40モフモフは偉大
やっぱりベッドに戻されていた。狼ひっそり飼ってるのかな?
今日もダンスは嫌だなぁ。朝食は部屋でもしょっと食べていたが、しばらくダンスはないと連絡だった。
それでいいのだろうか。ユーリ様なりに考えがあるのだろうか。
というか、私は平民の癖にあれが嫌だの文句言って怒られない???
悶々としながら本日は城で魔導師団の実験の手伝いの為にレオンハルトと移動をする。
「疲れてる?」
「ちょっと疲れてます。」
溜息をつきたいが、こういう気分が落ち込む日は大体ろくでもないことが続くというのがここ最近の経験則。ダンスではなくマナー教室優先になっていた。叙爵して困るのが私だからと。
「レオン様、素朴な質問いいですか?」
「何?」
「マナー教室受けてますが、明らかに目に余る場合ってどうするのですか?」
目の前にニヤニヤと下卑な笑みを浮かべた院長…ケルビ男爵がいた。
「これはロズウェル侯爵令息。恐れ入りますがミカエラと少し話をする時間を頂けないでしょうか。孤児院に関する事でないないの話がありまして。」
「ケルビ男爵、私は今彼女の護衛です。いくら知人とはいえ、離れることは致しません。」
「侯爵家令息の耳に入れるようなお話ではなく…」
「では、彼女の耳にも入れる必要がないですよね。」
「レオン様同席でこの人の往来があるここでなら良いのではないでしょうか。私は孤児院の事でコソコソするような話はないですから。」
ニコッ。と、提案する。立ち話程度で聞くのは構わないし言えるなら言ってみろ。
「叙爵を控えて身元が明らかになるが?」
「孤児院育ちの孤児ですがなにか?騎士団、魔導師団の方は仲良くして下さっていますよ?生まれも貴族には大事でしょうが育ちとか中身の問題では???」
周りからクスッと笑う声が聞こえた。つまりまぁ、孤児に何集ってんだよ。というのが周囲には伝わっているのだろうか。
「自力で叙爵受けるのですから褒めたりするならともかくお金の無心されても、私如き平民の孤児で、孤児院長もするケルビ男爵の財にも劣るのになぜ私にお声かけを?」
「姉になる娘が娼館に行くことになった。身請けするなり援助するのが同じ孤児院で育ったお前のすることだろう。」
誰の事だろう。
「そうでしたか。本当に困窮してるのなら自分で神殿に行くでしょうから。それにそれは私の役目では無いです。遅れますので失礼致します。孤児院の運営などであれば私ではなく国のお財布財務に行く方が解決策を教えてくださいますよ。」
取り敢えず仕事場に向かわないと。
「ミカエラ、大丈夫?」
「…レオン様、孤児が娼館やゴロツキ、犯罪者になるなんて珍しくもなんともないんです。真っ当な職につく人もいますけどつけない方がほとんどなので…」
「…分かった。兄上に報告は問題ない?」
「それは問題ないです。」
「ミカエラは色々舞い込んでくるね。ここまで色々あるのはある意味特殊というか滅多にないと思うよ。」
それは確かに。工房で馬車馬のように働いてた時もこんなに何かが立て続けに起きたことは無い。
「急にお金や地位を得たら親戚が増えると言うのはどこかで聞いた事ありますが…自分に降ってくるのは思いませんでした。家買いたい…」
「でも次の家どうするの?前と同じところはさすがにしないと思うけど。」
「ギルドに近くて、前みたく地下ありの2階建ては欲しいですね。研磨機も買い直して…」
「貴族街にしないの?」
「そんな広さ求めてませんから。掃除が大変でしょう。掃除する人なんて雇う予定ないんで。」
価値観が違うので細々と指摘しながら説明しないといけない。レオンハルトもうーんと、首を傾げる。
「仕事の時間を摂るための必要経費って考えたら?今忙しいんだし。」
「…必要経費。」
「落ち着いたら頻度減らして仕事と趣味のために家事を依頼するっていう使い方。お金は入ってくるんだし。」
お金がある。爪防護剤と王宮納品と手伝い、宝飾品…確かにお金がある。
「無理に大きな家にしなくてもいいと思うけど、自分の時間作るために人を雇うのはいいんじゃないかな。」
「…そうですね。」
私、人を雇うことになるのか???




