20ご飯が美味しい
「ミカエラ、お疲れ様。」
別邸でレオンハルトと夕食を取る。シャンパンを開けてくれた。あまりお酒も飲んでいないけれど、美味しい。ミカエラはくぃーっと流し込むがお酒が美味しい。
「ありがとうございます…何か疲れました。」
「なんか帰宅が延期みたいだね?」
「うん…身から出た錆というか。」
「兄上から大雑把に聞いた。」
パクッとお肉やパンを食べる。美味しい。
「それで契約はどうなったの?」
「契約はうん…本業じゃないので国の言い値でしました。」
「本業忙しいよね。いいと思うよ。」
ご飯が美味しい。レオンハルトと当たり前のように食事をしているけれど本邸に行かないのだろうか。
顔がいいから婚約者とかもいないんだろうなぁ。ユーリ様が見つけてない気がする。過保護だったし…
「あ、そう言えば兄上に言われたんだけど。」
「はい。」
「しばらくミカエラの護衛として仕事しろって兄上より上からの命令なんだって。」
カチャン
カトラリーを皿に落としてしまった。
「えっと騎士団のお仕事は…」
「ミカエラが出かける時は護衛任務で別日が休日。通常勤務もちゃんとあるから気にしないで。凄いね、城から護衛が必要って認められて。」
違う絶対違う。レオンハルトがユーリの話をする時すごく楽しそうに話をしているけれど…
「レオンハルト様はユーリ様が大好きなのですね。」
「あぁ!凄く尊敬している!」
良い笑顔で…結婚願望というよりは家でユーリ様のお手伝いが楽しいのかもしれない。この人は。
「ミカエラ、お祝いとお疲れ様で何かしたいことは無い?兄上に1度話を通すけれど。」
「取り敢えず大丈夫ですよ。ありがとうございます。」
「因みに聞きたくないだろうけれど母上よりお茶会で自慢したからしばらく注文が止まらないだろう。ということだよ?良かったね。」
「あ、ありがとうございます。」
「それと本邸に引越ししなくて平気?俺は騎士団のことがあるから別邸にしてるけど。」
「…不都合があるなら移動しますけれど」
隊舎にも部屋がありそこで寝起きしていたけれど私がこっちに来てから通いにしているレオンハルト。
「いや、不便があるなら本邸にと思っただけだよ。」
「そんな事ないですよ。」
自分の部屋で仕事の作業をしていると意外に放って置いてくれる。発注書も花と色の指定くらいで少しずつ差をつけて同じものはふたつとないようにしている。
トントンと、人が入ってきた。ユーリ様、ヘラルド様、イザーク様とあと一人は知らない人だ。
「ミカエラ嬢、ヘラルドの補佐官をしているクーフィア。楽にしてくれていい。」
椅子に座り、なんだろう?と、思っていると箱をいくつか運ばれてきた。ミカエラは箱を開けると宝飾品が入っていた。
「ミカエラ嬢、これらを見た感想を聞きたい。」
「少々お待ちください。」
上質の白の手袋とライトを持ってくる。そして1つ1つ手に取り、光に当てる。人工的な明かりだけでなく日光にも宛ててじっとしっかり見つめる。
「これと、これは宝飾師というより贋作製作者のものです。宝飾師の加工方法では無いかと思います。見た目を寄せているだけで宝石の質も王宮に置いておくには安物だと思います。こちらは素晴らしい作品だと思います。名工のものでしょう。細部に至る所まで神経をすり減らして研磨をしたのが伝わります。」
「クーフィアと同じか。」
「こうやって見るとわかりやすいです。ミカエラ嬢の商品を見せて頂いても?」
クーフィアのお願いに出来上がった作品を見せる。彼は壊れ物を扱う様に髪飾りを手に取りじぃっと見つめる。石の種類を当てていく。
そして大雑把に金額を査定する。
「ギルドではもう少し色を付けていますね。」
「手数料とマージン分ですよ。とてもいいお仕事です。このまま精進して下さい。」
ヘラルドは頭を抱えて息を吐き出す。
「そうか。クーフィア、国宝全て鑑定するぞ。それと捜索だ。陛下にも報告する。ミカエラ嬢其方の勝ちだな。」
「勝ち負けじゃないですし。」
宝石鑑定の審美眼を見られたのか???ミカエラは自分の関与出来ることでもないし。お茶を飲むがこっちを見ている。
「何か?」
「近々親の候補が押しかけるだろう。護衛から離れないようにユーリ殿に全て押し付けておけばいい。」
「あの、私ってそんなにダメですか?」
「貴族には貴族の戦い方がある。手ほどきも受けてない子供にさせることではない。ということだ。そういうのを学びたいならユーリ殿に乞えば手ほどきもあるだろう。」
「貴族の方は私生児や孤児を忌むものという知識があったので…」
「実は死んだ息子と娼婦の娘だった。で、養子になんてよくある事だ。本音と建前が貴族だ。暫くは引きこもって仕事をしていればいい。」
頼もしい…




