35レッスンスタート
本日レオンハルトは騎士団の用事でどうしても外せない訓練のようでイザークが代わりに護衛らしい。ユーリ様は邸で城と侯爵家の仕事をするらしい。とっても気まずい。礼儀作法の授業ではなくダンスだからだ。
「私も覚えはありますし、靴は鉄板入です。」
「ダンスなんて無理です!」
「無理でも覚えるしかない事ですよ。侯爵家の方々やヘラルド様の足を踏むのですか?」
「覚えますから!」
ダンスを踊るのだが、何度も足を踏んでいる。
「パートナーにぶら下がってはだめですよ。下も見ない。」
距離が近い。踊りまくって息を上げて膝を突いてゼーハーと息をする。
イザークは果実水を用意して椅子に抱き上げて座らせてグラスを渡す。
「ありがとうございます…」
「慣れない靴で疲れたでしょう。」
イザークは当たり前のように膝を突いてミカエラの靴を脱がせる。ずるっと靴擦れで靴の中が血まみれになっていた。
「痛いなら痛いと言わないとダメですよ。」
「…すみません。治癒なら出来ますので。」
自分でかけるのってあんまり効果がない。それでも靴擦れ程度なら治る。止血が出来るくらいだが問題ないと思っていた。
「キチンと治療しないとダメですよ。」
彼は傷薬と包帯も予め準備しており今日は終わりだからと薬を塗って包帯を巻いた。靴ではなくスリッパもあった。準備が良すぎる。
「神聖属性持ちはやはり羨ましいです。」
「ポーションの代用以下ですよ?」
「護衛ですから。回復手段があるのはやはり重要かと…スカルレッティは風が強く出やすいので。」
「風なら飛び道具とかに強そうですね。向かい風起こしたり追い風にして加速させたり使い道ありそうですけどね。」
包帯も固定されてスリッパになる。
「靴はまた新しいものを用意します。血まみれでは嫌でしょう。」
「気にしませ…お願いします。」
有無を言わせない目をしていたので訂正するしかない。部屋に戻るために立ち上がろうとしたが、あっさりと抱き上げられて固まる。
「イザーク様!?!?」
「距離が近いのに大きな声を出さないでください。折角止血したのだから当然でしょう。普通ここまでしませんよ。」
部屋まで運ばれた。すんごい恥ずかしくていたたまれなかったのだけれど…スンと無表情なのが凄い。絶対重いのに。
「重いですから歩きます。」
「…軽いですよ。ユーリ様より軽ければ大体何とかなります。」
「仕事をされるにしても人を置きますので細かいことはメイドにさせるように。」
「…はい。ありがとうございます。」
ダンスレッスンすごい怖かった。イザーク様凄い上手なんだろうけれど、足は踏みまくるし、もつれるし、頑張ったよ…学園でも実技ばかりでダンスなんて取らなかったし。
今日は作業する気にならなかったので図鑑を持ってきてもらって読書をする。パラパラと読んでいて気になったことがある。
「あ、良いですか?」
「何ですか?ミカエラ様。」
「この漆って侯爵家で取り寄せられます?生えてたら樹液が欲しいです。あと真珠みたいになった貝の内側とか厨房にないですか。」
図鑑でしか見たことがない漆の扱い。工芸品として見たことがあった気がする。黒と赤の器だったような。それと図鑑に貝の内側も真珠みたいになっているものがあると記載があったから身や真珠は要らないから内側が欲しい。
「一度確認しますね。ちなみに用途を伺っても宜しいですか?」
「新作試作用」
「かしこまりました。ミカエラ様でも調達可能なのかも含めてお調べします。」
発注も落ち着いてはいないけれど私が気分転換をしたい。
漆でしたらすごい綺麗になるらしいから作れるならやってみたい。せめてこの貝殻の内側が使えないか試したい。




