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5.祭りへ

 

 八尾は九尾が一尾を遅くに連れ帰ったことから、事情を聞いた。九尾は単独ならばどうとでもしようが、末弟を同伴しているのだから、安全策を取る。おちゃらけた狐ではあるが、無分別ではない。希望的観測かもしれないが。

 島で楽しく遊んだものの、夕暮れ時になって寂しさがこみ上げ、どうしても帰りたいとぐずったので連れ帰ってきたそうだ。

『シアンちゃんの計らいで転移陣を使えるようにしてくれたので、大丈夫かなと思いまして。まあね、可愛い狐が可愛い子狐をおんぶしての登場ですから、闇の神殿では萌えの旋風が巻き起こりましたがね。当然のことですよ』

 きゅふふん、と胸を張る九尾の戯言はともかく、幻花島の主は精霊の加護を持ち、神々から敬われ、六大属性の神殿の転移陣を自由に使用できる。その特権を一族の末弟にまで与えてくれるのだから太っ腹なものである。

 それよりも、懸念していた一尾の心理状態だ。それまでなにかと面倒を見ていた二尾が仕事を得て別行動することが増えた。

『幻花島へ行くことで気晴らしとはなったが、却って寂しさが増した側面もあろう』

『新しい友だちができたらと思ったんですがねえ。一尾もいい加減、二尾にべったりなだけでは、一尾にも二尾にも良いことはない』

 同じ妖狐らは一尾に遠慮がある。八尾が率いる一族であり、秘蔵っ子でもあるからだ。

『そうは言っても、性急に引き離しては反発も起こりようもの』

 座視することなく、一族の長は二尾に休息を与えることにした。

『やれ、天下の大妖八尾も末弟とそのすぐ上の兄には甘いことよ』

『ぬかせ』

 きゅっきゅっきゅと含み笑いをする九尾に苦虫を噛み潰したような表情となった八尾は早速二尾を呼んでしばし仕事を休み、その間、一尾と共に過ごすように話した。



 子狐とそれよりも少し大きな子狐二匹が向かい合う。

『にいちゃん、お休みもらったの?』

『うん。だから、今日はにいちゃんと一緒に遊ぼう』

『わあ!』

 一尾の顔が輝く。二尾も自然と表情が緩む。

『一尾はなにをしたい?』

『お祭りに行きたい!』

『お祭り?』

 幻花島の幻獣たちから様々に聞く話の中で、彼らが特に好む遠出の様子は実に興味深かった。そこには、一尾が知らない様々な世界がある。その中で、人間の街へ行き、祭りを楽しむという話を聞き、羨ましく思っていた。

『人間の集落か。一尾は行ったことがないものな』

『うん。お祭りのときは特に街や村を飾ったり、ご馳走を食べたり、色んな物を売る店が増えるんだって。音楽や踊りもあって、人間たちは浮き浮きして、他のところから来る者も増えるから、余所者でも警戒されないんだって!』

