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13続、胃痛

誰かが死んだとかそんな話ではないと思う。それに貴族が手を下すようなトラブルも起きていない。


「マルセル工房の事は自業自得だよ。代替わりした親方は経営の才能や宝飾師の知識について知らなかったようだし。娘がミカエラ嬢の事を…」

「ミカちゃんはマリア様カノン様情報でしょうし、ギルドでもミランダがミカちゃんとずっと呼んでいるので気にしておりません。」

「因みにレオンハルトは?」

「ミカエラと。」

「そうか。私もミカちゃんと愛称で呼び出したら怒るかな…」

…護衛に話を振っているので私の返答は求めて居ないらしい。その方がありがたい。


「ミカエラ嬢は恋人や決まった相手はいるのかい?」

「…いえ。孤児院育ちなので貰い手というのは見つからないかと…」

「そうなのかい?今や人気の宝飾師だから引く手数多じゃないかな。平民でも家持ちだし。ウチの妹達が懇意なのだろう?まぁそれは良いとして…さっそく本題だけどクズ石と呼ばれる規格外の宝石を見ても?」


ミカエラは腰を上げて仕事道具をテーブルに乗せる。私が使っているのは大きな宝石の周りに配置されるかも微妙な大きさの宝石。


「これからまだ削るんだよね。」

「はい、削ります。」

「宝飾品というよりもクズ石加工を見せてもらっても?」

「分かりました。何の効果が良いでしょうか。神聖属性関連であれば…」

「じゃあ肩こり軽減」


チェーンを用意して魔鉱銀ではめる為の台座を作る。エイスで削り、神聖属性の治癒促進のアクションを刻み魔力を込める。


「どうぞ。鑑定していただいても構いません。」


貴人がつける魔力を込めた魔術具は呪いや申告と違う効果を付与されている場合もある。そのため出来上がった物を護衛に目を向けるが確認します。と、手に取り貴族ならある程度の鑑定はできるし、エイスで刻むアクションは共通なので貴族平民は関係ない。


「とても綺麗に刻まれております。」


そこからユーリ様、イザーク様もクズ石を手に取って普段してるアクションを刻む事をするが刻めていなかった。


「作るのは難しそうだ…」

「宝飾師でも細かい仕事が得意でないと難しそうですね。」

「ミカエラ嬢、魔力を込めずに刻むだけならどうだろうか。規格を揃えて魔力は各人で込めるとか。」

「それでも構わないと思います。込める魔力も微々たるものでしょうし。それなりの数をクズ石を刻むだけなら何とかなるんです…ただ、宝飾師の仕事が立て込んでいるのでそれどころでは無いと言うだけで…」

「他の宝飾師では出来ないのか?」


出来たらクズ石にも値が付いて小さな宝石でも手の取りやすい価格になっているはずだ。


「ユーリ様…手の大きさが違うんです。だから男が多い宝飾師でも慣れるまで時間がかかるかと思います。」


「…こちらでも育てながらの方がいいかな。あぁ、城で技術を借りる契約をするからほぼ恒久的にお金は入ると思うよ。」


なんと…ミカエラはポカン。と、して見つめるとニコニコとお茶を飲んでいる。何が起きている???城と契約????ただの個人商店にも満たない宝飾師ですけど!?!?


「それに魔導師団長…私の上司まで興味を持って陛下に力説したようで…」

「…?????」

「おめでとう。爵位は確定になりそうだ。」

「えと…」

「因みにあの予約すら出来ない髪飾り職人と同一人物だと聞いた王妃と陛下で一悶着…王宮から呼び出しがあるかもしれないね。」


どうして!?!?!?!?


「ユーリ様、一度に情報をお伝えしすぎです。」


イザークが窘めるとミカエラはポカンとした顔で固まってしまっていた。


「あ、あの何故爵位とかそんな話に…」

「ん?あぁ、説明すると宝石、魔石の国と言われているけれど無限じゃないから。魔石は魔物を倒す必要があるし加工も正直大変だ。宝飾品としての価値よりも防具とか武器に転用するからね。」

「はい。魔石は属性が固定されていたり魔力の内包量が決まっているので使い方が限定的だけど、とても効果があると。」

「そして宝石。これも自然に産出されているけれど、鉱山の埋蔵量も無限ではない。」


山から取れるもので野菜とは違う。質のいい材木も取りすぎたら禿山になるし、樹木ですら次取れるまで数十年かかるのだから、宝石が次取れるのはいつか。考えたくもない年月だろう。誰かが売りに出したものを今の流行に合わせて加工するのがやり方でもある。


「宝石はエイスで刻むというよりも使い捨てになるから貴族も使えないと思っていた。つまり費用対効果が悪いと思っていたんだよ。それを使い捨てにしてもいいクズ石に価値を付けた。騎士団の魔物討伐は楽になるだろうし、国防面でも魔力の低い貴族や兵士たちにも補助具として渡せる。それって凄いこととは思わない???」


自分の事なんだろうけれど…へぇ…と。目線をそらす。


「というわけで平民のままだと他所の国に取られたりしても困るとか、技術流出の事も踏まえて叙爵確定です。男爵か子爵じゃないかな。」



どうしてこうなった!?!?!?

大きな宝石を付けるのは重いし高いから原価タダのクズ石を使っただけなのに!?!?!?練習でクズ石ばかり触っていたからなんだけど…とはいえない。

私、程々に休みながら自分が可愛いと思ったものを作りたかったんだ。


ユーリを見上げるとニコニコとしているだけで腹の底が全く読めない。


どうしてこうなった!?!?!?

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― 新着の感想 ―
[一言] クズ資源を戦略物資に生まれ変わらせる技術を生み出せばそりゃね
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