24運動不足解消
それから別邸に引きこもって仕事をする。注文が多い。夢中になって作業に没頭できる。材料の発注はギルド止めにしてもらって侯爵家の人が代わりに引き取ってくれる。
あれからキリエからは連絡が無い。家の方も念の為警備段階を上げておくとユーリに言われたけれど何も無いと思う。自称親という人達とも会っていないし。
納品用の箱に作品を入れて運送用の箱に入れていく。だんだん細かい指定とかも入ってきたがこの程度ならまだ対応出来る。
そして王宮からということでクズ石が運ばれた。運んできたのはイザークという珍しさだ。
「一応これは国の研究所材料ですから。石は魔導具部門で出てしまったクズ石達です。それとこれが注文書です。大きさと効果、アクション指定は別途こちらの箱に入れていますのでそれ以外は注文書通りに。失敗した時の予備も含まれていますので余ったら作品の方に回してください。終わったら私、レオンハルト様、ユーリ様の誰かに渡すようにしてください。」
「分かりました。」
「キチンと習った通りの貴族相手に出す文面で面会予約を取ってください。」
加工より無理難題を突きつけられた。貴族らしい面会予約…
「習いましたよね?実践です。」
「…ふぁい…」
丁寧に面会予約に必要な筆記用具に便箋まで用意されていた。
気分転換に研磨とアクションを刻んでいく。クズ石がさらに小さくなって形を整えて文字を刻む。適当に石を手に取って文字を刻み、無心でガリガリと削ってアクションを刻む。ご丁寧に魔力回復ポーションも付属品として付いている。すごい気分転換になる。魔力を通して軽く動作確認をして削っていく。
物は出来た。
休憩。と、身体を動かす。ちょっと運動しよう。身体が固まる…
作業着は洗ってもらうから…庭に出て走る。腕立て伏せをする。腹筋をする。最近侯爵家のご飯やおやつを与えられ続けていたから色々とまずい。
「ミカエラ、何してるの。」
レオンハルトが休みだったのか声をかけてきた。庭でウゴウゴとしていることに気がついたのかこちらに来た。
「最近運動してないので。筋肉付けたり体鍛えてます。」
ミカエラは最近こもりっぱなしで前の生活に比べたら運動不足だと感じたのだろうか。
レオンハルトはじゃあと提案をした。
「…じゃあ手合わせとかする?騎士団でもやってるようなの。剣が気になるなら教えるくらいなら多分できる。素振りとか。」
「…剣なんて持ったことないし、持っても使えません。素手なら習いたいです。」
「じゃあ素手の徒手格闘やってみようか。」
道具を用意するね。と、少し離れた。私ができるのは孤児院での喧嘩や採取の為の対獣用の護身術だけだ。
レオンハルトはミットを持ってきて動きやすい上着を脱いだ服装だった。
「ミカエラの経験は?」
「孤児院の喧嘩と男の股間蹴りあげだけ!」
「じゃあ取り敢えず殴ってみよう。」
レオンハルトはミットを持ち出して、言われた箇所に向かってボスっと殴って身体を動かす。
殴るにしても体の使い方が違う。
「念の為正しい殴り方?身体の使い方を教えるけど、真っ先にすることは取り敢えず戦うよりも全速力で逃げる足の方が良いけどね。」
それから関節技や投げ技なども教えてもらうけれど、レオンハルトとミカエラでは体格差がありすぎる。そして距離も近いが2人とも何も気にしないで身体を動かしていた。
「イザーク、あれは何してるのかな。」
不思議な音がするので窓の外を見てみれば弟と貴重な技術者が殴り合いをしている。仕事の手を止めてユーリとイザークが眺める。
「徒手格闘の訓練に見えますが。」
「私もそう見えるけど、発展…???」
「いや、あれは運動不足解消の為に護身術を教えているのでしょう。」
「弟のは実るかな???」
「・・・」
従者の沈黙が痛い。良くて友達なんだろうなぁ。もうちょっと意識しよう弟…。
「ミカエラが強くなる前に弟がピッタリくっついている方がいいと思うんだよねー。」
「平民への護衛騎士は付けれませんからね。」
「ウチの従者はどうだい?嫁に。婿として貰って貰ったら??」
「…廃品押し付けてどうするのです。困らせるだけですよ。」
ユーリは彼女を手元に置くというよりも弟と親しくしている将来有望な技術者を置くために色々考えているようだが、当人達が思うように動かないので本気で考えるのは辞めている。
見ていて面白いので取り敢えず兄としては見守る予定である。