 そう話す一尾は食べ物だけでなく、音楽や踊りというものにもすっかり魅了されている様子だ。

『なるほど』

 しかし、それは人間の場合である。幻獣が紛れ込めばすぐにそれと分かるし、恐れられ、石もて追われることになろう。

 そう口にすることは出来なかった。

 期待の籠った眼差しを向けてくる一尾を落胆させたくない。

『じゃあ、にいちゃんと擬態の練習をするか?』

『擬態の練習?』

『ああ。俺は人間の街へ行く時、人間に擬態しているんだ』

『へえ! 犬じゃないんだね』

『うん。初めのころは犬の振りをしていたけれど、ちょうど良いから訓練も兼ねて人間に擬態しろって八尾様に言われたんだ』

 それで、既に数回は人間として集落に出入りしており、人間と接し、今のところ不審に思われてはいないと言うと、一尾は大いに感心した。

『一尾はお祭りを犬の振りして眺めていたいんじゃないだろう?』

『え、やだ! 美味しい物を買って食べたい!』

 島の幻獣たちは人間が売る、日常にはない祭りの食べ物の素晴らしさを語った。一尾はそれを味わってみたいと思っていた。

 話を聞いた二尾はそうと察し、安易に許諾して犬の振りをするだけでは収まるまいと悟った。

『だから、人間の擬態を練習して、上手にできたら、八尾様にお願いしてお祭りへ行こう』

『うん!』

 そうして、子狐二匹の特訓が始まった。

「きききゅっ!」

 二尾が鋭く鳴くと白い毛並みの子狐の輪郭がぼやけ、おおきく曲がり、細長く伸びあがる。

 そこには十一、二歳の灰色の髪をした利発そうな人の男子がいた。細め長めの眉、涼やかで切れ長の目、小ぶりな鼻と唇をしている。

 二尾は殊更力まずともするりと人の姿を取ることができたが、一尾がコツを掴みやすかろうと力を入れて擬態をして見せた。

『わあ、にいちゃん、人間みたーい!』

 足元を二周三周しながら見上げる子狐に、二尾は身動きが取れず苦笑する。

『そら、一尾もやってみな』

『うん!』

 二尾が見せてくれた魔力の練り上げ方を真似しようと意識を凝らす。

「……きききゅっ!」

 なにも起こらない。

『あれえ?』

 自分の身体を矯めつ眇めつしながら一尾が気の抜けた声を上げる。

『いっぺんやにへんではできないよ。はい、もう一回』

「きききゅっ!」

『もう一回』

「きききゅっ!」

『もう一回』

「きききゅっ!」

 何度もなんども繰り返す。

『一尾、そろそろ休憩しようか』

『うん』

 しょんぼりと項垂れる一尾の前に大きな葉に水を入れて差し出してやる。

 いつもは飛びつくようにして飲むが、今日の動作は鈍い。が、飲むうちに喉の渇きを思い出したのか、せっせと舌を動かす。

 ちょっと厳しいかなと思うも、人間に擬態するだけでなく、意思疎通を図ることも必要なのだ。課題は多い。

『一尾ー、二尾ー、お夜食ヨー』

『夜食? きゅうちゃん、今は昼間だけれど』

 二足歩行しながら両前足で皿ふたつを乗せた丸い木製のものを掴んだ九尾に二尾が不思議に思う。発言内容も人間が扱う道具を持っていることも不可解である。

『受験生への差し入れは夜食と決まっているのヨ!』

『じゅけんせいって?』

『わあ、芋栗なんきんだ!』

 首を傾げる二尾を他所に、一尾が鼻を蠢かせる。

『特訓して疲れたでしょう。ささ、お食べ』

『うん、お腹空いた!』

 はぐはぐと焼き菓子に食いつく一尾に、初日から無理をさせたかな、と思いつつ、二尾が自分の前に置かれた皿をそっと押しやる。

『一尾、にいちゃんのも食べるか?』

『?』

 咀嚼と同時に話そうとするのでもごもごとと不明瞭な言葉になる。

『にいちゃん、食べないの?』

 嚥下した後、おやつの皿と兄とを見比べる。

『一尾は頑張っていたから、その分、腹が減っただろう?』

『うん、でも、にいちゃんも一所懸命教えてくれていたから、お腹空いたでしょう?』

