100 相談すべきこと
イザーク様が意地悪なのか、私がどうしようもないほどに鈍いのかといえば後者。理由、人生経験などなどを踏まえても私が到らないのが一番の原因だ。恋愛小説を読み込んでも理解が全くできない。恋愛感情ってなに!?!?!
「彼氏が欲しいです。仕事が出来てお金があって性格も良い彼氏」
「アリア、彼氏ってのは売り物なの???」
「売り物じゃないですけれど…理想を言うだけであればタダですから。」
「どうやって見極めるの?」
「付き合ってみてですよね〜仕事のことを詮索しないのが1番です。貴族の家のメイドと聞いて仕事内容を聞いてくるのは基本的に私じゃなくて私の仕事先のことを知りたい残念男しかいないって言われていますから。」
確かに。仕事内容でメイドと聞いてそれ以上を聞いてくる男は警戒するかな。仕事内容を詳細聞いてくる男なんて嫌だろう。勤務先だけに興味を持つなんて。ミカエラは私はそんな希望もないから一方的なアプローチをされてしっかり頷く度胸もない。だから相談も出来ない。彼女はため息をついてアリアとお茶をする。
「ミカエラ様も欲しくなりました??」
「王城に独身強制参加の夜会があるなんて思わなかったの。」
「えぇ!?良いじゃないですか!!貴族男子選びたい放題じゃないですか。」
「違う違う。爵位持ちで来年子爵になるのも決まって領地もくっつくみたいだから…世間知らずの庶民がポツンと爵位と領地を持っているのよ。」
「あーカモですね。良い出会いよりもダメな男ばかりが釣れそうですね。それ。」
「参加するのは貴族の後継ぎにもなれない男子なんだって。」
「レオンハルト様の嫁かイザーク様の婿が妥当です!!近くで探しましょう!!」
アリアが珍しくスパッと言い切った。
珍しいと彼女を見るとアリアもふんすと、胸を張って反古紙を出して説明をしてくれるらしい。
「ミカエラ様は恋愛感情がないから結婚したくないんですよね。」
「結婚てそういうものでしょう???」
「庶民はそうです。貴族は領地とか仕事の共同経営者を探すための手段と思えばいいんです。仕事仲間に恋愛感情って不要じゃないですか。仕事が回るか回らないかが大切ですし。」
「そ、そうね。」
「他に恋人を囲って良いのか相談して決めたら良いんです。もちろん結婚相手が嫌で他が良いとなった場合ですけれど。ミカエラ様が爵位と領地を受け取っていれば相手は婿入りで一番信頼できる執事とかの認識がいいんじゃないですか?そういうので考えてみたらどうですか???」
ミカエラは積極的な説明を受けて考えてみるがレオンハルト様はご飯とか採取にいく友人かな。イザーク様は…どうなんだろう護衛???貴重なモフモフ要因???イザーク様のモフモフは大事だし、男らしさとか気遣いとか書類仕事の強さよりもモフモフよね。本人はそれで怒りそうだけれど。いや、もふもふでも好印象ならそれはそれでアリだと納得してくれるのだろうか。好きかどうかはわからないけれど、他の女性と歓談してたらモヤッとした。
「アリア、モヤってするのってどういう時?」
「モヤ???色々しますよ。思っていたものと違っていた時とか、気になることを思い出せないとか、後は嫉妬とか???自分に好意的だなって思っていたら自分以外の同性にも似たようなことをしててモヤモヤするとかですかね。」
クッキーを食べて考えるが、頭を振る。アリアはお茶関連の備蓄が気になるからと買い出しに行く。交代でもないがイザークが護衛として家に来てしまった。ミカエラは気まずい。と、顔をそらした。彼はいつも通りなのだが、私1人気まずいと思ってしまっている。
「そんなに食べると夕食はいらないのでは??」
「う…」
「杖はもう不要のようですね。」
杖が側にないのでそういう言葉が出たのだろう。実際仕事も元通りにできるようになって杖なしで歩けるようになっている。
「そうですね。」
「採取や仕事に影響は?」
「出ていません。私の誘拐のことは大体終わったのですか?」
「そうですね。面倒臭さ割増なのですが聞きたいですか?」
「…知っておいたほうがいいなら。」
知らずに誘拐されるよりはある程度知っていたほうがいいのかもしれないが、ユーリ様から聞いたほうが良いのか、ヘラルド様から聞くべきことなのか…そう思って護衛もしてくれている彼をみるとにこりと微笑んだ。
「やっとこちらをちゃんと見てくれましたね。」
「気のせいです。」
「まぁ、避けられていないならそれで構いません。簡単に言うとミカエラのことを聞きつけた隣の国の貴族があなたの誘拐及び殺害を計画していたが証拠が出なかった。まぁ、新しい戦力、武器を作れるのであれば当然ですね。目的は技術流出と進展の防止と言ったところで、危険性から私がユーリ様の護衛を外れることになりました。」
「はい!?」
事が大きくなっている。めんどくさいことに。国内の貴族だけかと思っていたのによその国の貴族の実力行使まで来たなんて。私1人で対応しきれない。




