魔法競技大会準備 2
今日はついに完成した魔剣を受け取りにグリトの家に来た。
「待ってたぞ!」
そう言ってグリトの父親で俺の魔剣を作ってくれたゲントが出迎えてくれた。
「ついに完成したんですね?」
「あぁ、かなりの上物だ」
ゲントは奥の工房に行って一本の剣を持ってきた。
「ほらよ」
魔剣を受け取った俺はさっそく鞘から引き抜いた
銀色に輝く長い刀身に黒色の柄の両刃刀
シンプルで美しい俺好みに仕上がっていた
「さっそく試し切りしてみるか?」
「いいんですか?」
「もちろん、付いて来な」
俺はゲントと工房の裏にある演習場に行った
「早速切ってみな」
俺は刀を構え一体の的に切りかかった。
まるで豆腐を切るかのようにスパスパと切れていく感触に俺は感激した。
ただ、これだけじゃない、なんといってもこれは魔剣だからだ。
俺の仮説が正しければ魔力のない俺でも魔剣をはつどうできる。
まだ一度しか実証できてないがそれが奇跡でなかったと証明しなければならない。
どのみちこの魔剣が扱えなかったら俺はこの先魔力がないことを隠して学園を卒業することができない。
俺はただひたすらに魔剣を発動させることだけを考え続けた。
「おやじ、あの魔剣にはどんな魔法を織り込んであるんだ?」
魔剣のお披露目と聞いてグリトが演習場にやってきた
「あの魔剣には身体能力を高める魔法が織り込んである」
「リューヤと相談した結果、彼は魔法を使うのがかなり苦手で魔力もそんなに多くないらしい。」
「だから最小限の魔力で発動できてかつ戦闘時に使える魔法を選んだんだ」
「でも、かなり苦戦しているみたいだぜ」
「一応魔力供給を効率化させる魔法も織り込んであるんだけどな」
「魔剣を扱うのはやっぱ難しかったんじゃないのか?」
二人がそう懸念を感じたときだった
「出来た!」
俺はつい大声を出してしまった。
2分ほどかけて俺はついに魔剣を発動させることができた
以前の魔剣とは違ってこの魔剣に織り込まれている魔法は俺自身を対象に発動するため魔法の発動を身をもって感じ取ることができたのだ。
始めて魔法を発動する感覚を知り、つい声を出して喜んでしまった。
「お!発動したじゃねぇか」
俺はすぐさま的に切りかかった。
自分がこれまでの倍以上の速さとパワーが出ていることを自覚しそれをしっかりコントロールできている。
魔法は1分ほどしか持続しなかったが試行錯誤を続けていけばもっと早く発動できてもっと長い時間持続させられると俺は確信していた。
俺は剣を鞘に納め、ゲントにお礼を言った
「最高の魔剣を作ってくれてありがとうございます」
「なに、このくらい俺の手にかかれば楽勝よ!」
「今後も何か作ってほしいものがあったらうちに来てくれて構わないぜ」
「では、また遊びに来ます」
そう言って俺はグリト家を出た。
この日から俺は魔剣の上達に励んだ。
日課のランニングを魔剣を携えてしている。
一度のランニングで30回以上身体能力向上の魔法を発動できるまで走り続けるようにしている。
こうすることで魔法発動の兆候を体になじませられるのと、魔法は使えば使うほど上達し、発動速度や必要な魔力量も減っていくというので、そのために毎日欠かさず走っている。
魔力を持たない以上これらの常識が通用するかわからないが、その検証も込みでランニングをしている。
2週間後に魔法競技大会があるためそれの準備で戦闘訓練も始めた。
ありがたいことにグリト家の演習場を大会の期間中好きに使わせてもらえることとなった
彼らには世話になりっぱなしだ。
そして2週間が経ち、ついに魔法競技大会当日を迎えた