 自分に譲ってくれようとするのに目を丸くする。

『リムがね、仲の良い者と美味しい物を分けっこするんだって。美味しい物だからね、一緒に味わって美味しいねって言うのが楽しいんだって!』

 独り占めしてより多くを味わうより、親しい者と分かち合うことを好むと教わったのだと言う。

『そうだよ、二尾。二尾はちゃんと自分のを食べると良い。一尾はおやつを食べてもお腹が満たされないなら、別のものを食べれば良いんだからね』

『美味しいよ!』

 九尾の言に、一尾も一緒に味わおうと誘うとようやっと二尾はおやつに口を付けた。

 九尾はやれやれとため息をつきながら、弟たちを見守った。



 なんども擬態の練習を行った一尾は消沈するも、息切れを起こしたり息遣いが荒くなった様子はなかったという。

『ふむ。中々の魔力量ではないか?』

 擬態は魔力を使用する。特に変化した瞬間に多く用いられる。

『まだ成功していないんだから、褒めるには早計でしょうよ』

 色眼鏡だと九尾が含み笑う。

 八尾は聞こえぬふりをして仕事に戻った。



「きききゅっ!」

 きりりとした表情で鋭く声を発し、一尾は魔力を練り上げた。兄がなんどか見せてくれた手本を思い浮かべ、自身の身体が変化することをイメージする。

 白い毛並みはゆらりと揺らぎ、輪郭をうねらせて徐々に変化する。七、八歳くらいの人間の子供がそこにいた。ふっくらした頬、大きな瞳は眦が少し吊り上がっていて、好奇心に満ちている。

『どう? にいちゃん!』 

 一尾が万歳ポーズをする小さな手の指は細く長い。四肢も長く伸び、頭を頂点に二足歩行する。しかし、その頭には白い毛で覆われた耳が、尻からは尾が出ている。

『おお、上手く化けられたな』

 頭を撫でるついで耳を触り、さりげなく隠ぺいしておく。尾も同じくだ。

 一族や力ある者には看過されるだろうが、人間には分かるまい。なお、二尾の目にも狐の耳と尾が見える。

 他者に気づかれずに隠ぺいを施すことができる力の持ち主だからこそ、二尾は伝説の妖狐八尾に出来物と言わしめる。

 人間と意思疎通をするのは風の性質であるゆえか、案外すんなりできるようになった。

 特筆すべきは、妖狐一族の擬態は触覚が視覚に影響されるということだ。人に擬態して触れれば、人間の手に触られたと錯覚する。

『きゅうちゃんがね、北西の方へ行ったらお祭りをする街に行けるよって言っていたよ』

『きゅうちゃんはどこからそんな情報を手に入れてくるんだろうな』

『ね。きゅうちゃん、すごいね!』

『あと、きゅうちゃんが一尾が頑張ったご褒美だって言ってお小遣いをくれたよ』

『やった!』

 幻獣たちから物品を贖うには貨幣が必要なのだと聞いている。妙なところで人間社会の作法に詳しくなった一尾だ。

 買い物をしてそれを食べるというのを楽しみにしていたのだから、と二尾も仕事の報酬を人間の用いる金銭に変えようかと思っていたところ、気の回る長兄が用意していてくれた。二尾も頑張ったのだからと二匹分貰っている。

『一尾、人が多くても少なくても、前足を繋いでいこうな』

『うん!』

 重ねて離しちゃ駄目だぞと言われた。是と元気よく返事し、もちろん、二尾の言いつけを守るつもりだった。

 狐の姿に戻って移動し、街にたどり着いたら、まずは闇の神殿で転移陣登録を行う。突然現れた小さな妖狐に驚きつつも、ここでも歓迎されて無事に済ませることができた。祭りに参加するのだと言ったら、この街の貨幣を持っているかなど心配された。セバスチャンの連絡が浸透している様子だ。

 人間の縄張り、住処が沢山集まる街というものはごちゃごちゃしているな、という印象だった。物が多く人も多い。こんなに狭いところにぎゅっと押し込められている。

 一尾は大きなおもちゃ箱の中に、小さくなって紛れ込んだ気持ちになる。しかも、おもちゃたちは動いているのだ!

