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11お、お邪魔します

ミカエラは荷物を纏めたが殆どが仕事道具だ。


「こちらの荷物は?」

「納期が近い注文があるので空き時間に作ろうかと。仕事道具です。レオンハルト様からは問題ないと。」


着替えを数枚で何とかしてくれるはず。




来てしまった侯爵家…別邸らしいけれど。別邸????部屋に案内されるとメイドの服ですら自分の普段着より上質だ。


服や下着一式用意されていた。怖っ。部屋の説明や設備の説明トイレの場所。立ち入りが許可された場所などなど地図付きで渡された。メイドですら美人…


マナー本が置いてあった。けれど、数冊もある…


頑張って勉強しよう。と、思っていたら手紙が置いてあった。仕事で戻ってくるのは夕方以降。マナーの教師は明日以降で今日は取り敢えず自由に過ごしていいらしい。


仕事しよう。机とランプ荷物から発注書を取り出してクズ石をエイスで削って行く。ゴミ箱も持ってきてよかった。ガリガリ。蕾と開花したものを組み合わせて紅白ピンクの薔薇。レースと鎖で独特な雰囲気を作る。発注書を同封して蓋を閉める。


コンコンと扉を叩く音がして返事をすると女性が2人入ってきた。立ち上がってぺこりと頭を下げる。レオンハルト様と似た髪色と瞳色。双子のドレス姿の成人女性だ。


「弟が空回りして連れてきた職人さんが貴方ね。」

「普通女性に家来るって言わないわよね。」


「初めまして。宝飾師をしていますミカエラ・フィルと申します。ご迷惑をお掛け致しますが宜しくお願い致します。」


「私はカノン・ロズウェルよ」

「私はマリア・ロズウェル。レオンハルトの姉です。私たちは結婚して家を出ているのだけど、弟がやらかしたからその尻拭い。」


双子のお姫様にまぁまぁ座ってとお茶の用意を整えられる。


「ミカエラはお幾つ?」

「20よりは若い気がするけれど…レオンハルトは23よ。」


へぇ…意外と近かった。


「私は18です。」

「ミカエラ、宝飾師の作品とかお持ち?」

「どういうのを作っているの?人気の宝飾師かしら?」


「少々お待ちください。」


今さっき仕上げた髪飾りを見せる。レオンハルト様のお姉様2人は息を飲んで作品を見ていた。


「これは今の依頼分で、嬉しいことに商業ギルドで発注を止めて貰っています。作法を学ぶ合間になるべく多く納品できるよう作っていこうかと…」


「私ミカエラの髪飾りを持っているわ!」

「私もです!!旦那様にオネダリしても注文殺到で待つしかないと言われて最近やっと届いたのですよ!!ミカエラの作品だったのですね!」


2人は堰を切ったように何が良くてお茶会や舞踏会でもミカエラの髪飾りを持っていることがある種のステイタスなのだと貴族社会の事を教えてくれた。


「ステイタス…???」


「えぇ。流行の最先端とも言えるわ。」

「こういう小ぶりの宝石や魔石の大きさだけを見せびらかすの疲れるのよね。重くなるから。」


確かにどこの工房でもどれだけ大きな原石を手に入れてどれだけ派手に飾るかが今までの宝石や魔石の加工だ。女性の手には重いくらいに。


「…あの…貴族の方に人気のある花とか色とかあるのでしょうか。一応指輪、ネックレス、イヤリング、髪飾りは作っているのですけれど。取り敢えず花をモチーフで作っているのですが。」


商品をしまってデザインノートを広げて質問しようとした。むぎゅ。カノンとマリアが両サイドに逃がすまいと隣に座った。


「見てもいい?」

「注文はしないから見せて。」

「ど、どうぞ。」


デザインノートを捲りながら楽しそうに話をしている。ミカエラは未加工のクズ石ひとつかみを持ってきて目の前で削って加工してみせる。2人は面白いものを見るように見ていた。


「ミカエラ、真珠は無いの?」

「宝石も良いけれど真珠も素敵じゃない?」


「真珠は持ってないので。高いですし。」

「じゃあ、真珠を持ってきたら薔薇の形に削ってくれる??」


カノンとマリアは待っていて。と、自分の部屋に戻って宝石箱を持って来た。大きな原石の宝石や魔石が沢山入っている。


「凄い宝石ですね…」

「これはもう使わないわ…」

「この辺はねぇ。もう古い型だもの。」


真珠のネックレスを渡された。これを加工しろと。


ミカエラは何がどう古いのかと詳しく聞いてからネックレスのチェーンと加工する為の魔鉱銀で加工をする。真珠の真円は活かしておきたい。薔薇にしてくれと言われたものは薔薇の形に削る。失敗は許されないが花の形に削るのは何度も練習して手が覚えた。真珠を美しいものを輝かす形にしつつ流行りとか関係ないものにする。


「これでどうですか?襟ぐりの空いたドレスだと真珠の美しさが際立つようにとしましたが。」


「可愛い!」

「こういうのなら色んなドレスにも合わせられるわ。」


デザインや流行りなどを聞きながら、自分が思う可愛いものを作って行くのが良いのだろうカノンとマリアは、自分のために作品を作れとは一言も言わなかった。

きちんと手順を踏んで正当報酬を支払うと。


流石侯爵家から嫁いだ人達。言うことが違う。こういうお客様ばかりだといいな。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最初は包装業者も鉱山師とも提携せず全てを一人でやるのか…?と驚きましたが、最近のマニュファクチュア職人ものはそういうパターンが多いかもしれませんね。展開が早くていい!面白いです [一言] …
[良い点] 最初から有能ヒロインのとばしっぷりが好きです。 [気になる点] 誤字脱字がいくつか気になり、指摘させてもらっています。個人的には修正は読者まかせにしてこの勢いのまま書いていって欲しいです。…
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