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53庶民感覚

見本として石のカットを転がしておく。歩いて周りエイスでチマチマと削っていく人たちを見る。魔導師団の人たちは魔石のカットで慣れているので比較的綺麗に削っている。

アドバイスをしながら目の前でクズ石の加工の仕方を見せたり細かい事を教える。そして台座の作り方や磨き方等など基礎を教える。


「目が疲れる…」

「慣れですよ。」

「ミカエラ先生普段どれくらい作ってるんですか…」


いつの間にか先生になっていた。

「今日持ってきた箱の中のクズ石は2日で売り物にできるくらいには出来ます。基本のカットで良ければ。」


魔力で汚れを削ぎ落とすように、形を意識して整えていく。


「ミカエラ先生、これで行きます!!」


手を加えていいか確認してから気になる箇所をぱぱっと削って少し整える。


「指輪はどういう形ですか?」


魔鉱銀で台座を作り接合させて指輪全体を磨けば出来上がりだ。


「大切な方の名前を内側に彫るのも良いですよね。」


同じように第三騎士団も気合いが違うのかリンゴの皮むきを効いたのか焦っていないけれどいいものを作ろうとしながらもその目が真剣なので本当に補助だけにして仕上で売り物には拙いけれど頑張って作ったように見えるようにした。


2日間頑張った。後半が慣れてない人たちだからエイスを使っての加工に四苦八苦していた。基本のやり方を説明するので好きなだけ練習すれば良いと思う。ミカエラの叙爵も近付いてきた。


「叙爵って何するのですか?」


ヘラルドに聞くのが良いだろう。ユーリもレオンハルトも家督を継ぐ予定、可能性が有るだけで爵位を持っている訳では無い。侯爵は忙しそうなのでヘラルドに聞いてみた。


「男爵となるとそこまで無いよ。まぁ、後ろ盾になる貴族や色々考えている貴族はお披露目や舞踏会に積極的に参加するが、したくないのだろ?」

「仕事以外で王城に立ち寄りたくないです。」


笑顔でいらない。と、首を横に振る。


「ユーリ達侯爵も理解しているだろうが、困った時だけ頼るで構わないだろう。」


「…あまり会うこともないかと思いますが、色々お世話になりました。」


年が明けて少ししたら引越しだ。個人的な仕事がない限り王宮に行く予定は無い。男爵は当代限り。結婚をするつもりもないし、そういう人も当然居ない。


「ん?それなりに城に来ると思うぞ?」

「え?」


魔導師団所属魔導具科、技術研究員…なんということでしょう。何故か役職が与えられてしまっていました。


「取り敢えずこの辺の宴が年末に起こるから参加必須だな。それ以降はパトロンなり任せておけばいい。」


引越し先の鍵と一緒に参加必須の夜会やお茶会パーティのリストだ。年末だから侯爵家にいる間に詰め込まれたのか…ご丁寧に必須理由も書いてある。


「ヒェッ…」

「貴族間の付き合いは面倒臭いだろうから逃げ道の提案をしておこう。」

「そんなのあるのですか!?」


是非とも知りたい。発注書だけの付き合いなら良いけれど個人的に仲良くなんて面倒事巻き込まれるの必須じゃないか。


「その辺が得意な人間に全て押し付ける。」

「押し付ける…????」

「あぁ。思いつくのをいくつか出そう。」


①ロズウェル侯爵の養女になり、兄になるユーリやレオンハルト達をパートナーにして丸投げにする。今までと変わらない。


②貴族の次男三男を婿にして貴族対応全て任せてミカエラは仕事に没頭する。次の年には子爵になって望めば領地も付いてくるので伯爵家の次男三男であれば喜んで飛びつくだろう。知り合いだとイザークとレオンハルトになる。この2人と婚姻するなら領地もロズウェル侯爵領の近くの鉱山などに家や工房を建てることくらい出来るだろう。


③ヘラルド様の養女。これは本当にオススメされない。面倒事しかない。ありとあらゆる面倒事を凝縮して押しかけてくるのでロズウェル侯爵家で対処出来ない時にはそうするしかない非常手段。


④ヘラルド様の愛人。爵位を持つのに愛人という不名誉な肩書きが付く。但し虫除け効果は絶大。


「…まぁ、4に関しては適宜我が家に遊びに来て温室などにある花を眺めたりして仕事の糧にして翌日家に帰るとかで良いのだが。私も婚姻したいとかいう活力ある女性を遠ざけるのに都合がいい。」


「…ヘラルド様は何故独身なのですか?」


傍にクーフィア様がいて話を聞いていただけなのだが、この質問で後ろで首を横に振ったり手を×としているが、言ってしまった。


「…仕事で忙しいのと自分から面倒事と仕事を増やしたくない。ミカエラにわかりやすく言うと発注書の山を抱えているのに新作をそれなりに納品して輪をかけて忖度された大量の注文書が届く感じだな。」


「…それは嫌ですね。クーフィアさん、どれが1番良いですか???」


ヘラルド様の部下でロズウェル侯爵家と関係ない人だし、ヘラルド様の部下ならユーリ様の部下でもある。


「静かに仕事をしたいなら④です。貴族女性の妬みや嫌がらせも起きるでしょうけれど、貴方の評判があるならそこ迄ならないでしょう。ヘラルド様の屋敷には国宝相当の宝飾品もあるので勉強含めて1番いいと思いますよ。ただ、こんな執務室でお茶を飲みながらする話ではないですが。」


お茶を飲みながら先日の冬祭りのお金を受け取りに来ただけなのだが、感想文が付けられている。告白が成功しただの普段使いとしてとても喜ばれたと。そういうのを読みながら貴族めんどくさいというお話をしていたはずが、身の振り方になり、愛人だの婚姻の話になっていた。


「それに爵位を持ちながら愛人とか良いのですか?」


「貴族対応で仕事が滞る位なら好きに呼ばせたらいいと思ってます。私友達とかいないんで!いたとしても庶民だから庶民からしたら貴族の愛人は理想の地位です!」


「爵位もない人の話でしょう…」


だが、私は庶民だし、庶民感覚を貫きたい。


自称友達0なので…

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