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6・水色の少女イチル

人間界の眷族作りを順調にすすめる健の元にあらたな仲魔が加わりました。

「ねえ、たけるっち、うちのこと助けてくれたお礼に○○してあげる」



「ちょっと、四織、そんなことしちゃダメだ」



「なんでよ。私たち、結ばれる運命にあるんだよ? この運命の赤い鎖で繋がれているんだから」



「ちょっと、こんなもんつけたら、動けないじゃないか! やめろ」


 

 四織はセーラー服から突き出た手足の包帯を徐々にほどいていく。白い肌、青い静脈、ピンク色に熱った顔。


 二葉姉さん、四織、九魔惡など名前に数字のついたナンバーズモンスターの力は強い。


 特に厨二病的能力を持つ四織の魔眼の威力は凄まじく、俺はいとも簡単に魅了されてしまった。


「ふふふっ、タケルっちかわいい。このまま、この棺の中でうちに全部吐き出しちゃいなさい」


 俺が、ふらふらと四織の棺型ベッドに上り、かちゃかちゃとベルトを外していると、きゃーっという悲鳴が聞こえた。


「たーくん、このビッチと何しようとしていたの? 前回(5話)で九魔惡サキュバスをやっつけたんだから、こんな貧乳マミー(包帯女)の色香なんかに負けないでしょ!」


「二葉姉さん! なんでここが分かったの?」


「そんなの簡単よ。私は女フランケンなんだから、たーくんのスマホの周波数を追いかければいいだけ」


「GPS代わりもできるんだね。あれ? 七華は?」


「あの子は今、九魔惡とガールズバーで働いているわよ。ゴシックロリータってにんきあるのね。歌舞伎町で指名ナンバーワンみたいよ」


「舞惡は? サキュバスの力をしたら、人間の男なんてイチコロだよね?」


「あー、魔惡はね。たーくんの元上司と一緒にいるわ。今、お台場のホテルのバーで飲んでるみたいだけど。お話してみる?」


 二葉姉さんは俺のことを抱きしめた。ビリビリとした電気が流れてきた。それが電子パルスとなって、魔惡が見ている映像が見れた。


『魔惡ちゃん、君はとても綺麗だ』


 うおっ! 俺が半年前に辞めたブラック会社のパワハラマネジャー剛田の顔だ。鼻の下を伸ばし、表情筋がたるみきっている。


『あら、ありがとう。今日は今場所に連れて来てくれて、ありがとう。でも、そろそろ終電だか帰らなくっちゃ』


『そんなこと言わないで。今日はここのスイートルームを取っているんだ。朝まで楽しもう』


「二葉姉さん、この電波ってどこにでも飛ばせるの?」


「ええ、できるわよ。どうして」


 ガサゴソと俺はスマホからある番号を見つけ、二葉姉さんに見せた。この人のスマホにこの映像と音声を送ればいいのね。


 黙ってうなづいた。俺だって鬼じゃない。元パワハラセクハラ上司で大嫌いだけど、一度はチャンスを与えないとね。


 プルルルル。


 上司の電話が鳴る。奥さんからいつ帰ってくるのかと心配された電話。取引先の接待をしていて午前様になるという。


『そんな、奥さんがかわいそう』


 魔惡が心配そうに言った。でもこんな魅力的で蠱惑的な瞳で言っても意味ないんじゃないか? サキュバスって怖い。


『いいんだよ。部屋に行こう。素晴らしい夜になるよ』


 それから30分後。元上司は魔惡に全精力を吸い尽くされて昇天した。ある意味、幸せな死に方だ。


『健様。いつになったら私にご褒美をくれるのですか?』


 魔惡が俺を責めるように、テレパシーで話しかける。蠱惑的な低く濡れた声。俺はすぐにでも魔惡の元に移動したくなる。


「たーくん、だめ!」


「たけるっち、あかんよ!」


 二葉姉さんと四織が、俺の両手を掴んで離さない。それで意識を取り戻した。


「あっぶね。サキュバスの囁きって離れてても、すごい威力だね。ちょっと頭の中ピンク色になっていたよ」


「まあ、たーくんは鋼の意志ドーテーを発動させれば、ギリ、なんとかなるわ」


「それよりも、うちたちと遊ぼうよ」


 そう言って四織は、テレビゲームを持ってきた。僕たちは、朝まで桃鉄をやった。朝、起きると知らない少女がいて、僕の顔の上に乗っかっていた。


「むぐっ! く、苦しい! 目の前に何で白いパンツが。それに何だかじんわり濡れて、顔がヒリヒリする! 二葉姉さん、四織助けて」


 そう言っているのだが、なぜ俺の声はゴボゴボと消えてしまう。まるで、水の中に顔を突っ込んでしまったみたいに……。


「ひぃーーーー! 死ぬーーーー!」


 俺が部屋中をゴロゴロと、ころげまわっていると『あ! イチルじゃない! もうどこに行ってたの? 心配したんだからぁ』という四織の声がした。


「二葉さん、電気、軽めのやつお願い」


「うん、分かった」


 そういうと二葉姉さんは、人差し指から小さな稲妻を放電した。


 僕の顔に乗っかっていた、イチルと呼ばれた少女は「みゅっ!」と言って気絶した。


 僕は四織の包帯で濡れた顔を拭いながら、少女を見た。


 水色の長い髪、眉毛もまつ毛も水色。小さく華奢な手足。脈を測ろうと腕を触るとたぷんと、吸い込まれた。


「いててててっ!」


「たーくん、ダメよ。イチルはスライムなんだから、捕食されちゃうわよ?」


「でも、生きててよかった。イチルは弱いとこあるから心配したけど、元気そうで」


 四織はイチルと呼ばれた少女を膝枕している。包帯は、湿り気を帯びるがそれ以上、浸食すりことはないらしい。


 こうやって僕は、人間界の眷族作りをするための、五人目の仲魔を手に入れた。






《table:#000000》[[_.(転生回数)[_.(魔族人名)[[(1回目)[(スライム・???)[[(2回目)[(フランケン・二葉)[[(3回目)[(ゾンビ・???)[[(4回目)[(マミー・四織)[[(5回目)[(ゴーレム・???)[[(6回目)[(ドラゴン・???)[[(7回目)[(ヴァンパイア・七華)[[(8回目)[(デーモン・???)[[(9回目)[(サキュバス・九魔惡)《/table》


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