 街にはすでに多くの露店が出ており、様々な臭いが入り混じる。色んな音が聞こえる。多様で大量の物品が並ぶ。

 初めて見る人間の街、初めて見るもの、初めて嗅ぐ匂い、初めて聞く物音、初めてばかりで興奮する。周囲を見回すのに忙しい一尾は人にぶつかりそうになる。

「おっとっと」

『済みません』

 代わりに二尾が謝罪した。相手は幸い気の良い男だったようだ。

「いや、大丈夫。ぼうず、兄さんと祭り見物か?」

『う、うん』

 初めて見る人間に話しかけられた。

 いや、シアンもそうだし、闇の神殿でもあれこれ言われた。転移陣登録をする際には狐の姿に戻ったから、驚かれたものの、騒がれることはなかった。幻花島の雑事を一手に引き受けるセバスチャンは元魔神で闇の神殿に下知してくれているというのだ。妖狐一族の末弟とその兄が転移陣登録をしに訪れることがあると。一尾はそれが一方的な通告であり、しかも、島に行ったことがある自分だけでなく兄も含まれており、それらの事柄を闇の神殿では恭しく受け入れている、といった様々な要素に気づいていなかった。この街の闇の神殿で二カ所目だが、どちらも歓迎してくれたので、そんなものかと思っていた。無論、闇の神殿だからこそであるも、もし火急の際には六大属性の神殿を頼るようにと二尾ともども九尾から言い含められている。

 そんなわけで、人間には大分慣れたものの、やはり、まだ警戒する部分がないでもない。

 二尾の陰に隠れながらおずおずと顔を出す一尾に笑顔を向け楽しめよ、と言って行ってしまった。

『人間も良い者と悪い者がいるんだよ』

『うん!』

 その昔、妖狐一族の美しくも柔らかい毛並みを暖を取り着飾るのに優れていると人間の王が欲した。多くの者が狩られ、一族は短期間で数を減らした。弱肉強食は世の習いである。

 人の持つ尖った鉄に、放つ魔法に、連携に、悪意に、力ある妖狐も嬲られ、あたら命を奪われた。

 弱者は強者に踏みつぶされる。

 ならば、その覚悟はお前らにもあるのだな、とばかりに大妖八尾が立った。

 一族は同じ住処に住む者だけではない。守るべき者は多く、各所に散らばっていた。

 怒りの炎に焼き尽くされ、恐怖の権化として妖狐は人間たちの記憶に刻み付けられた。

 だから、妖狐だと分かれば、怯え恐れ石を投げつけられるかもしれない。恐ろしいから遠くへ行けというのだ。

 一尾は同じ住処に住む一族から折に触れて話を聞き、人間との微妙な関係を学んでいた。

 しかし、今は祭りだ。

『一尾、あれが食べたいのか?』

 繋いでいた前足を引かれて弟を見れば、いつの間にか立ち止まって露店の食べ物の匂いを嗅いでいる。

『うん!』

『じゃあ、これを渡して買いな』

 貨幣を乗せてやった弟の前足は、二尾の目には子狐の前足と人間の小さな手が重なって見えた。

 つま先足立ちし、さっと貨幣を差し出すも、他の客に声を掛けられた店主は気づかない。その客が行ってしまっても、一尾を認識しないでいた。

「きゅうん」

 一尾は困って眦を下げ、いつもと変わらぬ鳴き声を上げる。

「お、なんだ? おお、ちびさん、いたのか! これがほしいのか?」

『うん!』

「気づかなくて悪かったな。そら、大きいのをやろうな」

『ありがとう』

 嬉し気に受け取る一尾は串焼きに目が釘付けになっているから、二尾が代わりに礼を言う。

『あ、ありがと!』

 慌てて一尾も追随する。

「大きいから、兄貴と分けて食べな。祭りの露店はいっぱいあるからな。あれこれ楽しみなよ」

 言われて、それもそうかと一尾が串焼きを二尾に向ける。

『先に一尾が食べな』

 ひと口齧ると、満面の笑みを浮かべる。露天商も満足げだ。

 そのまま店先に立ち止まっていては邪魔になると思い、二尾は一尾を引っ張って移動し、交互に串焼きを齧った。

 いちど体験すれば心理的ハードルが下がったのか、一尾はあれこれと物品を贖った。そうして腹がくちくなり、兄姉たちへの土産も確保したころ、辻のあちこちで行われる芸人たちの芸が気になりだした一尾は二尾の手を引っ張って見物した。

