そう言って一気に詰め寄って切りかかってきた。


俺もとっさに剣を抜きギリギリ受け止めれた。


「よく受け止めたね。一般人ならこれでノックアウトなんだけどね。」


「俺も多少は剣技に自信があるんでね」


「でもこれで君は後悔することになるかもよ。」

「この僕と剣で戦うことになったのだから。」


確かにその通りだ。今の一撃を受け止めずにいれば俺はこの競技を終えることができたからだ。


俺は彼の攻撃を本能的に受け止めたのだ。


相手は剣術大会で優勝するほどの実力者。

そんな奴と剣を交えたからにはある程度の痛手は覚悟しなければならない。


それから怒涛の連撃が続く。


狭い裏路地のため反撃しようにも策を立てづらく彼の攻撃を受け止めるので精一杯だった。


「すごい、まさかこれも受けきるなんて剣の腕前は確かにあるようだね。」

「でも、これはどうかな?」


そういうとダリオンは一度剣を納刀した。


そして一瞬の出来事だった。


常人ではありえない速さと威力の抜刀攻撃。


裏路地が大通りになってしまうほどの威力だった。


「お前、殺す気か」


「よく避けたね、僕の魔剣【轟雷】の攻撃をよけれた人は今までいなかったよ」

「なるほど、君のその剣はやっぱり魔剣だね」


俺は抜刀の直前で魔剣を発動させることができ、身体能力向上の魔法でギリギリ避けることができた。


「最初に剣を交えたときにその剣から魔剣の匂いがしたからもしかしたらと思っていたけど」

「どうしてさっさと魔剣の力を使わなかったんだい?」

「もっと早く使っていれば君にもワンチャンスあったかもよ?」


「俺はあんたと違って魔法を使うのも一苦労なんだ」


「お、お、おい、なんだよあいつ?!」


さっきまで隠れていたワーネムが突然おびえながら指をさした。


俺たちは彼が指さす方を見るとそこには見たことのない巨大な魔獣がこちらを眺めていた。

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