 見事な芸を披露する者の周囲には人垣が厚くなる。

『わあ、今の見た? すごいね、にいちゃん』

 振り仰ぐと全く見知らぬ者がそこにいた。

 混雑する中、二尾と前足を繋いでいたのに、いつの間にか違う人間の手を握っていて一尾は驚き跳び上がった。慌てて左右を見渡し、兄の姿を探して駆け回る。

 あちこちうろつきまわり、気性の荒い者にぶつかって怒鳴られ、蹴りつけられそうになって逃げ出す。

「おや、君、可愛いね。ちょっとおいでよ。美味しい物をあげようね」

 少しばかり落ち着いて来て、息を整えようと足を止めた一尾に声を掛けて来た者がいる。

『ううん、もうお腹いっぱい』

「そうか。じゃあ、面白いものを見せてあげるから、おいで」

『ううん、兄ちゃんを探しているから』

「じゃあ、一緒に探してあげる」

 にこやかな笑みを浮かべつつも、じわじわと距離を詰めてくる者に、一尾の脳裏に警鐘が鳴り響く。

『僕、もう行かなくちゃ』

 身を翻して駆けだすと、待て、と追って来る。

 あれはきっと捕獲して狐の毛皮を剥いで売り飛ばそうとする者だ、と怯えた。無暗に四肢に力が入る。気を抜くと、四つん這いになって走りそうになる。

 息が荒くなる。

 兄が傍にいない不安と見知らぬ土地、なにより、人間ばかりがいる場所という恐ろしさが足元から這い上がって来る。喉が押しつぶされそうになり、目の縁が熱くなる。一尾は懸命に諸々を堪えた。

 人ごみに紛れても、まだ、追って来る気配がする。

 とにかく、危険から逃れたい一心でむちゃくちゃに走り回っていると、自分がどこにいるのかさえ分からない。

 兄の匂いは他の多くの物品や人間の臭いに紛れて全く分からない。

 疲れ果てて足を止めた途端、涙がこぼれた。それがよすがだとばかりに、ぎゅっとたすき掛けした風呂敷を握りしめる。

『にいちゃん……』

 決壊しそうになる感情を嗚咽と共に飲み下し、懸命に我慢する。

 あれほど気の良い人間が声を掛けてくれ、温かく思えていた街並みが、たった独り、茫然と見上げる今ではよそよそしい。

 と、一尾の耳がぴくりと動く。

『———……』

 なにかが聞こえた気がして、聴覚に神経を集中させる。

『にいちゃん!』

 一尾を呼ぶ二尾の声を耳が拾い、思わず声を上げる。

『一尾!』

 今度は、はっきりと聞こえた。

 そちらの方へ知らず、走り出す。

 人通りが僅かに途切れ、二尾の姿を見ることが出来た。

 一尾は夢中で駆け、二尾の体にしがみつく。柔らかい白い毛並みに顔を埋めて、安心を感じる。

 ああ、思い出した。

 いつも感じているものだ。

 ようやっと取り戻せた。

 急激な安堵は唐突な眠気を誘い、そのまままどろみそうになる。

 二尾が笑う振動が微かに伝わって来る。それでも離れることができなかった。とんとんと背中を優しくたたかれ、眠ってしまった。

 気づけば、二尾に背負われていた。もう少しこのままでいたいと寝たふりを決め込んだら、本当に眠ってしまった。意識が沈む前に二尾がため息交じりに柔らかく笑ったような気がした。





狐と言えば、人に化ける。

人化の狐と言えば耳と尾が定番ですね。

二尾ねえちゃんの場合、ボーイッシュで礼儀正しいイメージです。


幻花島の幻獣たちは精霊の助力のおかげで感知能力が高いので迷子にはなれません。

8章を書いている時、お約束のネタを書けずに残念に思ったものでした。

ようやく迷子話を出すことができました。

そこで騒動に巻き込まれて……となると話が長くなりすぎるのであっさりと終わりました。


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